桜の季節 最終話

前回の桜の季節はこちら。


  庄之助の葬儀から10年後…。

  庄之助宅の桜の木はまだ健在であった、昨年までしっかり花も満開に咲かせていたようだ。しかし、今年はついに花を咲かせなかった……。ちょうどあの時の桜の精が言った寿命の半分を使い切ってしまったのだった。

  枯れてしまった桜の木に近づいてくる1人の青年。

「こんにちは、爺さんの桜。」

  青年は桜の木に話しかけている。

「もう秋になると言うのに、今年はついに花を咲かせていくれなかったね。」

  悲しげに俯く青年。

「爺さんが死んでからもう10年だよ、俺ももう18歳立派な大人だよ。」

  なんとこの青年は成長した谷山一雄だった。父である谷山正彦は庄之助が亡くなってから落胆する一雄と葉子の為に庄之助の形見で溢れたこの家で暮らすことにした。そして、取り壊されることなくこの家も桜の木も残す事ができたのだ。一雄は桜の木に話しかけ続けた。

「いつも寂しくなったらこの日記とここに来た。いつでも爺さんに会えるような気がしたから……。この木と一緒に爺さんがそこにいるといまでも思っているよ。」

  一雄は桜の木を庄之助と思って話しかけているようだ。

「今更だけど今日は爺さんに言いたい事があるんだ、聞いてくれてるかな?」

  桜の木は変わらずに佇んでいる。

「ずっと謎だったんだ、あの時助けてくれたお兄さんは誰だったのか。」

  一雄は手に持っていた日記をめくりはじめた。

「この日記に挟まっていた写真で謎は解けたよ。」

  日記から取り出した1枚の白黒写真。そこには満開のこの桜の木と引きつった笑顔の青年が写っている。写真の裏にはこう書かれていた『大親友の下で庄之助20歳』と。

「あの時、誘拐犯から助けてくれたのは爺さんだったんだね。」

  一雄は悔しそうに俯き。

「どうして若返った姿で現れたのかは分からないけど、今は後悔だけが胸でいぱいなんだ。どうしてちゃんとお礼を言えなかったのか。」

  一雄は桜の木を見上げた。

「あの時は爺さんとは知らずにちゃんとお礼できなくてごめん。それに爺さんが伝えたかった事、本当の強さとは力が強いだけじゃない、心が強いことだって!今更気づくことができた。だから今なら言えるよ爺さん!何度でも、爺さんに届くまで!ありがとう!おじいちゃん!ありがとう!」

  一雄の頬を一筋の涙がつたう。

「え…!桜が!咲いた!」

  枯れてしまっていた桜が急に満開になった、まるで一雄の言葉に桜と庄之助が答えている様だった。

終わり

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最後までご覧頂きありがとうございました。何とか完結させる事ができました。そもそも小説なんて書く文才も無いのに無謀なチャレンジでした(笑)ダイエット企画でなかなか書く時間も減っていて遅くなりました……。

自分の作品は舞台の台本が元になっている為セリフのみのところが多く、小説特有の表現の仕方も勉強不足で……。小説を読みなれている方にはお目汚しだったかも知れません……。まだまだ、勉強して書き直し良い作品に仕上げて行きたいと考えています!ぜひとも感想やアドバイスを頂けたらありがたいです!

また、過去作品もどんどん手を加えて再度アップロードしていきたいと考えています!こちらもぜひお願いいたします!

『奇跡の在り方』

『LINE』

LINEでは、更なる続編も考えていますが……。自分の知識や勉強不足でなかなか進んでいません……。こんな作品どうですか?など案を頂けたら嬉しいです!

作品数は少ないですが、それぞれどこかで小さい繋がりをつくってます、桜の季節とも繋がりがあると話しがこちら。


『桜の季節』

こちらもマガジン化していますので、今回この最終話しか見てないよ、少し興味出たよって方はぜひこちらから。お時間ある時にでも読んでいただけたら嬉しいです!



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