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ずっと使いやすくスッキリした家を維持するための秘訣~必要なモノは、暮らしの変化とともに変わっていく|住宅収納スペシャリスト川島マリ


住宅収納スペシャリストの川島マリです。今日は収納マップ®と暮らし方とのかかわり方について。

「ライフステージ」という言葉を調べてみると、人間の一生における幼年期・児童期・青年期・壮年期・老年期などのそれぞれの段階のことを指す、とあります。家族については、新婚期・育児期・教育期・子独立期・老夫婦期などに分けられます。人生はひとつずつステージをあがっていきますが、普段は自分がいまどのステージにいるのかを意識することはなくても、イベントごとに区切って振り返ると、前とは違うステージに変わっていることを実感するということがあるはずです。

これを身の回りのモノと合わせて考えてみましょう。夫婦ふたりの生活は、モノが多くても2人分の荷物なので時々片付けていれば何とかなりますし、置き場所があやふやでも、探せば大抵のものは見つかります。

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写真:PhotoAC

ところが、子どもが生まれると人間ひとりぶんの持ち物が増えるだけではなく、お付き合いも広がりますし、保育園や学校から毎日大量のモノが持ち込まれます。さらに部活や習いごとを始めれば、そこから指定されたウェアや必需品を購入しなくてはならないので、子育て中は気をつけていても相当数のモノが増えることは仕方のないことです。

ここで悩ましいのが子どもに関する思い出品です。お絵かきした紙や小さくなっていく服も、すべてが子どもの日々の成長の記録なので、二度と手に入らないその時だけの大切なモノと思うと、どれも手放し難いですよね。

私も子どもが描いた絵やノートなど、大切にとっておいた時期がありましたが、これも残す基準を決めておかないと増える一方でキリがありません。

スッキリと暮らすためには、意図せず次々と持ち込まれてくるモノ達にもすべて置き場所を決めていく必要がありますので、家を建てる時の収納は子育て期間をマックスの量と考え、まだその時期になっていない方は余裕をもって考えておかなくてはいけません。

多くの場合は将来子供部屋にしようと計画されているスペースが、増えるモノのための予備スペースとなると思いますが、家族のモノまで子どもスペースに収納するような計画なら、子どもが育つ前にモノを減らしておかないと後々モノがあふれてしまうのは目に見えています。

収納先はいまある収納のなかでやりくり

家を建てる段階で収納マップ®を作成してあれば、収納の中は決まった収納グループになっています。出産、進学、卒業、子の独立とライフステージが変わるたびに、個室の収納だけではなくリビングや共有スペースに置かれているモノも同時に見直すことが大切です。

★収納マップ®のつくり方は下記を参照してくださいね。

生活が変わると、リビングで行うこと、個室で行うこと、出かける時の動きと、一日の行動動線から変わってきます。当然、持ち物や毎日使うモノも変わるため、収納場所の見直しをする必要があります。

収納したいモノの量がさほど変わらなければ個々のスペースのなかで入れ替えるだけでいいのですが、入らない場合は他のモノを移動する必要がでてきます。収まっているモノで、使う回数が減っているモノはないか、コンパクトにできないか見直しましょう。

例えば、リビングで着替えていた子どもも小学3、4年生になれば自分の部屋で洋服を選んで着替えるようになりますし、遊びの内容も徐々に変わっていくため、リビングのおもちゃコーナーは子供部屋へ移動してもいい時期がきます。

リビング収納にはオモチャと着替えのかわりに勉強道具が増えてくるでしょうし、子供部屋は着替えや趣味のモノ、本などが増え始めプライベート空間らしくなります。習いごと関連の持ち物も色々と増えているかもしれません。

見落としがちなのが玄関収納です。子どもの靴のサイズはどんどん大きくなりますので、靴が入りきらなくなったら親の一人あたりの靴数を減らす、シーズンオフの靴は置き場所を変えるなどの工夫も必要です。

ライフステージが変わるタイミングで柔軟に収納を見直す

上記のように、家のなかは徐々にモノが増えていきますが、その都度、モノのグループを崩さない様にしながら移動させたり、グループ同士を入れ替えたりして収納先を見直していきます。

★グルーピング/まとめ方についてはこちらをご参照ください

収納マップ作りで使用した持ち物リストを使うと簡単です。同じグループのモノでも入り切らない時は、よく使うモノとあまり使わないモノに分けて2カ所に収納します。この時気をつけなくてはならないのは、関連性の無いものをゴチャゴチャに混ぜて収納することと、同じグループのモノを思いつきで何カ所にも分けてしまうことです。グルーピングは守ったうえで、収納場所を分ける時は2カ所まで。これがルールです。

