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病院の事務屋さん

「仕事は何をされているんですか?」というご質問をときどきいただく。

というのも、本業とは別にクラフト系の少し特殊な創作活動を細々と続けており、たまにメディア取材を申し込まれるからだ。
本当に細々となのだが、たいていなぜか創作活動一本でやっていると思われがちで、本業が別にあることをお話しすると驚かれる。

で。

わたしの本業というのがタイトルにある通り、「(大学)病院の事務」なのだが…
一般的に「病院の事務」って皆さんどんなことを連想されるのだろうか。

病院には医師や看護師の他にも、たくさんの職種の人間が働いている。
薬剤師、栄養管理士、理学療法士、社会福祉士、臨床心理士……もちろん事務員だってうじゃうじゃいる。
普通の会社のように人事や総務、財務、施設管理、経営企画などの部署もある。
病院独自の事務部門で有名なのはレセプトなどの医事会計を管理する医事課だろうか。

わたしが「病院で事務職を」というと、やはり多くの方が「ああ医療事務?」とおっしゃられるのだが、わたしは診療報酬のことはほとんどわからない。
「いえ、地域連携業務を…」と言ってピンときてくれる人には、同業者以外でまだ一度も会ったことがない。

かといって、それ以上説明するのは面倒で、いつも「あー、予約を取ったりとかするとこです」などとあいまいに答えて話を終わらせてしまう(まあ相手も事細かに説明してほしくて訊いているのではないだろうし)。

私の所属する地域連携部門は、大きめの病院であればたいていは設置されている多職種からなる部門だ。「地域連携室」や「患者支援センター」などと呼ばれている部署がそれにあたる。

普通の会社でいうと、よく営業職に例えられる。

病院の経営は、患者が来なければ成り立たない。

その患者を集め、受け入れるために来院申込窓口業務や広報活動、顧客(患者を紹介してくれる地域医療機関)管理、データ収集などを担当する「前方連携」と、状態の落ち着いた入院患者の退院もしくは転院調整を行って院内患者の回転をコントロールする「後方連携」。
大きくこの二つによって地域連携部門は構成されている。

わたしの担当は前方連携のほう。

まず、患者の受診をスムーズに受け入れるために初診予約システムの構築と運用を行っている。
大きい病院なので診療科がたくさんあり、科ごとに独自の予約ルールがあったりして非常に複雑なのだが、間違った予約を入れてしまうと患者さんにも紹介元の医療機関にも当院の診療科にも迷惑がかかってしまう。
そのため予約時には事前に紹介状の中身を確認させていただくが、もちろん一介の事務員が医療の勉強などしてきているわけがなく、最初の数年は主だった傷病名や略語、検査名称などを覚えるのに必死だった。
まあそうやって頑張っていても地域の先生の日本語なのか英語なのかわか達筆すぎる手書き紹介状が全く読めず、室員みんなで解読大会が行われることも珍しくない。
医師同士なら読めるのか…??

そうやって日々やってくる紹介患者の数や属性などのデータを取るため電子カルテ内の部門システムを導入・管理し、抽出したデータを分析して病院実績を計上したり仕組みの見直しを行ったりもしている。

他には、地域医療機関に配布する広報誌の作成。院内を飛び回り広報するネタを探したり写真を撮ったり、新しく来た診療部長に寄稿のお願いをして、何とか作り上げた原稿を編集・校正して印刷にかけ、県内の医療機関へ送付する。

病院公式ホームページの医療関係者が閲覧するエリアの更新も前方の仕事。広報活動の一環だからね。

地域の医療従事者が集う講演会やイベントも年に数回企画運営している。
コロナ禍を経て、いまどきの講演会はハイブリッド開催が当たり前になってきているし、申し込みもアンケートも集計のしやすさから最近は専らWEBフォームで行う。
なのでWEBの知識がそれなりに必要なのがちょっとたいへん。

地域の先生方からいただいた紹介状にうちの医師がちゃんとお返事を書いているかの調査と啓発なんかもしている。
顧客(地域医療機関の先生方)あっての急性期病院です。

 

…まぁこうやってつらつら書いて何が言いたいのかっていうと

これをうまいこと一言二言で伝えるすべはないのかってことなんですが

それを考えるだけの語彙力も熱量もないので

ここに羅列してすっきりしておこうというだけの話でした。

おしまい。

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