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大事なことは目に見えない。家づくりは「見えないこと」が大事です『あたらしい家づくりの教科書』

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高性能なエコハウスの最前線で活躍する9人のエキスパートたちが、説得力のある言葉とデータ、魅力的な写真、味のあるイラストともに、これからの家づくりに欠かせない視点、住宅の性能と住み心地・健康・燃費の関係と「高性能なエコハウス」の必要性・メリットをわかりやすく説く本。

断熱・気密性能を高め、太陽・風の力を上手に生かす家づくりを、本
書では「高性能なエコハウス」と呼んでいます。家全体が快適になるだ
けでなく、健康・美容にも効果的で、燃費がよくなって光熱費とCO2
を減らすことができます。断熱・気密性能、太陽・風の力といった目に
見えないものを一番に考えることで、こうした見えにくいけれど大事な
ものが手に入るのです。

キッチンや収納といった目に見えるものよりも、見えないものを大事
にする。本書はそんな家づくりの優先順位と「高性能なエコハウス」を
提案する「あたらしい家づくりの教科書」です。

Contents
よい家は「温熱」に優れている 前真之
よい家は「断熱・気密」が大事 松尾和也
よい家は「窓」が決め手 水上修一
よい家は「健康」をつくる 岩前篤
よい家は「燃費」がよい 今泉太爾
家の設計で暮らしは変わる 竹内昌義
高性能で美しい家を 伊礼智
みんなが幸せになる家をつくろう 森みわ
「高性能なエコハウス」を手に入れたくなったら 三浦祐成

本書から、温熱の考え方について、一部抜粋して紹介します。

「快感」と「快適」はちょっと違う
「快感」は長続きしない
夏でも冬でも、体が適温の範囲でちょうどよく放熱をできる、それが質の高い快適な温熱環境です。それでは、快適な空間とは「夏涼しく」「冬暖かい」ということなのでしょうか。実はちょっと違います。「涼しい」「暖かい」という感覚は、快感に近いものです。快感は変化によってもたらされます。暑い屋外から冷房の効いた空間に入ると「涼しい」、寒い空間で薪ストーブの前に座ると「暖かい」と感じます。いずれも快感の一種です。残念ながら、快感は長続きしません。冷房の効いた空間に長くいればやがて寒く感じはじめますし、ストーブの前に座り続ければやがて暑く感じはじめます。このように快感は長続きせず、やがて不快になってきます。

極度の「快感」追求は体に悪い

熱的に極端な冷却・加熱の環境へ急に身がさらされると、人間の体は熱バランスを保とうとして必死になります。それは体表面やコアの体温や血圧の急変動を招き、体に大きなストレスをかけることになります。北欧ではサウナと極寒の屋外とを交互に行き来する、まさに快感のあくなき追求ともいえる習慣があるようですが、心臓発作などの被害も随分多いようです。

「快感」はエネルギー効率もよくない

変化のギャップが大きいとエネルギー面の無駄が大きくなります。暑い時に冷たい熱、寒い時に熱い熱を生み出すことにはムリがあり、余計な電気を使ってしまいます。
快感は変化のギャップが大きいほど大きくなります。ギャンブルにおける最高の快感は、破産寸前からの一発大逆転だ、と聞いたことがあります。ギャンブラーは最高の快感を求め続け、やがては本当に破産してしまうそうです。熱環境も同じで、快感を無闇に追求することはリスクが大きいのです。※よい家は「温熱」に優れている(前真之)より抜粋