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「ドイツ代表をすこれ」2022 QATAR WORLD CUP Edition

いまこの画面を見ている「あなた」に質問を一つします。

あなたはどのサッカーチームをよく応援していますか?

おそらく多くの方は日本や各国の代表だったり、エネルギッシュなJリーグやプレミア、リーガの各チームといったものを挙げると思います。かくいう私もその一人。というわけで今日は整理もかねて、私の"大好き"な「ドイツ代表」について目いっぱい語らせてください。どうかお時間をください。よろしくお願いしまーす!

「ドイツ代表」とは何か?

ドイツ代表と聞いて思い浮かぶものは何でしょうか?
ミネイロン?無慈悲?強固?ゲルマン魂?足の速いヴェルナー?いろいろあっていいですね。

私自身は、それまであまり興味のなかったサッカーという競技も含めてブラジルワールドカップからドイツ代表に触れ、そこからずーっと応援を続けています。本格的に見始めようと思ったのはロシアワールドカップが終わった後。最近はがっつり追っかけられてはいませんが、ちょくちょく情報を仕入れながら細々とやってたりします。

ドイツ代表の最大の魅力、それは「強さとしたたかさを兼ね備えた剛柔」です。国内には世界のサッカー戦術理解をリードするチームの一つたるFCバイエルン・ミュンヘンもありますし、世界各国に散らばるドイツの選手もそうそうたる教育を受けて世界に巣立っています。毎試合が学びあり実りある世界。それがドイツ代表の世界です。

ただここ最近はよくないニュースが続くのも確か。大きな衝撃を受けたエジルの禍根、グループリーグ敗退もそうです。次のワールドカップでは絶対に失敗の許されないシビアな雰囲気ですが、9月以降は不安定なパフォーマンスに終始していますし、代表にかかるプレッシャーは半端なものではないと感じます。だからこそ、テレビの前の「あなた」の応援が何よりの力になるのです。

フリックとゆかいななかまたち

ここから先は、今回のカタール大会でどんな選手がいるのか、現在発売中の「現代フットボールの主旋律」でも挙げられていたトライアングル4.1のユニットに合わせて解説します。また監督を務めるフリックさんとはどんな人なのかを紹介します。僕の「推し」たちです!

※ノイアー以外のユニットはボール位置状況に合わせて頻繁にメンバーが入れ替わります。よろしく。

最終防衛基地 ドイツの心の支え

GK マヌエル・ノイアー

ドイツ代表の精神的支柱。肩のケガの影響で本調子ではないですが、困ったらノイアーのフィードから、という恐ろしさはやはり気持ちいい。セービング力だけではなく、CBと一緒にジャブを適切に打つ力も長けており、相手がグーを出して殴ってきたらパーで丸め込むプレーは、もはや日常の光景です。年齢的にも、もう一度ワールドカップのタイトルを取るラストチャンス。どこまで輝けるか、超期待!

左舷部隊 ドイツの核

DF ダヴィド・ラウム

アグレッシブなプレーにコンピュータソフトを入れた頭の良さが光る、攻撃のキープレーヤー。彼が「ちょっと前」に出ればアタック開始のサイン。タンクのようでフランカーチックな動きで、相手のヘイトを買いまくる。ブンデスで推しているRBライプツィヒの選手ということもあり、エジルの代表引退後、私が最も気になっている選手です。

DF アントニオ・リュディガー

ボアテングの志を継ぐ新世代のドイツCB。そのジェット戦闘機のようで圧倒的な対人能力は、多くの選手の壁となって立ちはだかります。強く優しい陽キャな感じですが、実は彼の最大の魅力は相手の出方を見出だす「審判のロックアップ」にあるのです。たまに見せるわけわからん愛嬌あるプレー?なんですかそれは?

