キャンバスに描いている絵よりもパレットの上で色どうしがなかばまざりあうようすをうつくしいとかんじる
(2023.8.21加筆あり)
はじめに
油絵をながいことたのしみつつ描いてきた。趣味のひとつ。途中いくどか描かない時期があり、描きかけの絵が多い。その多くはとちゅうまですらすら筆がすすんだのにとたんにとまったまま。
どう描きすすめたらいいかわからなくなったり、いそがしくなったりでそのまま乾かして存在をしばらくするとわすれてしまう。そして思い出したように再開。そんないきあたりばったりの時間のなかでもはっと気づくことがある。
きょうはそんな話。
よく描いてたころ
油絵はわたしの趣味のなかでは古いほう。とぎれとぎれだがつづいていた。先日ひっこしを機会におもいきってデジタルで描くときめるまで。何十年ものあいだに道具を更新したが、なぜか木製のパレットは最初のまま。
油えのぐはかわきがおそく、冬にはパレット上で数日は溶き油でうすめて描ける。下塗りのうえの描きはじめは揮発性の高い調合の油でえのぐを溶く。さいしょのうちは水彩画とさほどかわらない。溶くものが水ではなく油なだけ。さらさらと描けてわりとはやく乾く。さむい時期でも3日後ぐらいのちにはべつのえのぐをかさねられる。
描きすすめるにつれて揮発しにくいいいかおりの油のわりあいをふやしていく。すると油の粘性がまして筆はこびがすこしだけ重く感じられる。コシのつよい豚毛のふでをつかっても重くて、いよいよ溶けかけたバターをキャンバス上におくかんじになってくる。
えのぐはかたちをたもったままちょこんと置かれる。そうやってキャンバスの面をふでやペインティングナイフでうめていく。画面上に色がちりばめられてにぎやかに。この状態がいちばん油絵らしく描いていてたのしい。
ここからが難関
いったんしかるべき場所にそれぞれの示す色のえのぐを置く作業を終えると、となりの色との連関をたしかめつつかたちを明確にしながらきめていく。これはこれでおもしろいし日にちをおけば何度かやりなおせる。上ぬりが基本的に自由な油絵ならではといっていいかも。それだけやりがいがあり際限がない。きっとここからの表現で差がでてくるんだろう。
同時にパレット上には試行錯誤の色のはなが咲いたようにひろがる。おもわずみとれたことも。
ぐうぜんの産物にすぎないのに描いている絵よりもうつくしいなんて。皮肉といえばそうだが、その色をえらんで混色したのはじぶん。いい色をえらんでパレットにおいているといえそう。
おわりに
こうした偶然の産物を芸術上で意味合いをもたせた例もある。美術をまなぶあいだにいろいろと登場した。
もしかしたら色彩に関して関心がつよいのかもしれない。ぐうぜんできたものでも満足できるならそれもいい。これこそ美術なのかもしれない。
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