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学習サポートの小学生に効果てきめんだった「◯◯るとおぼえられる石」


はじめに

 学習サポートを主宰してきた。あるとき小学3年生の児童が来ていた。こうしてやるといいよと説明になっとくしてそのとおりできるのはまださき。

そこでこんな方法をつかったことも。

暗唱でみにつける

 この地域の小学校の先生は国語のものがたりの暗唱を宿題にされる。するとわたしの主宰する学習サポートにやってきた小学生たちは、いつもの漢字の書きとりや算数のドリルをやったあと、「先生、聞いててね。」とその暗唱の宿題をはじめる。

まずは1文ずつわけておぼえていく。すべての文をひととおり言えたら、こんどはひとかたまりごと。そして全体へとひろげていく。けっこう集中力がいる。日本語のリズムというか、ことばのながれを意味といっしょにつかむとおぼえやすい。

こうした暗唱の課題になる物語文はむかしから教科書に掲載されているものが多い。なかには小学校当時に暗証した記憶のあるものも。こどもたちがとなえるようすを聞いていると、当時を思いおこしどこかなつかしい。

そんな思い出にひたっていられない。こちらはしごと。どうにか課題の暗唱を完結させたい。

こどもたちなりに

 こうした課題は児童によってずいぶん習得に差がある。要領よくおぼえる子がいる一方で、最後のあたりでできるはずの文章をとばしたり、いいまちがったりする子も。散漫になるのか、あるいはおぼえるコツをつかめていないのか。

こちらで指摘しようにもまだ相手は年端もいかない。そのまま伝えてわかるわけではない。専念してもらおうにも、同級生たちがつぎつぎに課題を終えつつあるなかで集中がとぎれがち。あせりがじわじわとおしよせる。

そろそろお迎えがみえられるかなとわたしも多少時間が気になりかける。それをこどもたちにはみせないように、はやくすんだこどもたちには本を読んでいていいとかほかの課題をあたえて、暗唱に難渋する子にこちらは重心をうつす。

おぼえられるかどうか

 物語の内容を思い描けていない可能性がある。そこでいま一度、「きっと◯◯ちゃんはここでこうしたいのかな、それとも…。」などと質問してものがたりの場面をおもいうかべてもらう。

すると「こうしたいんだよね。先生。」とこたえてくれる。「そう、きっとそうだよ。」といったんものがたりにひきこむ。

ものがたりのせかいにはいりこみ、こちらの思いえがくようすとちかづけつつ暗唱の作業にもどる。そしてあとすこしでおぼえられそうになったときに奥の手をだしてくる。

おわりに

 学習サポートの横の小川にかかる橋をわたる先のちょっとした丘。そこにはすわるとちょうどここちよいおおきなひらたい石がある。そこにすわり北東の方向をみつめると、とおくに山と海がひろがる。

そこに「ちょっときてごらん。」と暗唱ができかけてあとすこしの子をつれてくる。「ここにすわってとなえるとよくおぼえられるんだよ。」「え~、ほんとう?」さっそく聞いた子はちょこんとこしかけ、声にだしつつ暗唱をはじめる…。

「ほんとだ、すごい。」とわたしの顔をみてにっこり。


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