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いっしょに学習する相手の年相応によりつかうことばと話しかたをどうえらぶか


はじめに

 教育や学習の分野を長くしごとにしてきた。これまでいっしょにまなんだ方々の年齢は8歳から90歳まで。コアな層は10代、20代。おかげさまでどの層にも「わかりやすい」との評価をいただけるように。

それぞれでもちいるテキストにほぼあわせたことばと話しかたをおのずとえらぶ。いつのまにかそのときどきで意識せずつかいわけている。

きょうはそんな話。

年齢のひろがり

 しごとをながくつづけるとさまざまな出会いがある。もっぱら教育の分野。さまざまな形態でまなびの場をもうけてきた。おとずれる方々は千差万別。いろいろな年齢や学力のヒトビト。ここへいらっしゃる理由もさまざま。

はたからみるとあそびかゲームにしかみえない8歳児への対応から、女学校(ご本人の発言のまま)時代のたのしかった数学にまたふれたいとおとずれる90歳の方。中心はやはり10代、20代が多い。

いっしょのまなび

 発達の段階におうじてつかえることばはことなる。小学校低学年ではなるべく具体的なのものを課題にする。学年がすすむにつれ、あるいは個々人の成長のようすにあわせてだんだんと抽象的なものをふやしていく。

もちろんならう漢字やつかえる計算の手法は学年進行にしたがいつつ。これがたびたび変わるので、注意がいる。たまに高校や中学から小学校へとおりてくる内容などがある。小中学校の英語など極端にへんかしている。

学年や発達ぐあいのちがいで

 たとえば小学校の教科書。十数年まえの中学校で習っていた単語や表現が続々と登場する。わたしの教室では学校の内容を尊重しつつも、理解をすすめるためにある程度、英語の会話のやりとりでつかうルールを説明したい。

たとえば名詞を「もののなまえ」とか、動詞を「うごきをあらわすことば」とか。こちらもいちいちあたまのなかで変換しつつ説明につかう。聞くほうもまだるっこいはず。会話中心とはいえどもきっと基本的なルール(文法)のきほんでなっとくしたいはず。

国語の物語できもちのうつりかわりを説明するとき。ただ「かなしい」とだけ言ってもわかりにくい。どうしてそうなったか。どのくらいかなしいのか、ものがたりのどのあたりでそうかんじとれるのかなどなど。ことばをえらびつつ、よみとりにつながるように解きほぐしつつ案内していく。

おとなのことばへ

 おとなのせかいではつかわなくなるおもに学校だけでつかうことばがいくつかある。たとえば算数の「割合」のなかでたびたび登場する「もとにする量」と「くらべる量」。この概念を理解してつかいわけ割合を安定して算出、定着するまでくりかえしつかう。

じつにつたえるのに難渋しやすいことばの代表例。保護者の方々がご家庭で教えるのにご苦労されるようすがうかがえる。

中学校から高校へすすむと小学校でつかってきたことばはそれぞれほぼおとながつかうことばや学術用語におきかえられていく。あつかう内容にも抽象概念がふえる。この置き換えの作業、あるいは正しい理解にともなう解釈や説明をもとめられ、論理的手法による証明などなど。哲学など学問のひろがりをその入口から垣間見る。

おわりに

 おかげさまで小学生から中学・高校・大学・大学院のそれぞれの児童・生徒・学生たちと出会いの機会を得て、それぞれのまなびに接することができた。ヒトがこの10年から20年のあいだにまなびをつうじて発達するようすを多くの年齢のことなる方々をつうじて知ることができた。

こんなにひろい学年でまなびをサポートするうえでつかうことばはたいせつ。小学生でもわかることばでなるべく説明できるようになる。これがただひとつわたしのアピールできるところかも。それぞれから「わかりやすい」「つぎへすすみたくなる」と評価をいただけることがはげみになっている。

 

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