哲学の醍醐味が詰まった『まんが 哲学入門 -生きるって何だろう?』
哲学者と漫画家がタッグを組んで描かれた哲学入門書。訳あって久々に本棚から引っ張り出した。
本書は、主人公「まんまるくん」が「先生」に矢継ぎ早に質問をしていく中で、時間論、存在論、「<私>概念」あたりまでの哲学のベーシックな概念を中心で狭く深く掘っていくもの。
哲学における基礎的な概念を抜群に分かりやすく学べるだけでなく、掛け合いのダイナミズムというか、対話の中で引っ張られながら思考が展開していく哲学の醍醐味そのものを、ソクラテスの問答法(ディアレクティケー)宜しく体感できる。
そしてそして、巷に溢れる「マンガで分かる!」系入門書が本当に漫画である必要があるケースは少ないが、本書はその数少ない一つであり、隠れた良書である。すっごいヘタ(失礼)な絵なんだけど、シーン構成やコマ割りが無駄(失礼)に抜群で、抑揚が効きつつ疾走感がある。気づいたら全部読み切ってるし、なんならちょっとウルッときたりもする。
また、以前は気づかなかったが、巻末の哲学書ブックガイドが素っっ晴らしい。入門書から中~上級編まで、各ジャンル毎に全40冊以上のすべてに著者の詳細解説が付いているし、原典と解説書をバランス良く織り交ぜている。やや全体的に永井均の息がかかってる感もあるけども、このガイドだけでも2,000円分ぐらいの価値はあるのでは。
良い入門書は数あれど、哲学初心者!って人に真っ先にオススメするのは、意外と本書なのかもしれない。
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