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読む、 #ウェンホリ No.07-02「本当に好きな人には会いたくない」

ラジオ書き起こし職人・みやーんZZさんによるPodcast「WEDNESDAY HOLIDAY(ウェンズデイ・ホリデイ)」書き起こしシリーズ。通称「読む、#ウェンホリ」。第7回の芸人・小沢一敬さんとベーシストのハマ・オカモトさんの対談から「本当に好きな人には会いたくない」をお届けます。

「好きを仕事にするって本当に心地良い?」をトークテーマに据えた第7回エピソードですが、話はいつの間にか小沢さんが地球でいちばん好きだという真島昌利さんのことに。そこから、あらためて「好きを仕事にする」について向き合います。

<No.07-01から続く>

小沢さんと真島昌利さんとのファーストコンタクト

小沢:なんかさ、変な話、好きな人……これは別に恋愛とかじゃなくて、憧れのバンドとか、憧れのお笑いの人じゃないけど。「なにを好きではじめたのか?」とか、それってすごい興味があるのよ。後輩に対してでも、面白い奴がいると「どんなの観て育ったの?」とか。変な話さ、聞かれても答えるの難しいと思うのよ。

ハマ:そうですね。自分に置き換えてもやっぱりちょっと難しかったりしますもんね。そこは。

小沢:すごく変な話をするけど。俺、真島昌利さんっていう人が地球でいちばん好きなの

ハマ:マーシーさん。

小沢:マーシー。はじめてお会いさせていただいたとき、1時間にひと言も喋れなかったの。

ハマ:それは、緊張でですか?

小沢:大好きすぎて。だけど思い切ってなにか喋ろうと思って。俺の第一声、「セックス・ピストルズのいちばん好きな曲、『せーの』で言い合いません?」って言ったの。

ハマ:フハハハハハハハハッ!

小沢:俺、もうマジでどうかしてたんだよ。マジでどうかしていたんだけど……。

ハマ:えっ? 1時間緊張して喋れなかった、それを壊したきっかけがそれなんだ?(笑)。

小沢:この話、ちょっと長くなるけど聞いてくれる?

ハマ:いや、もちろん。いやいや、すごい興味ありますよ。

小沢:ナイツの塙くんが、真島さんとすごい仲良いんだよ。

ハマ:へー! ああ、それは元々、小沢さんがお会いする前から?

小沢:前からあの2人、仲が良くて。真島さんって演芸とか……まあ落語もそうだし、漫才とかもお好きで。すごい観に行かれてるのね。それで仲良くて。で、俺は塙くんと仲が良くて。塙くんが俺が真島さんのことを大好きなのを知ってたから、誘ってくれるのよ。だけど俺、いちばん好きな人と会いたくないんだよ。

ハマ:その気持ち、わかりますよ。

小沢:で、4回断ったっていうか、「俺には無理です」って言わせてもらっていたの。それは真島さんじゃなくて、塙くんにね。「俺、無理無理」って言っていて。でもある日、塙くんに怒られて。「いつまでそんなこと続けてるの? 出会いに照れてんじゃねえ!」って言われて。ハッと目が覚めて。「じゃあ、行くよ。ただ、2人じゃ嫌だから」って言って。それで真島さんと俺と塙くんと徳井くんで行くことになったの。そしたらその日、塙くんが熱出て、徳井さんはおばあちゃんが病気かなにかで「お見舞い行くから」ってなって。俺、2人で行くことになっちゃって。「これはちょっとまずい」と思って。それでお笑いと音楽のちょうど真ん中っていうことで、どぶろっくを連れていったの。

ハマ:フハハハハハハハハッ!

小沢:あいつらがちょうど真ん中だから(笑)。

ハマ:2人ともですか?

小沢:どぶろっくの江口っていう方ね。そしたら、あの子もヒロトさん、マーシーさんが大好きで。ブルーハーツ、ハイロウズ、クロマニヨンズで育ってるから。まあ、同世代だしね。ちょっと俺より後輩なのかな? どぶろっくはね。で、江口がすごい喋ってくれるんだよ。俺はもう、ひと言も喋れず。もうお酒を飲んで、トイレに行って……しかできなくて。で、俺がトイレ行ってる隙に江口とかに真島さんは聞いてたんだって。「小沢くんって、ああいう人なの?」っていうぐらい俺、もうガチガチで。そしたらさ、江口がいい感じで喋っていて。いい感じで飲んでてさ。なんか江口もいい感じに酔っ払っちゃったのかな? 「本当に僕はブルーハーツにいろんなことを教わったんです」って言ったの。そしたらなんか、俺の変なスイッチが入っちゃって。「それは違うな」ってまず言ったの。

ハマ:フハハハハハハハハッ! おお、違うんですね?

