見出し画像

夫婦の家じかんー子育てより長い夫婦2人の時間

程よい距離感と心地よい環境でいい関係

家を建てる前には必ず、子どもが独立して夫婦2人でその家に暮らすことをイメージすることをおすすめします。なぜなら人生100年時代、夫婦2人のセカンドライフのほうが、子育て期より長いから。ここでは、書籍「人生を変える住まいと健康のリノベーション」(新建新聞社)に登場するМさん夫婦のエピソードを抜粋、セカンドライフにおける住まいと夫婦関係について考えます。

横浜のМさんは、3人の息子さんが独立し始めたのを機に自宅をリノベーションされました。理由は寒かったから。「寒がりの夫は脱衣所にストーブを置いただけでは足りず、俺はいつかきっと風呂場で倒れる、と。それががきっかけです」と妻。

実は夏も暑かったこのお宅。まず断熱材を追加。窓は高性能窓に交換して外側に可動式のルーバーを設置し日差しをカット。そのうえで1階の部屋をつないで全体をオープンな間取りに。床暖房も設置しました。庭もリフォーム。建物の南面全体をカバーするウッドデッキを設置してアウトドアリビングとして活用できるようにし、その上には日射を遮るパーゴラを設置しました。

夫婦の程よい距離感を実現
定年後再就職した夫は、自宅で仕事をする日は朝9時になると2階の書斎へ行ってパソコンに向かい、夕方5時半になるとリビングへ。昼食は、妻が仕事に行く日はもちろん、休みで家にいるときでも別々に済ませる約束。夫は外食したり、食べたいものを買ってきたり、簡単に料理したり。パートで働く妻は、仕事の日は弁当をつくり、家にいる日は自分の分だけつくるそう。「うちは1泊2食なので」と笑います。

夫の定年後に生活のペースを乱され不満を抱く妻が少なくないようですが、このルールは夫婦が程よい距離感で生活し続けるために編み出された合理的な知恵なのでしょう。

こうして2人が適度な距離を保ちつつ自分のペースで過ごせるのは、暑さや寒さが取り除かれ、家全体を快適に使いこなせるようになったため。庭のウッドデッキも「まるでバリ島にいるみたい」と好評で、自宅でリゾート気分を味わっているそう。

「家にいるのがいちばん楽しい」と話す妻。断熱と庭のリノベーションが夫婦の関係と生活の質を変えたことを物語るエピソードです。