パラサイトシングル日本代表

実家歴30年目を迎えた田舎の長男。28歳で初彼女ができるもいざ付き合ってみるとプレッシ…

パラサイトシングル日本代表

実家歴30年目を迎えた田舎の長男。28歳で初彼女ができるもいざ付き合ってみるとプレッシャーを感じてしまい一年で別れ、また独身街道を突っ走っている。心が自立できず実家に寄生する「パラサイトシングル」の典型的な人間として言い訳、苦悩を書き綴っていければと思います。

最近の記事

28歳で初彼女ができた話 ⑨甦る思い出…時が経つほどつらい

ミハルと別れてからも、連絡は取り合った。今までの延長線上で食事に行ったり、ドライブに行くこともあった。でももう恋人ではない僕らは、一線を超えることはない。ミハルの表情も、どこか心から笑っていないような気がした。 1ヶ月ほどで、連絡をとる回数も減っていった。僕が何かLINEを送っても、返事がないこともあった。まだフォローを続けているインスタも、いいねをくれなくなってきた。 そして3ヶ月後、ミハルのインスタストーリーに男と写った写真が上げられていた。はっきりとは言っていないが

    • 28歳で初彼女ができた話 ⑧ついに訪れた別れの日…止まらない涙

      待ち合わせたのはミハルの最寄駅の近くのコンビニ。ミハルが運転して迎えに来てくれていた。ドライブがてら、家まで送ってくれるという。僕たちにはわりとおなじみのパターンだ。険悪というわけではなかったが、どこか緊張感がある。ほどなくしてミハルから本題を切り出した。 「ねえ、そんなに私のこと嫌い?」 僕は何も言えなかった。ミハルは泣きながら、僕への想いを吐き出してくれた。仕事で一緒になるうちに、大好きになっていたこと。会うたびに毎日ドキドキしていたこと。付き合うことになって、本当に

      • 28歳で初彼女ができた話 ⑦静かな亀裂… 何も言えぬまま、遠ざかる距離

        ミハルは性格が良い子だった。家庭が複雑なのによくぞここまで良い子に育ったなと思えるほど、素直で人に対して思いやりを持って接することができる子だ。しかしどこかで人に怯えている感じというか、自分を卑下することによって攻撃されるのを防ぐような部分を感じた。 小さい頃父親が厳しかった僕も気持ちはわかるが、自分の意見を言うのが怖くて「自分がどうしたいか」よりも「どうすれば怒られないか」を優先してしまうのだ。そこに関しては共感できたし、心に抱える問題の根底はミハルと一緒だと勝手に思って

        • 28歳で初彼女ができた話 ⑥生まれた迷い…結婚とその先

          楽しく甘酸っぱいミハルとの恋人生活。しかし順風満帆な日々は長くは続かない。その原因は、僕自身の心にあった。 ある日ミハルが横にいた時、こんなことが浮かんでしまったのだ。 「俺は一生彼女と一緒でいいのか?」 毎日楽しく過ごしていたとはいえ、結婚となると話は別だ。失礼を承知で書くが、ミハルは家庭が少々ワケありのようだった。お母さんは夜の仕事をしており、実のお父さんとは小さい頃に別れているらしい。再婚相手の父とは上手くいっていないようで、実質お父さんがいない家庭なのだという。ハ

        28歳で初彼女ができた話 ⑨甦る思い出…時が経つほどつらい

          28歳で初彼女ができた話 ⑤はじめての夜…待ちに待った、童貞卒業

          正式に付き合い始めた僕たちは、今までと同じように色々な場所へ出かけた。 付き合って2ヶ月経ったころには、初めての泊まりも経験した。都内のビジネスホテルのような気取らないホテル。 お互い緊張しいの二人には、そうしたシンプルなホテルが丁度良かった。 付き合う合図と同様、泊まりに誘ってくれたのもミハルからだった。都内で気になる観光スポットがあるからと、散策する流れでさりげなく予約を取ってくれたのだ。 今でもその日付はしっかりと覚えている。僕の童貞卒業記念日だ。つい最近まで、女

          28歳で初彼女ができた話 ⑤はじめての夜…待ちに待った、童貞卒業

          28歳で初彼女ができた話 ④ついに…正式に友達から彼女になった瞬間

          そこからの一週間は不思議な感じで、仕事中も心ここにあらずという気持ちだった。 お互いに好きという感情はすでにぶつかった。しかし好きという言葉は出ていない。とにかく臆病者で一歩踏み出すことを恐れる僕は、どこか恐怖心があり自分から好きと言い出すことはできなかったのだ。 一週間後、いつものように遊びに行った。ミハルの提案でこの日は映画を見た。ゲラゲラ笑えるようなコメディ作品だった。 帰り道はこの日もミハルが送ってくれた。 実家なので家の目の前だとまずいので、送り先は近くのコンビ