中央部隊 ドイツの潤滑油

MF イルカイ・ギュンドアン

誰よりも連携を愛し、連携に愛された男。現在のドイツ代表の最重要人物です。おとりになったり、つり出したり、ラジバンダリ。ここ最近のクラブでは控えに甘んじてきましたが、それでも腐らずに磨き続ける様子は畏敬の念すら感じます。彼が動けばドイツは動く。それだけの存在あるプレーにぜひ注目してみてくださいね。

MF ヨシュア・キミッヒ

主人公。持ち前の判断力はそのまま、フィニッシュの技術にも磨きをかけて大会へ挑みます。現代サッカーは一人でタクトを振れないと、長短のパスを相手に叩き込むことができればグッと勝利が近くなる、とも思ってますが、彼の独り舞台になってしまうかは、みんなの動き次第。

右舷部隊 ドイツの銛打ち

MF ヨナス・ホフマン

神出鬼没。それでいて常識的。「ああ、きみそんなとこにいたのね」と分かればきっと好きになれる現代表屈指の仕事人。豪勢なタレント陣がクラブでも軒並み苦しむ中、ただ一人黙々とサイドから相手をぶん殴り続ける姿が美しい。山寺宏一のような虹色の役者ぶりが、どこまで通じるか楽しみです。

MF セルジュ・ニャブリ

ついに復活を遂げたドイツの“後出しジャンケンマン”。変幻自在のステップ捌きと圧倒的な嗅覚で、チームの得点能力を大きく引っ張る。彼がいなきゃドイツは始まらない。僕もずっと待ってました。ニャブリニャブリニャブリーーーーーーーーーー!と、もう一度叫ばせてほしい!!

最前線部隊 ドイツの"デア・ボンバー"

FW/MF トーマス・ミュラー

この舞台の全てを知るマイスター・ジンガー。ライン管理とオフザボールの動き方を誰よりも叩き込んできた男。頼れるベテランだけども、直前の怪我がどこまでパフォーマンスに影響を与えるかは未知数。更なる輝きを信じ、もう一度美しく花咲かせたい!

FW ニクラス・フュルクルク

29歳にしてついに代表デビューを果たす、ブレーメンが誇る「走れるタンク・フォワード」。同郷ヒーローのラインハルトのように味方を背負うその姿に、あなたは惚れること間違いなし。終盤でも疲れぬタフさも迫力満点。最後の“ゲルマン魂継承者”のひとりが、今日もまた火を吹きます。

FW ユスファ・ムココ

中学生の年齢でデビューし、今年ついに才能が華開いた世紀の神童。速く、鋭く、読んで、正確に大暴れする、21世紀のゲルト・ミュラーなんて声は伊達ではありません。同じように読みの鋭いヴェルナーがケガで出れない中、その才能を遺憾なく発揮できるのか。サプライズ選出なんて言わせないぜ!

ジョーカー部隊 ドイツの切り札たち

MF レオン・ゴレツカ

前回のワールドカップが収録されたサッカーゲーム「FIFA18」最強選手候補。でかい、つよい、はやい、うまい、すべてがそろったパーフェクトフィジカルモンスター。またの名を「当代屈指のフリット・ギャング」とも。BOX to BOXのパフォーマンスにおいては類を見ないほどの強さを持ち、いざというときに頼りになって大暴れします。ここ一番というときに、イチバーンでリアルネプチューンなパワーを見せつけてほしい!

MF ジャマル・ミュージアラ

剛健なドイツ代表には珍しいファンタジスタ。突破力やフィニッシュ能力の高さはもちろん、本番ではさすがにやるかどうか未知数だけど実はボランチもできるフィールド理解力の素晴らしさも大きな武器。タッチの鮮やかさが、フィールドに彩りを加え、テレビの前のあなたにも色をつけていくでしょう。

監督

ハンジ・フリック

チャンピオンズリーグ全勝優勝という偉大すぎる功績を残した後、名将レーブの後を継ぎ監督となった漢。手負い、不調、未知数という面々が多いメンバーの中、抜群の「見聞色の覇気」でチームを導きます。中央突破ではなくサイド攻撃をとにかく重視し、中央はボールを奪うためのスペースと位置付ける彼の独特な采配は、いかにして光らせられるのか。さらなる進化を遂げたカタールでも、彼のマジックから目が離せません。

これがドイツ・マジック

フランカーと奏でよう

監督の項でも触れた通り、フリックさん特有のサイド攻撃の分厚さそのまんまに、さまざまな手の込んだマジックを込められているのが現在のドイツ代表です。それを手っ取り早く理解するために、私はゲーム「オーバーウォッチ」シリーズにおける「フランカー」の役割をよく例えに出しています。オーバーウォッチというゲームは敵と味方の正面衝突だけではありません。違う方向から回り込んでサポートを狩ったり相手の注意を買ったりする「フランカー」と呼ばれるロール(役割)が、大きく幅を利かせています。陣形が不安定な形に伸びれば伸びるほど、彼ら彼女らの餌食です。

