見出し画像

あらかじめやくそくすることを予約というのだ

大きい病院の待ち時間ってなんであんなに長いんですかね。

弊院を例にとると
開院前30分ごろから玄関前に患者の行列ができはじめ
開院と同時に受付に行列が移動しさらに行列は伸び
時には順番抜かしでご年配のおじさんが取っ組み合いのけんかをしたり
受付で駐車場の警備員が失礼だったとキレ散らかしているお姉さんがいたり
こういっては何だが少し殺伐としている。

まあ、好き好んで怪我したり病気になったりする人はそういないし、ましてや病院に来たくてたまんなかった人なんていないだろうから無理もない。
みんなしんどかったりどこか痛かったりするから病院に来ているのだ。

なのに、である。
呼び出し番号の表示はいつまでたっても自分の番号を表示してくれず、
予約の際に10時に来いと言われたから念のために9時に来たのに結局診察室に入れたのは11時半、
診察時間はたった3分、
それで済むならなぜ自分はあんなに待たされたのかと思いつつ、今度は長い長い会計待ちの列に加わる…

病院職員ながら、具合が悪くて来てる人に何させてんだって思うよね。


この「大病院ほどめっちゃ待たされる問題」
理由はシンプルで、
「処理速度を上回る患者が殺到しているから」。

予約を取らずにふらっと現れる患者(自己判断のこともあれば紹介元が予約を取らずに受診を指示したパターンもある)や、急患で順番すっ飛ばして診ないといけない患者などもいるにはいるが、それらはおそらく全体の2割もいない。
ただもう単純に、患者の総数が多すぎるのだ。

それなら完全予約制にして、診られる人数だけ受け入れればいいのでは

…というわけにはいかない。

それをするとおそらく弊院のような高度急性期病院は、初診予約は半年以上待ち…なんてのが常態化して、
予約を取らずにやってくる飛込み患者が増えて予約システム自体が崩壊してしまうか、 地域のクリニックから「おたくの病院で今診られないというならこの患者は他にどこに紹介しろっていうんだ!」とお𠮟りを受けてしまうかのどちらかになる。(実際とある科で後者のほうをやらかして大問題になったことがある)

紹介状を持って弊院に来た以上、診療拒否はできない。
ましてや、きちんと予約の手続きを取ってくれているのならなおさらである。

結果、たった30分の枠に初診再診合わせて10人を超えるような予約を入れることになり、
予め約束した時間通りには全く診てあげられない…といったことが起きている。

予約の調整をしているときにたまたま見たある医師の予約枠は、週に一度の外来日に84人の再診予約が詰め込まれていた。
少なく見積もって一人診察に5分としてもそれだけで7時間。
診察以外に医師はカルテ記載や患者が持ってきた紹介状の内容確認、
その紹介状に対するお返事の作成などをしないといけないので…
休憩…とれるのかな…医師の働き方改革って何なんだろ…


患者の待ち時間や医師の過重労働、これらを改善するには外来患者数を減らすしかないのだが、
それは前述した「入り口を狭くする」やり方ではうまくいかない。

結局のところ、「患者自身の意識改革」が一番大事なんじゃないだろうか。

以前の記事でも書いたが、
急性期じゃなくても治療可能な症状・疾患なのに
「家が近いから」
「他の科で通ってるから」
「なんとなく大きい病院のほうがいいから」
そんな理由で急性期病院の受診を希望しない。

急性期病院での治療を受けて症状が落ち着き、医師から「地域の医療機関に紹介しますね」と言われたら素直に受け入れる。

医師だって人間なのだ、
逆紹介を打診した患者が自分の目の前で「見捨てないでください、ここに通わせてください」なんて泣き出したら突き放すことはそうできない。
が、そういう患者さんはかなり多い。

とくに弊院のような大学病院に寄せる患者の思いは、「信仰」と揶揄されるほど強いものがある。
何が何でも大学病院がいい、
自分はずっと大学病院にかかっているからちょっとしたことでも診てもらえる、
そう嬉しそうに語る人を何度も見たけれど

その人自身を含め、誰も得しない行為だということはどう話せばわかってもらえるのだろうか。

医療資源は有限なのだから、適切に効率的に利用しなければならない。
無駄遣いはもってのほかだ。

医師が適正な患者数で丁寧に診察できる環境を整えるため、
治療を必要とする人が予め約束した時間通りに診察を受けられるようにするため、

病院のかかり方はすべての人が意識してくれるようになるといいな。


という愚痴でした

初診予約とスムーズな逆紹介の仕組みを考えるのも我が部署のお仕事なのですが
あまりにもうまくいかなくてですね…
ちょっと(どころじゃない)愚痴っちゃったよね

明日からもお仕事がんばりまっす。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?