          28歳で初彼女ができた話 ④ついに…正式に友達から彼女になった瞬間

          28歳で初彼女ができた話 ③言葉より先に、溢れ出た想い

          2019年になったはがりのある夜、ミハルの仕事が早く終わったためドライブに出かけた。運転はミハルだ。走ってみたいコースがあるから練習がてら付き合ってほしいという。僕はいつものように、二つ返事で誘いに乗った。 すると帰り道、ミハルはこんな相談を持ちかけてきた。 「私に好意を持ってる人がいる。この前一緒に食事に出かけたけど…楽しく感じない。タクミさんと一緒にいる時間が楽しすぎて」 タクミとは僕のことだ。この相談はつまり、ミハルの中で僕が一番であることを示していた。ミハルはちょ

          28歳で初彼女ができた話 ③言葉より先に、溢れ出た想い

          28歳で初彼女ができた話 ②もう戻れない、仲良し3人組からの進展

          お互いの異動などもありしばらくは単に同じ会社の人というだけの関係だったが、入社6年目の2018年夏に進展を迎える。ミハルたちの代の食事会に僕も誘ってくれたのだ。その代には僕の後輩にあたる男性社員もいたため、話はスムーズに進んだ。お互い仕事の立場も忘れ、和気あいあいと楽しいひとときを過ごしたのだった。 帰りの方向が一緒で、かつ2人だけだったので帰り道も盛り上がった。一緒に仕事をしていた頃の思い出話、あの頃はできなかったプライベートの話… 話し足らずに彼女の最寄駅のベンチで延々

          28歳で初彼女ができた話 ②もう戻れない、仲良し3人組からの進展

          28歳で初彼女ができた話 ①就職、そして彼女との出会い。超えるつもりはなかった仕事の関係

          大学卒業後は実家から通える距離の会社に就職した。だから今も実家暮らしなのだ。都心ではないが、都内の会社。大企業ではないが大きい会社のグループ企業で、安定感という意味でもまあまあ満足だった。 1年目はちょっとしたミスできつく怒られたりすることもあり、会社のことを思い出すとお腹が痛くなることもあるほどだった。しかし最初を耐えれば怖かった先輩も味方に変わり、社内での居心地は良くなっていった。当時は働き方改革もあまり叫ばれていない頃で、残業や休日出勤も青天井。体力的にきつい代わりに

          28歳で初彼女ができた話 ①就職、そして彼女との出会い。超えるつもりはなかった仕事の関係

          いい人ではない。いい子ちゃんを演じている。

          長らくモテなかった僕だが、意外と女友達はいるつもりだ。女の子に手を出したり、アタックする勇気がなかったからだろう。最低限の良い人、ではいられたのだ。いわゆる「良い人止まり」ってやつだ。 嫌われることを必要以上に恐れ、いい人に思われるにはどうするかばかり考えてしまっていたのだ。レールから外れる挑戦をせず、決断を下すことができない。そのおかげで人から煙たがられることはなかったが、中身がない人間になってしまったと思う。 薄々気づいてはいたが、僕はマザコンなのだろう。 別に毎週母

          いい人ではない。いい子ちゃんを演じている。

          「ふつう」に憧れる人生。

          いま思うと、僕は常にふつうに憧れていた。 幼稚園の頃は、みんなと一緒に外で遊ぶことはなく室内でままごとをしていた。 小学生の頃は、放課後に遊びに誘ってくれる人がいても面倒くさくて断ることが多かった。 当時はそれが自分にとって快適だったけど、こうした幼少期の一匹狼っぷりがふつうのレールから逸れていく原因だった。 中学校では野球部に入った。 幸い野球部の仲間はみんな優しく、ちょっと変わり者の僕に温かく接してくれた。 小学生低学年から野球はやっていたが、練習は面倒臭くて嫌々行

          「ふつう」に憧れる人生。

          好きなことでも、頼まれると面倒に。

          僕は毎年「年賀状」に凝っている。その年に流行ったことのパロディで面白おかしく編集して画像を作り、なかなか好評を得ているつもりだ。 その実績もあってか、以前友人に結婚式のムービーを作ってくれないかと頼まれたことがあった。 動画は作ったことが無かったが、向こうも他に頼める人がいないようだったし、悪い気はしなかったのでひとまず引き受けた。 ところが人に頼まれたことを、その意向を汲みながら作品をつくるというのは想像以上にストレスの溜まる作業だった。静止画ではなく動画に関しては初

          好きなことでも、頼まれると面倒に。

          実家はやばい、でも出たくない30歳。

          はじめまして。パラサイトシングル日本代表です。 名前の通り、生まれてこのかた実家を出たことがなく、今も実家で暮らし続ける「パラサイトシングル」(=寄生している未婚者)です。 田舎の長男である僕は、首都圏のはずれの小さな町に生まれました。幸いにも、いや、今思うとむしろ不幸だったのかもしれませんが…比較的豊かな家で生まれ育つことができたと思います。時間はかかっても都内の大学まで電車1本で通うことができ、就職した会社も通える距離。実家を出る理由など無く、この恵まれた家を継ぐことが

          実家はやばい、でも出たくない30歳。