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【保険会社出身メンバーが語る】満足いただける事故対応とは

羽鳥大貴
【経歴】
2012年に慶應義塾大学経済学部を卒業。
新卒であいおいニッセイ同和損害保険株式会社に入社し、自動車保険の査定業務を担当。主に死亡・重傷事故の高額賠償事案や、訴訟・モラルリスク事案を対応。
2020年11月よりhokan入社。現在はhokanのカスタマーサクセスチームで、プロダクト導入支援などに従事。

株式会社hokanでカスタマーサクセスを担当している羽鳥と申します。
前職では8年間自動車保険の査定業務を担当し、主に死亡・重傷事故の対応をしておりました。
事故で本当に困っている人に対して、「保険会社として何ができるか?」ということを常に考えながら仕事をしていました。

査定業務の最終的なゴールは保険金のお支払いである事は間違いありません。
ですが、本当に大切なことは事故当事者のストレスを早期に解消し、解決に至るまで精神的なサポートを継続することだと思っています。

私自身も解決までのプロセスを丁寧に行い、数々の交通事故を円満に解決することができましたが、時に「不満足の声」をいただくこともありました。
2018年度からは管理者として「不満足の声」を少しでも減らすべく、事故対応品質の向上を通じた顧客満足度獲得活動に尽力してまいりました。

今回の記事では「なぜ代理店経営において事故対応が重要なのか」、「事故対応のポイント」についてご紹介したいと思います。

なぜ代理店経営において事故対応が重要なのか


代理店経営において事故対応が重要である背景として、『既存顧客の重要性』が挙げられます。

自動車保険は加入率90%にのぼるといわれる成熟した市場です。
新規開拓に限界がある中で、重要なことは「解約件数を減らし、既存顧客をいかに維持できるか」です。

保険解約理由の一つに「保険会社/代理店への不満足」があり、その要因として「保険金支払い時の対応」が大きな割合を占めます。

あいおいグラフ

あいおいニッセイ同和損害保険「お客さまの声(苦情)の受付状況 2020年度のおもな要因別受付状況」
https://www.aioinissaydowa.co.jp/corporate/approach/customer_voice03.html

つまり不満足の大きな要因である「保険金支払い時の対応」でお客様にご満足いただけるような代理店対応ができれば、既存顧客の継続率向上に十分な効果があると考えられます。

事故対応をスムーズにさせる4つのポイント

・代理店型保険の強みを活かす事故対応を
自動車保険にはダイレクト型、代理店型があり、大きな違いは事故対応の窓口として代理店が介入するか否かという点です。

「事故対応は苦手」、「営業活動が忙しい」等の理由で事故対応を保険会社に一任される方もいらっしゃいますが、時として「代理店は保険募集時には親身になって対応してくれたが、いざという時に力になってくれなかった」等の不満足の声をいただくこともありました。

私自身、学生時代に交通事故を起こしてしまい、頭が真っ白になった経験があります。
そんな時に見ず知らずの保険会社の担当者よりも、長年関係がある代理店からのサポートの方がより安心感を与える対応ができると思っています。

是非、お客様の頼れるパートナーとして、保険会社とお客様を繋ぐ架け橋となっていただければと思います。

・事故の受付は保険会社主導
お客様から代理店の方へ事故発生の一報をいただいた際、事故状況の詳細を聞いて、保険会社へ報告をされる方が多くいらっしゃます。
先ほどと言っていることが真逆になるかもしれませんが、初期対応は保険会社で行うべきだと思っています。

理由は以下の通りです。
①情報収集の漏れが発生する懸念がある
②誤った説明によるトラブルが発生する懸念がある
③レッカーや代車等の最短手配ができない

もちろん、事故形態やお客様との関係性などで個別にご判断いただく必要があると思いますので、臨機応変な対応が必要です。

・定期的な経過報告
査定業務をしている中で一番多い苦情が、担当者からの連絡頻度によるものでした。

連絡頻度で不満をもたれないために以下3点を徹底しておりました。
①進捗の都度、お客様へ連絡すること
②物損の場合は2週間、人身の場合は1ヶ月に1度はお客様接点をもつこと
③上記タイミングでご連絡させていただく旨をお客様に伝え、了承いただくこと

お客様へ連絡する際には「進捗状況」と「今後方針の説明」をきちんと伝えることが重要で、具体的な報告がないとかえってお客様が不安になります。
連絡前に保険会社と連携し、必要な情報を確認の上、お客様の対応をいただければと思います。

・プロセスを重ねることで、納得感のある解決を実現
相手と示談交渉が必要な賠償事故は過去の裁判例に基づいて交渉が行われます。
また事故当事者双方の合意があって初めて示談となるため、お客様の全ての要望を実現することは現実的に難しいものです。

一部ではありますが、お客様の声を優先するあまり、過去の裁判例からかけ離れた過度な交渉を依頼されるケースもありました。
当然、保険会社もできる限り要望の実現に向けて交渉しますが、結果的に要望が実現できなかった場合には「保険会社/代理店の力量がないからだ」と判断されかねません。

お客様の要望を実現できれば一番良いとは思いますが、私個人の考えとしては「お客様にご納得いただいた上で解決をすること」が重要だと思っています。

そのために以下プロセスを繰り返すことが必要です。
①お客様の要望を聞く
②要望の真意を理解して、保険会社に伝える
③交渉結果を報告する
④報告の中でお客様を説得する必要がある場合は客観的事実、法的・医学的根拠に基づいた説明をする

上記プロセスを継続することで、大半のお客様にはご納得をいただけると思います。

ですがどれだけプロセスを重ねて合理的な説明を継続しても、ご納得いただけないケースは少なからず存在します。そのようなケースに備えて、弁護士特約を備えておくことは重要だと思っています。

「法律の専門家」である弁護士にご相談いただくことで納得感が得られることも多く、また万が一訴訟に発展した場合も、各種費用等のお支払いを通じてお客様の支援を行うことができます。

弁護士特約が付帯されていない場合は、日弁連交通事故相談センターをご紹介いただく方法もございますので、ぜひご活用ください。

最後に

一部ではありますが、過去の経験を基に事故対応の重要性、ポイントについてお話しさせていただきました。
ご参考になれば幸いです。

今後hokanにおいても、前職での経験を活かし、代理店の皆様のお役に立てるよう、親身なサポートを心がけていきたいと思います。

ご質問、ご要望などがありましたら、ぜひお声がけください!

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