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身近な素材のくみあわせを研究の対象にしたとたんにブルーオーシャンのせかいがあらわれてなかなか興味深い


はじめに

 最近はものをくっつける、とりはずすということを主眼にして「ある研究」をおこなっている。基本的に生物化学のせかい。とりあつかう物質については秘密保持のため、ここでは具体的には触れられないが自然界にあるごくごく身近なもの。

それだけにふだんの生活のなかでの気づきがとてもたいせつ。

この1年間で10数種類のシーズ

 ちょうど研究パートに就いて今月で1年。わが身の采配で研究してよい立場。科学の最先端はもちろん目を通しているが、それをじぶんもとはいかない。ふところ事情がゆるしてくれず身近な素材を対象に。

すると手にとるもののほとんどを相手にできる。これは自由度満載。じぶんのまわり数メートル以内のどこにもありそうなもので実験をおこなう。費用はほとんどかからない。これはとても大きい。はっきりいってブルーオーシャン。

費用をかけない点においては経験上はっきりいって負けない自信がある。ほとんどの週がわずかな光熱水費以外かけていない。あとはわたしのパート人件費のみ。それでもまだやっていないことがここかしこに見つかる。


シーズのみつけかたは

 それをふだんのありのままの生活のなかで耳をすまして、目をこらし生活をたのしむなかでみつけだす。これはふべんだなとか、こうできたらもっといいのには発明とって必須か。

ふしぎだなとかどうしてだろうと感じたものにじぶんなりにすぐにこたえられないとき。すぐ調べてみてこたえやヒントがみつからないときは新発見かもしれない。いずれも朗報となる。月1回ぐらいの頻度でそれが起こる。

たいていヒトがやっていないか現状ではわからないことが多い。ブルーオーシャンをお金をかけずにすすむのは研究をやるうえで痛快。コスパがいい。これを競争資金を得る指標にすればいいのにといつも思う。審査つき論文数/研究経費の実績ならば胸をはれるのに。

無理をするものでない

 以前のことになるが、ある研究者の方から「よくシーズを見つけてきますね。」といわれた。その方は論文を目を皿のように読んで、学会にも足しげく顔をだしシーズをさがすという。「なかなか見つからないんですよ。これが。」という。

これを聞いてどうしてだろうと思った。「なぜだろう。」は目のまえにあると思う。もちろん最先端の分野のその先にも未知の世界がひろがっている。しかしそこに到達してさらにその先をいくのはなみたいていの苦労ではできない。エベレストの頂上から天上にむかいはしごをかけるようなもの。

しかも手間、人材、費用、時間のいずれもがふんだんに必要。これらをここでは「研究資材」とよぶとしよう。それを否定するわけではないし、それらをそろえられた方々が天上にむかいやればよいこと。

なにも無理していま流行のワードの研究対象に着手してもなあと思う。最先端で論文が出ている状況下で着手しても、論文の当事者たちは人海戦術でもってすでにかなりさきのことをやっている。やはり先にやっていた方々のほうが1日の長がある。研究の分野では数か月、いや1年以上の差かもしれない。逆立ちしてもおいつきおいこせない。

身近な素材ほど

 かたや手もとにころがっているごく日常的な素材から派生するシーズ。着手から結果が出るまでの研究資材は格段にかからない。もちろんこちらは独壇場。ひとつだけここでシーズさがしのヒントをしめすならば、それを選びだすのはいってみればくみあわせの意外さ。

身近にあるけれど両者が出あう可能性がこれまでごくうすいとか、考えにくいくみあわやタイミング。そんなところに有望な素材がころがっているし、実際にそうした研究をすすめて論文にしあげてきた。

おわりに

 とくに研究に費用をなるべくかけないで成果、つまり論文をだすことがもとめられる世のなか。身近な素材を活かすうごきはむしろ研究者よりも一般の方々のほうが熱心かもしれない。すでに地元でも埋もれたシーズの掘り起こしや産業化に熱心な方々をお見受けする。

身近な素材は世の方々には受けいれられやすいと思う。以前からその状態にあっただけにおなじスタンスと手法で研究に着手できる点はプラス要素なのかも。

ひらきなおりなのかな、それともネジくれたのかなあ。

そこの「強み」をいかしつつ、あすはどこから進めようかと寝床にはいる。なかなかやっていてたのしい。


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