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人事部長その32〜悩み〜甘やかした部下とそうでない部下

いま僕の部署には10名いて
総務系と人事系に分かれている。
僕のフィールドは人事が主戦場なので
どうしても人事びいきになるが表向きは平等だ。

その人事チームの中に
入社9年目のAさんと
4年目の Bさんがいる。

入社9年目のAさんが人事に
配属されたタイミングは
僕が人事に配属された日だった。

要は人事初日が新卒配属と同じタイミング。
人事配属にはもう1人
同世代のパートナーがおり
彼女と2人で慣れない業務を
1からやらなければならなかった。

ということもあり、会社から
指示を受けることも多く
やらなければいけない事の
引き継ぎなど社長から注意されて
理不尽に感じてしまうことも結構たくさんあった。
とにかくバタバタしていた。

そこで僕らは、新卒のAさんには
嫌な思いをして欲しくない一心で
彼女を徹底的に守った。
嫌なことはとにかく僕らを通して
しっかりマネジメントして話したり
ひとり立ちするまではとにかく
手垢を付けさせずに仕事をさせた。


Bさんは2年間現場を経験した後
人事へ配属となったいわゆる総合職採用だ。
勤務の締めや、応募者のアテンドなど
卒なくこなすタイプ。
現場に2年もいたこともあり
対応力や考え方にも自分のスタンスがあり
しっかりしていた。

僕らは Bさんを初めから責任ある役割を与え
各上長への確認や各位への連絡なども
積極的に任せていった。
成長が早くて、生き生き仕事を
してくれている実感があった。

それから2年したころ
 Bさんから退職希望が出た。
自分の仕事の価値と、
対価である給与をどう見るか。
精神的にバランスを取れなくなってきていると。

自分の仕事に自信を付けて
ステップアップしたい彼女の気持ちは
応援したいし、僕もそんなタイミングは
たくさんあった。
まっすぐな想いと自信に負けた。


Aさんのその後は卒なく仕事をこなすが
いつしか仕事への意欲が低下した。

何かを判断することも、何かに忖度しており
誰かが社の雰囲気や空気をみだすことを気にしたり
社長や役員の目を気にしたり
本音は言わないスタンスからコミュニケーション下手で
報連相もろくに出来ず
自分から何かを提案しなくなってしまった。

僕が責任を感じているのはAさんの方だ。
彼女を守りすぎてしまった。
しかも彼女は守られたとも思っていない。

彼女が指摘されたり、怒られたり
理不尽に感じたり、感情をあらわにしたり
そんな繰り返しの中で成長していくというのに。

教育とはひとりで解決する力を育むことだ。
僕らは彼女のチャンスをことごとく奪ってしまった。
上司が部下の手柄を奪うというのはこのことだ。

それに気付くことが出来なかった。

そんなAさんにも退職希望が出ている。
理由は、実は生まれつき体のある部分に症状がある。と。
それがひどくならないうちに辞めたい。と。

嘘だとは思わない。
だけどこちらを信頼していないのは
ものすごく伝わった。

信頼してない人には本音は言わない。
波風をなるべく立てたくなくて
嫌だから辞めたいと言って理不尽な扱いを受けるなら
言わない方がましだ。
という『決めつけた』感じ。
どこからか全く心のシャッターが閉まっているのは
わかっていたが、
自分を守るためにも
本音を吐く訳にもいかないのだろう。

これはまだ進行中の悩みだ。
僕も人間なので
ここまでくると意地悪な気にもなる。
しれっと何も言わず退職日を決めてもよい。

ここで書いている事をそのままぶつけても
本音が返ってくるか来ないか。
彼女のスタンスに関わらず
こちらから本音をぶつけてみようかどうか。

負けない方法は勝負しないことでもあるが。
まだもう少し悩もうと思う。

良かれと思って守ったつもりが
その環境に慣れて甘やかされたAさん
積極的に仕事を任せて
ステップアップを望んだ Bさん

どのみち苦楽を共にした
仲間が辞めるとこは残念だが
しっかり自分で考えて、行動して
注意され、怒られ、泣いて、笑って
貢献して信頼を勝ち取ることが
成長なのだと感じさせられるエピソードです。

今日も最後まで読んで頂きありがとうございます。

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