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受入側として知っておきたいホカツの常識と、考えていきたい育休からの復職社員に向けたこれからの支援

もうすぐ4月。何かと節目を迎える人も多いと思いますが、企業HRとして、この時期の大きなイベントと言えば、新入社員の入社と育休中社員の復職かもしれない。

わたしが働くオイシックス・ラ・大地株式会社でも、現時点で40名近い社員が産休育休中で、4月には20名近い復職者を予定している。そんな弊社では、ここ数年、実際に産休育休を経験したHR本部の社員発による取り組みで、育休からの復職社員に対する様々な支援をおこなっている。

その内容は現時点では、「復帰前研修」「復職式」にわかれており、実際に企画者自身が出産後に復職した際に感じた苦労や反省を踏まえてプログラムをつくっている。ただし、復職社員に向けたこの支援も、「ホカツ」を乗り越えないことには意味をなさないのが現実だ。ちなみにホカツとは、保育園入園に向けた活動のことだが、その内容は読んで頂いてる皆さんの想像を超えるものが多いだろう。

知っておきたいホカツの常識

本noteを書いているまさにこの時期は、この春に保育園に入園できるかどうかの通知が保護者に届き始める頃だ。ホカツに関する記事は、以下にもあるが、共働き世帯の急増や都心部への人口集中などで、保育園が足りていないことは紛れもない事実である。

保育園に入るまでには準備期間(情報収集や見学)と、各自治体への申込を経て、結果が郵送で通知されてくる。

実際問題、保育園に入れるかどうかは、各自治体によっても全く異なり、都心を中心に多くの自治体で待機児童(認可保育園に入れない子ども)が発生している。(※2019年4月の待機児童数は1万6772人。2018年から比べる3123人減ったとは言え、以前としてその数は多い)

なお認可保育園は保育料が比較的安く、保育士の数、人員配置など国の基準がある一方で、認可外はどうしても経済的負担が大きくなる傾向がある。そういった背景もあり、ホカツという希望の入園を勝ち取るための活動が盛んにおこなわれている。

実際にわたしの知り合いでも、ホカツで少しでも入園しやすい自治体にわざわざ引っ越しをおこなったり、入りやすい0歳での入園の為に育休を早く切り上げる人もいる

なおホカツにはポイントがあり、先に認可外保育園に子どもを預けて仕事復帰をしたり、あえてフルタイム勤務を選ぶことでポイント加算で少しでも入園しやすい状態をつくる人もいる。

但し、こういったホカツを経ても、認可保育園には入園出来ず、結果翌年の4月まで、復帰が出来ない状態も多く生まれてしまっている。最近ではそういう場合に、企業の利用枠がある認可外保育園やベビーシッター費用の負担をおこなったり、在宅勤務を推奨する会社も出ているものの、まだまだ少ないのが現実だ。

育休からの復職社員に向けたこれからの支援

そんなホカツを潜り抜けてきた復職社員を受け入れる企業側には、どんな支援が出来るだろうか。まず前提として、受入をおこなう企業側(HRはもちろん、経営陣や上司、同僚な含め)として、復職したばかりの社員の背景を理解することから始めていきたい。

ただでさえ、小さい子どもを預けて働く不安は計り知れない。実際に弊社にも(自チームにも)、小さいお子さんを育てる社員が多くいるが、子どもの体調は本当に変わりやすく、前日などに少し体調が悪い中で子どもを保育園に預けなければならないストレスや、今日は体調が良いと思っていたら急に保育園から連絡が!ということは日常だ。

また復職のタイミングにもよるが、社員自身の生活リズムや心身の変化もある。復帰前と同じような成果を出さなければという想いに、身体や心がついていかないこともあるだろう。特に復職直後に大切なことは、個々の状態に応じて、焦らず無理せず、自分のペースと子どものペースをつかんでいくことだろう。

復職社員に向けた支援の具体策として、私たち受入側として何が出来るだろうか。弊社では前述の通り、「復帰前研修」「復職式」をおこなっている。

今回も昨年末から年明けにかけて、育休中社員に向け、復職の意向や状況把握の為の連絡をおこない、つい先日に「復帰前研修」を実施する前段階として、社内において復職を希望する社員に向けたランチ会を実施した。ランチ会は15名近い育休中の社員と、先輩社員とHRが参加、

育休中におこった会社の変化や、今の各事業や組織の状況などを伝えつつ、復帰後も少しでも安心して働いてもらえるよう、横の繋がりを意識した設計

となっている。実際、ほぼ多くの社員が子どもを連れてくるので、社内の会議室の一部は授乳や子どものおむつを取り替えられるようにしたり、マットなどを敷いて、子どもの面倒を見ながら参加できるように工夫を凝らしてみたりしている。

これから先、4月以降の復職が確定すれば、3月には復職前研修として

今後の自社の戦略やそこにひもづく組織の概要、各事業の取り組み、その中での期待する役割などを伝える機会を設けつつ、復職直後に陥りやすい状態を先輩社員から語ってもらう機会

なども用意していくことになる。

4月の復職式は、その節目となる機会だ。わたし自身も昨年受入側の一上司としても復職式に参加し、おかえりなさいという気持ちを込めて、仲間を迎え入れた。昨年は社長の高島も参加し、経験を活かしながらも何でも完ぺきにやろうとするのではなく、焦らず自分のペースをつくっていってほしいといったメッセージを直接伝える機会もあった。

今年はこれらの取り組みをまだまだ改善し、復職社員が安心して戻ってきて、徐々に自分のペースをつかみ、また自分自身にとってのチャレンジを重ねていけるような状態をつくっていきたい。その為には、

復職社員に向けた取り組みだけではなく、復職社員を受け入れる企業側(HRや経営陣はもちろん、上司や同僚)はどのような状態をつくっていけるのか、自社ならではのあり方にトライしていく必要がある。

例えば、育休に向き合う配偶者を持つ自社の社員には何が出来るだろうかという視点や、復職社員を受け入れる部署側にはどういう理解や体制をつくっていくのか、そういったことはまだまだこれからの課題だ。

子育てを当事者だけでなく、関わる関係者も含めて考えていく時代が令和には求められている。一企業HRとして、社員が安心して挑戦できる状態をつくっていきたい。強くそう思う。




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