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「和」との融合が、落ち着きと心地よさを生み出す、建築家がつくる住まいを紐解く。

「和MODERN13」では、建築家が考える「和」との融合という巻頭特集で、5人の建築家が手がけた住宅事例を掲載しています。横内敏人さん、手嶋保さん、伊礼智さん、甲村健一さん、堀部安嗣さんが考える「和」を現代に融合させた住まいを解説。敷地を読み解き、住まい手の近い未来や現在のライフスタイルをしっかりくみ取った住まいをちょっとのぞいてみたいと思います。

1)横内敏人さん「八王子の家」
これから夫婦が年齢を重ね、年老いたときでも飽きがこずに住まえるということを主眼に設計されました。配置計画と屋根の形をどうするかを考えながら、全体の構成を決めていくそう。道路から見える家の高さを抑え、奥に行くにしたがって勾配をきつくすることで屋根面が連続して見えるような計画になりました。また、プライバシーを確保することが求められたため、コの字型プランのセミコートハウスになり、中庭と居間・食堂が一体感をもつ気持ちよい空間に。

02)手嶋保さん「牟礼の家」
恵まれた環境を享受する、5人家族の住まい。設計にあたって、北側の道やその先の緑地に向かって居住空間を開くこと、つながりを持たせることを検討したそう。家全体をワンルームとしてとらえ、スキップする用途の違う6つの床を設えました。その空間を家の中心に設けられた鉄骨階段が結びつけています。各々のスペースは壁で仕切られているわけではなく、程よい距離感でつながるということも特徴のひとつです。

03)伊礼智さん「福島の家」
夫婦の終の棲家として計画された平屋の住まいです。ガレージ棟、リビング棟、寝室棟の3つに分けられた居場所を流れるようにつなげ、東南方向に臨むことができる福島市内の桜の名所である花見山へ向かうような配置にしています。道路近くに設けたガレージから、雨の日も濡れずに玄関へアプローチでき、玄関は通り土間になっているため、北の菜園にも抜けることができます。機能的な動線により、移動の楽しさを生み出している住まいです。

04)甲村健一さん「汐見櫓の家」
眼前に広がる相模湾を一望する別荘は、通りと海、それぞれに正対な2つのボリュームによって構成されています。通りに対しては歴史ある町並みに融け込むように3枚の屋根を設け、伝統的な和を思わせる縦格子や低く抑えた軒といった要素を取り入れつつ、金属・瓦・コンクリートの屋根により洗練されたシャープな構成に。1階からは周辺の松とその奥に広がる海が望めるため、温泉(浴室)を設け、特別なひとときが過ごせます。

05)堀部安嗣さん「南に開く家」
パッシブ(太陽や風などの自然エネルギーを利用)とアクティブ(空調などの設備により積極的に空気を制御)の共存がテーマになった住まい。断熱気密で重要になる開口部のデザインを軽やかにすることに重きをおき、サッシの存在感を減らすように、壁柱を設えています。料理を楽しみ、人を招くことが多いため、キッチンにもこだわり、ステンレス製のカウンターは極力コーキングのない特注で、動線にも徹底的にこだわっています。

上記の建築家事例は、「和MODERN13」に掲載しています。ほかにも、建築家・泉幸甫さんによる巻頭特集や地域の工務店さんによる魅力あふれる住宅事例をたくさん掲載しています。ぜひご覧ください。

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