収納マップはライフステージが変わる度に、少しずつ書き換えていきます。収納できる場所は極力増やさないように気をつけて、収納する物を入れ替えていけばスッキリした状態で暮らすことができます。

どうしても収納が足りなくなったら

とはいえ、幼児期から教育期はどんなにモノを減らした生活を心がけていても入り切らないものが出てくるかもしれません。

私の場合も、子ども2人が空手を習っていたので学校の持ち物に加え道着や防具などが増え、さらに夫が仕事関連の用具やグッズなどを大量に家に持ち込んだ時期もあり、入り切らないモノが溢れ困りました。

収納を増やさないこと、減らすことも大切ですが、出し入れしづらいことにストレスを感じて片付けが面倒になるくらいなら、収納家具を購入してスペースを増やすか外にレンタルスペースを借りるなど、柔軟に対応していきましょう。なかなか計画通りにはいきませんし、よく言いますが、モノは減らせばいいということでもないですから。

家具を買うときのポイントは、それをどの位の期間使うのか、使わなくなった時にどうするのか考えることです。私が家具を買う時は、最初に下記のどちらにするか決めて選びます。
① 一生使いたいと思う気に入った家具
② 気軽に移動でき、いらないと思う時に処分しやすいモノ(カラーボックスなど)
どちらにするかは予算や価値観によりけりだと思いますが、大切なポイントは、一つの目的にしか使えないモノを選ばないことです。

例えば、今はリビング学習が主流になっているので子どものランドセルや教科書置き場をリビングにどう作るかというお悩みをよくいただきます。学習デスクと支度専用ラックなどをリビングで見ることがよくありますが、これから購入しようと考えるのなら、低学年で使えなくなりそうなタイプではなく、汎用性が高く長い時期使えるモノを選ばれることをおすすめします。

子どもの身長はすぐに大きくなりますし、教科書の量も増えていきます。専用のデスクやラックを使わなくても書類ケースとカゴを組み合わせた棚があれば、スタディコーナーは素敵につくることができます。使わなくなったら処分すればいいと考えていても、今は処分するほうが手間とお金がかかって面倒です。購入するときには、慎重に考えましょう。


使わなくなったモノや使用頻度の減ったモノは、使用者(管理者)が撤去してスペースを譲る

収納マップがあると、誰も使っていなくて忘れてしまっているモノがあることにも気づけます。キレイに収まっていると、いつの間にか存在自体を忘れてしまうこともありますが、一度収納マップを作っていれば家族みんながどこに何が収納されているのか知っている状態なので、一目でこれは誰のモノなのか、モノの管理者がわかります。そのため、誰の荷物が収納スペースを圧迫しているのかが一目瞭然です。

各々が自分のモノを自己責任で管理し、他の人の迷惑にならないようにしていくことは、子どもにとっては大切な教育(住育)になります。

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写真:PhotoAC

書き換えながら一生使える収納マップ®

ずっと先になるかもしれませんが、子が独立するために家を出る時も、収納マップがあれば移動が楽に行なえます。新しい生活で必要な持ち物リストを基に、収納マップから必要なモノをグループごと持ち出せばいいのです。

子どもの独立とともに夫婦ふたりの生活に戻れば収納に余裕ができますし、空いた子供部屋の新しい活用方法を考えることもできます。

収納マップをライフステージごとに更新していれば、家族それぞれが自分のモノに意識を持って生活することが習慣になっていくので、使われていないモノがそのまま子供部屋に何となく残されて、子ども部屋はそのまま物置になっていく…という事態を防ぐことができます。

家の隅々までフル活用できている状態が当たり前の暮らしになるのです。

また、将来介護がはじまったら介護用のリノベーションが必要になるかもしれません。そんな時にも、収納マップが更新されていればライフステージに合わせてモノも新陳代謝され、年齢にふさわしいモノが残されているので、介護生活にスムーズに対応したリノベーションができます。片付けから始めるとなると一苦労ですから。

家は何十年も家族が過ごす場所です。
ライフステージごとに必要なモノが変わり、家族が入れ替わり、建物は次の世代に引き継がれていくでしょう。収納マップも書き換えながら引き継いでいけば、無駄な物置空間などがないスッキリした暮らしをずっと維持できる家であり続けます。

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お問合せ先 株式会社イリス
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