小沢:「ブルーハーツは何も教えてねえんだよ。お前が勝手に気づいたんだろ?」って俺、言ったの。そしたら真島さんが「小沢くんの言う通りだよ」っつったの。その瞬間、俺は「真島さーん!」ってなって。「セックス・ピストルズのいちばん好きな曲、『せーの』で言い合いません?」って。これに繋がったのよ(笑)。

ハマ:そこでなんですね。それね(笑)。

小沢:もう、どうかしてたんだけども。あのとき(笑)。

ハマ:まあ、たしかに聞いたうえでもどうかしてるかもしれないです(笑)。

小沢:でも1時間、黙って飲んでたらこうなっちゃうのよ(笑)。酒量が増えてたから。

ハマ:酒量が(笑)。えっ、マーシーさんはどうだったんですか? それはすぐに?

小沢:そしたらさ、まあ当然、わかるよね。ピストルズとか。

ハマ:もちろん。はい。

小沢:そしたら普通さ、変な話、『Anarchy in the U.K.』とかさ、『God Save The Queen』って言うでしょう? 真島さんと俺が同時に『No Feeling』って言ったの。

ハマ:うわっ、へー!

小沢:その瞬間、嬉しくてさ!

ハマ:嬉しいですね! 『Submission』でもなく(笑)。

小沢:もうずーっと音楽の話。幸せだったね! それから2週間、マーシーの夢を見たもん(笑)。ある日は中学の同級生だったり、あるいは一緒にバンドやってたり。2週間、毎日マーシーの夢を見てた。

ハマ:いい夢ばっかりっすね。

小沢:うん。夢のような時間。

ハマ:へー! それはもう本当に、もう好きすぎて会いたくもないスターっていう。

小沢:よくさ、「好きだからあの人に会いたい。会わせて」とか言う人、いるじゃん? 「そんなの、好きじゃないよ」って思っちゃうよね(笑)。

ハマ:そう。好きの度合いがちょっと全然違うよねっていう(笑)。

小沢:好きな人と飲みたいんじゃないの。好きな人が飲んでるのを、同じ店の遠くから見ていたいっていう。それに近くない?

ハマ:そうですね。近いですね。せめてできるのはそれぐらい……っていう感じですよね。いや、わかりますよ。めちゃめちゃ。今、小沢さんがおっしゃった、その「私、すごいその人のこと、好き」とか「俺、すごい好きだから会いたい。友達だったら紹介してよ」っていうその「好き」って、まあ別にそのどっちが高い・低いはないですけども。

小沢:そういうのはないけど、でもちょっと僕らとは違うねっていうね。

ハマ:そうですね。物差しで言うと、やっぱり「好き」にもいろいろあるから。だから最初におっしゃった、それを仕事にするっていうのが……。

小沢:おっ、戻そうとした。

ハマ:いやいやいや(笑)。

グッドニュースとバッドニュース

小沢:俺、今思っていたの。グッドニュースとバッドニュースが1個ずつあるなと思ってたの。どっちから聞きたい? まあ、バッドニュースは……。

ハマ:ああ、そうですね。悪い方が先に聞きたいかもしれないです(笑)。

小沢:「好き」を仕事にする話からどんどん遠くなってってるなっていうのがバッドニュース。

ハマ:なるほど。そうですか? 大丈夫。全然そんな、なんか「むしろすげえ最高のパスをずっと振ってるな、小沢さんは」って思って聞いてましたけどね。

小沢:で、グッドニュースは、めちゃくちゃ楽しい(笑)。

ハマ:フハハハハハハハハッ! ああ、よかった。俺もめちゃくちゃ楽しいです。なかなかこう、もちろん小沢さんとまったく同じ音楽ルーツじゃないですけど。僕はもうちょっと、その音楽がもちろん生業ですけど。なんかこういう目線でお話できる人って、実はあんまりいないっていうか。同業は同業のやっぱり目線があるんで、ちょっと違うけど。小沢さんはなんていうか……。

小沢:俺はファン目線だからね(笑)。

ハマ:そうそう。ファンの気持ちを持ったうえでちゃんと好きな人と話すのって、すごく嬉しいんで。僕。なので……なんでしょうね? よく言われるんですよ。やっぱり人によってはたぶん、それをすごくイージーなふうに捉える人もいるじゃないですか。「好きなことを仕事にしてるんだから、文句言うなよ」とか、「そんな幸せなことはない」とか。もちろん、それは否定はしないんですよ。それはもちろん事実だと思うんですけど。でもやっぱり今の話にあったような、わかるけど違う世界線というか、目線があるって話はしたいなって思うんで。すごくね、なんかそのマーシーさんに会った話って、めちゃめちゃ気持ちがわかるっていうか。

<No.07-03へ続く>

文:みやーんZZ


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