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批評の座標――批評の地勢図を引き直す

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■2023年4月から連載開始、月2回記事を掲載します(4月は1回のみ、1年間連載予定)。 ■書き手は新進気鋭の批評家・ライターの方がたにお願いします。
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2023年11月の記事一覧

【批評の座標 第15回】見ることのメカニズム――宮川淳の美術批評(安井海洋)

【批評の座標 第15回】見ることのメカニズム――宮川淳の美術批評(安井海洋)


見ることのメカニズム宮川淳の美術批評

安井海洋

1.はじめに

 荒川修作とマドリン・ギンズは1970年のヴェネツィア・ビエンナーレで連作「意味のメカニズム」を発表した。以後いくたびか改変、再制作、書籍化を繰り返す本作を通して、荒川とギンズは視覚で認知し得る空間をどこまで二次元平面上に置き換えられるかを問う。こうしたコンセプトは、それ以前から続いている荒川個人の作品群である「図形絵画」シリー

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【批評の座標 中間報告記事】編集補助班よりふたたび愛をこめて

【批評の座標 中間報告記事】編集補助班よりふたたび愛をこめて

編集補助班よりふたたび愛をこめて――中間報告

1.「批評の座標」ここまでの連載

 note連載企画「批評の座標――批評の地勢図を引き直す」も、すでに第一回から第十四回までを数え、ようやく折り返し地点である。月に二本の記事を掲載する本企画は、一年間の連載を予定している。ここまで掲載してきた記事を、一覧にまとめてみよう。

①赤井浩太「ゼロ距離の批評――小林秀雄論」

②小峰ひずみ「青春と悪罵――

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【批評の座標 第14回】SFにおける主体性の問題――山野浩一論(前田龍之祐)

【批評の座標 第14回】SFにおける主体性の問題――山野浩一論(前田龍之祐)


SFにおける主体性の問題山野浩一論

前田龍之祐

1.‘‘SF批評家・山野浩一’’の誕生

 過去の日本の批評家の仕事を振り返りながら、「批評の地勢図を引き直す」ことを目的とする本企画だが、SF批評の「地勢図」を考える際に多くの読者が想起するのは、巽孝之編『日本SF論争史』(勁草書房、2000年)によって纏められた一連の議論ではないだろうか。
 同書は、日本初のSF商業誌『SFマガジン』の創刊

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