みぢかなヒトをカメラのまえに はじめての経験からこんにちまで
はじめに
カメラのはなしをなんども記事にしていながら、ヒトを被写体にしてきたことをなにもふれてこなかった。
もちろんヒトも撮ってきた。そのはじめての経験を思い出しつつ。
学生時代に
ときは数十年前。なんとか地方大にもぐりこめた。高校で油断して中学までのアドバンテージでなんとか。わたしの部活なかまはわたしをふくめ現役合格はふたりだけ。
多くが1浪して旧帝大(もうこの言いかたふるいなあ)へ。のちにそれを風のうわさで知りそんなもんかとかんじた。ストレートで大学院まですすんでもM2までずっとわたしがいちばん年下。こちらもこんなもんかと思っていた。
とくに学生時代の4年間は勉強をついていくのがたいへん。うわさどおりの理系。午前は講義、午後は実験、夕方から家庭教師といそがしい。そんななかで中学以来の趣味のひとつの写真をじっくりやれた。
運よくまわりには写真ではずっとさきをいく友人たちがいてこころづよかった。なにより彼らからフィルム現像や撮影時の裏技まで教われた。それにくわえていいモデルさんをみつけてくれた。そのはなしを。
ヒトを撮る
前おきがながくなってしまった。テーマはヒト。もちろん学生だったので、まわりはヒトであふれている。やすみ時間でも撮ろうとおもえばキャンバスのたてものから屋外にでて撮影場所をえらばない。どこでも絵になる。散策しながらでもいい。
友人のNくんとふたり、ものおじしない女子学生のHさんがそれにおうじてくれた。たしかとしはひとつ上。それはどうでもよくクラスでは年齢はまず話題にしないし、気にならなかった。おたがいにタメ口で会話。
撮影は中庭で。たしか昼やすみ時間でつぎはあきコマだった。おたがいに一眼レフのカメラもち。「レフ板があったらなあ。」とわたし。「じゃあ、これで。」とNくんがノートをひろげてモデルのHさんの前にひろげる。もちろんカメラの画面のフレームのそと。
Nくんとわたし、Hさんと3人。ふだんどおり会話しながら撮影。そのあいだ彼女はにこやかな表情でふだんのようすを聞かせてくれた。やっぱりクラスメイト。知りあってしばらくたっただけのことはある。
最初のモデルさん
「撮影に慣れていない?」とたずねるとモデルの経験があるという。おなじ寮生の男の子(こちらもわたしの友人のIくん)に油絵のモデルをたのまれたという。女子寮と男子寮の共通の談話室で描いているという。「そうか、だからか。」とNくん。
丁重にお礼を言い彼女の撮影を終えてわかれ、Nくんとわたし。おたがいに「ほんと彼女、モデルに慣れているよねえ。」と顔をみあわせた。
そののちいちばんよくとれていたものをいくつかえらんでお礼の品として彼女にプレゼント。Nくんは大判の白黒プリントに焼いてわたしていた。
コミュニケーションとシャッターチャンス
当時はいまとはちがいフィルムカメラでの撮影。学生の身分でそんなにフィルムをむだにできない。このときフィルムは1本のみの一発勝負。わりと裕福な家そだちのNくんとておなじ。彼よりもわたしは経済的に余裕がない。それでもなんとか撮りきった。
それ以来、男女かまわずモデルをみぢかな方々にお願いする機会があった。なかにはカメラをまえにしてなれていない方も。それでもおうじてもらえた。そんなときにはカメラをいきなり向けないでまずは会話。いちどほほえみ緊張がとけたころあいをみて撮影開始。もちろんおたがいに時間の制限があるなかでのこと。
さいしょの数枚はおたがいの息をあわせるのはなかなかなのでウォーミングアップ。わたしのほうが前後左右上下に多少うごいてモデルさんをみながら、光線のぐあいやモデルさんの立ち位置などをすこしだけ指示しながら撮影。
たいてい数枚のうちにもっともやわらかな光線(この場合には北向きのあかるい窓際などや曇天の屋外)をみつけられるとはんぶん成功したかんじ。
あとはいろんな表情とともに手もとがはいるように撮影。なぜか手がはいると表情とともにそのひとなりがみえてくるからふしぎ。
それとふたり以上を撮影対象にするときには「撮るよ、ハイ。」の合図からわざとワンテンポ遅らせてシャッターをきると予想外にいい表情が撮れることが多いと思う。
「撮るよ。」パチリではどうしても身がまえてかたいかんじになりやすい。それをひと呼吸おくらせてシャッターをきると集団でも意外としっかりとそろう。これで何十人もの集団を数枚の撮影でなんどか成功できている。
おわりに
やっぱり撮影をお願いするときにはおたがいにきもちよくやりたい。コミュ二ケーションができているとスムーズにすすめられる。
やっぱりモデルさんのほうに多少なりともわたしのほうが合わせられるとよりいい感じ。上にあげた学生時代の最初のモデルHさんが自信をつけさせてくれた。彼女のおかげ。感謝しないと。
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