見出し画像

オゲレツ・キテレツ・オセンベツ

人事異動の春。
3月末の新聞紙面を見ていると人事の悲喜交々が読み取れる。

銀行役職員の異動といえば、その昔は「お餞別」なる習慣があった。
要は、支店長などが転任する際に、その支店の古くからのお取引先からもらう「現ナマ」のことだ。

多い時には100万単位のお金が渡されることもあったとか。

特に名門店の支店長ともなれば、その後銀行の役員になる可能性も高く、企業にとっては将来の自分たちの調達を有利に運ばせるための一つの「つばつけ」ツールだったように思う(半●直樹の大和田常務がわかりやすいところか)。

昔はとにかく銀行が強かったということの名残であり証跡なのだろう。

時代も変わり、銀行と顧客のパワーバランスは、かつての売り手市場から顧客企業側のパワーが勝つ買い手市場に一部変容したとは言え、まだまだ銀行が優越的地位を有している場合もある多いと思う。

さすがに昔ほど露骨でなくなったかもしれないがまだ地域によっては存続している風習なのかもしれない。

この習慣の是非について語るつもりはなく、否定も肯定もしない。

また、金融業界だけでなく「古い体質の業界」ではまだ依然としてこのような風習が残っているやに聞く。

企業によっては「現金受取は不可。
しかし、固辞することで取引先との関係が悪化する場合にはYシャツお仕立て券の受取は可」らしい。

個人のポケットに入れて良いかどうかは企業毎に違うようだが、金融機関においては「支店の飲み会等での景品にするならOK」とか「本部に一括上納」とか対応はまちまちらしい。

製造企業の総代理店では、製造業側で異動があると役職によって渡す金額のテーブルが存在するらしく、非常に生々しい。

製造業側の人の心理も面白く、異動時のお餞別をアテにするやつならまだしも、時によっては、自らの地位を高く見せ、より多くのお餞別を受け取るためによくわからないタイトルを自称する人もいたとか。

人の業とは実に愉快なもので、その滑稽さがもはや新作落語になりそうなレベルだ。

私自身にも、お客様が餞別をくれようとした経験もあるし、難しい案件を解決した際に「個人的な手数料」をくれようとした方がいたのも事実だ。

若く金に困っていた頃、私の分身は完全にカネを受け取っていたが、なんとかギリ本体でこらえ固辞した。

今でもあれいくら入ってたんだろう?と夢に出る。

カッコつけるわけではないが、胸を張れないカネを受け取ってしまうと、なんだか自分がそこで値付けされてしまうようでイヤなのだ。

自分もそのあと無駄に「おべっか」とか言ってしまいそうだし、勿論お客様のほうが偉いのだが、精神的に対等であれなくなってしまう気がした。

この時期の人事異動を見るにつけ、餞別用の新券両替が増えるのかな?とか、Yシャツ券購入ダッシュをかます若手がいるのかな?とかひとり空想しながら、今日も競馬に負けた私は安居酒屋で安酒を煽っている。

お金ちゃーん、おいちゃんのところに来ておくれよぉ。

アカン。
ワイは金に「選別」されとるわ。

おあとがよろしいようでー

おしまい

Produced By じこったねこばす
Twitter:

この記事が参加している募集

#仕事について話そう

110,342件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?