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『まず、ちゃんと聴く。』聴くことの奥深さについて痛感した1冊

フィードバックや傾聴力、1on1は気になるテーマなのでたまに読んでいます。最近はこちらを読みました。

『まず、ちゃんと聴く。 コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比』

本書では、実践的な内容、やりとりの例だけでなく、「聴く」と「伝える」をそれぞれ分解して考え、またその技術を高めていくためにどうしたらいいかまで触れています。そのためか私は比較的時間をかけながら読むこととなりました(普段は比較的サクサク読んでしまうタイプ)

その中でも、特に学びになったことを一部こちらでもアウトプットしたいと思います。


聴く前に、コンディションを整える

まず、本来持っている技術を発揮するために(しっかり聴くために)、コンディションを整えようという話です。
聴く技術にフォーカスする本は多いですが、その準備を環境面から整えようという切り口です。

①感情の状態

相手との関係性が、感情に大きく影響を与える。

櫻井 将『まず、ちゃんと聴く。 コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比』

本書で例としてあげているのは、「やりたくない仕事を3日くらい放置してしまう」と言われた時に、相手が部下だったら「ダメだろう」と思うかもしれないし、友人なら「そうなんだ」と思うだけかもしれないということ。
上司部下、プロジェクトメンバー、夫婦、親子など関係性が近ければ近いほど、自分に影響があるため感情面でのコンディションが整いにくいとしています。

育児関連の書籍でも、同じ言葉を子供に言われたとしても、その時の状況によって反応が大幅に変わるという話を読んだことがあります。言ってしまえば自分がごきげんだと許せることもあるし、まわりの目や環境もあるし、要素を分解していくと色々見えてきますね。

胸を張って。少し上を向き、最高の笑顔をつくってみてほしい。その身体の状態で、落ち込むことは難しい。

櫻井 将『まず、ちゃんと聴く。 コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比』

あわせて印象的だった一文。実際にやってみると分かるので、ぜひ試してみてほしいです。

②話をする環境

五感がコンディションに影響を与えやすいので、相手が話しやすく、自分のコンディションが整う環境をつくれるとベストとしています。
五感の例としては、集中力を高めるために、音楽を聴いたりフレグランスを嗅いだりするなどもあげられています。


PIマトリクスと照らし合わせて判断する

本書ではPositive Intention(肯定的意図)マトリクスというものを図で示しています。
この本では「なんでも傾聴せよ」という考え方ではありません。詳しくは書籍を参照していただきたいので省略しますが、ひとつ紹介&協調しておきたいのは以下の点です。

価値観や感情は、基本的には評価や判断をするものではない。

櫻井 将『まず、ちゃんと聴く。 コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比』

「嬉しいな」と感じている相手に「嬉しいと感じるなんて変ですね」とは言わないほうがよいだろう。

櫻井 将『まず、ちゃんと聴く。 コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比』

たとえば、作業内容の確認をされる場合、聞かれた質問にただ答えるだけ・指示するだけというのは容易に想像できます。
その人が何を大切と思うのか、どんな気持ちであるのかは聴く領域だ。
ここは忘れないでおきたいなと思うところです。


フィードバックするか?しないか?ゾーン3を意識せよ

ポジションフィードバックであれ、ギャップフィードバックであれ、基本的には指摘をすればするほど意識が向き、その事象の発生頻度が上がっていく。この考え方はしっかりと覚えておきたいです。

できないことではなくできることを見て褒める、「走らない」ではなく「歩こうね」と声がけする、といった育児書で出てくるテーマと似ています。
本書で紹介されている例としては、「駆け込み乗車はおやめください」と言われて思わず駆け込んでしまうこと。また、商業施設のトイレに「いつもきれいに利用してくださってありがとうございます」と書かれているのがその逆の例です。

もちろん、ギャップフィードバックをしなくてはいけないタイミングはあるはずで、それ自体を否定しているわけではなく、以下が重要だと述べられています。

相手が望ましい仕事をした時を見逃すことなく、それを言葉にして伝えていこう。

櫻井 将『まず、ちゃんと聴く。 コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比』

筆者はご自身のお子さんを例にあげていて、食事中に歩き回るお子さんに対して、「ご飯中に席を立たないで」「ひじをつかないで」といった言葉をかけていたものの、よく見ると、静かに座って食べているときもあるし、何ならその時間の方が長いということに気付きます。
静かに座って食べている、その時を見逃さずに「座って食べてくれると、私も落ち着いてご飯が食べられて嬉しい」と褒めると、その頻度が上がっていくというのです。

当たり前だと思って注目していないだけで、実は望ましい行動をしている時間のほうが長かったということは、往々にしてあることだ。

櫻井 将『まず、ちゃんと聴く。 コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比』

できている時はそれがあたり前になってしまっていたり、できていない時ほどその事象に気付きやすいものです。
関連事項として、なんとなくカラーバス効果を思い出しました。「特定のものを意識し始めると自然と目に留まりやすくなる効果」のことです。今日はオレンジ色のものに注目してみよう、と決めると、視界に入るものの中でオレンジ色のものに目が留まるようになります。
できていることを見つけよう、という意識を日々持って臨みたいなと思いました!


おわりに

自分用のまとめではありますが、最後までお読みいただきありがとうございました!
ゾーン3って?PIマトリクスって?と気になった方はぜひ本書を読んでみてください。こちらでは紹介していませんが、具体化したい言葉について質問するときに使える聴き方や、「なぜ?」をより良い聴き方に落とし込んだり、相手と同じ言葉を使う意味なども非常に興味深かったです!


近しいテーマでおすすめの書籍もついでにご紹介しておきます。
それでは、楽しい1日をお過ごしください!

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