うまいゲンジとかソンブラをみているとそうなんですが、ただ集団の横とか後ろから手裏剣を相手に向かってぺしぺしぶっ刺し続けるのではなく、ペイロードから見たバックライン(≒ボール基準で後方にいる選手)をつり出したり、ジャブを打って様子を見たり、場合によってはフロントラインと一緒にボッコボコにしたりと、連鎖・連動した形でしっかりと貢献できるフランカーは強いです。

これと同じ役割を持たせているのがドイツ代表におけるサイドバックやLM、RMじゃないかなぁと私は思っています。OWのヒーローに乳酸がたまることはなく、(当たり前のこと言いますが)サッカーにはデスがありません。しかしながらやってるのは彼ら彼女らと同じことです。また、現在のドイツ代表にはいわゆるゲルマン魂的な高いフィジカルと機動力でフロントラインに出て、チームを大きく引っ張る「タンク」がほとんどいません。あれ?ゴレツカは?という方、とても鋭いですね。最近メインで張ってないのを見て気づいたあなたも大正解です。もう時代は、マテウスやバラックのものではないんです。

ジャズではなく「ステレオ・サウンド・ジャブ」

ドイツの“ステレオサウンドのような“攻撃は、常に挑戦と失敗と修正を繰り返しながら前に進みます。小手先のゲルマン魂が通じなくなった以上どうするか、というのでだいぶ長い間過渡期が続いているようにも思います。

“とにかく奪われたら何がなんでもボールを取り返そうとする”のは、「あたらしいゲルマン魂」のようにも見えますね。今のドイツの強さを下支えするのは圧倒的でパターンの個性あふれるラッシュ(乱戦に持ち込んで確実に一人落とし、そこから有利な状況に持ち込む戦術)であります。「流動的なユニット」という組織で相手を終始ぶっ壊し続けるのは山賊2.0のようなヒントもあって、見ていて爽快です。

また、苦しんでる中でやっと生み出されたのが、リュディガーの項でも触れた「審判のロックアップ」=CBからのパス、という”相手の出方を見る手法“だと私は感じます。ドイツの堅実な運び方がどうなるかは、言ってみればこの効果的なジャブをどれだけ打っているかにも繋がり、左右のユニットの中でも特に重要なポジションです。だからハンガリーに大負けした後に彼らの位置感を詰める必要があったんですね。

審判のロックアップとは「キン肉マン」に出てくるネプチューンマン喧嘩男の得意技で、組み合っただけで相手の実力がわかってしまうという特技です。これとおんなじことをリュディガーやジューレはやってるんですが、大事なのはその「ジャブの打ち方」であって、これがなかなか難しいとも思います。

ボクシングにおけるジャブは、相手との距離を測ったり、相手の反応を誘ったりするための非常に重要なテクニックです。ジャブの種類が非常に多彩で、それを下支えする体と技術があるメイウェザーを見てると、なんとなくドイツとの共通項を見出せるかもしれません。速いだけじゃなく、「どんな出方を誘うためにどういう方向へ打つか」まで計算に入れてこそ、彼らは輝くのです。

しかしながら、シュロッターベックやジューレには明確な課題があり、特に出方を見る力に関してはまだ発展途上なように見えます。このメンバーでは苦しんだ時にロングボールでの打開ができなかったりもします(フェルクルクいるけど未知数)し、ドイツが優勝するには、武藤敬司のプロレスのように必ず自分のスタイルで強引に試合を成立させる必要があるとも思います。

デア・ボンバー部隊が前線をコントロールしつつ、ジャブで出方を誘ってフランカーがサインを出す。そこへギュンドアンやキミッヒが吊り出したりサポートすることで、ドイツという交響曲は完成すると思っています。あなたもぜひ、この交響曲を体感しませんか?

もっと知りたい、あなたたちのこと

この章では、いざドイツ代表に興味を持ったけど、どこで情報を仕入れればいいの?という方にいろいろご教示します。

ドイツ代表 公式チャンネル

ドイツ代表がどんな試合をするのかもっと見たい!という方は、ドイツ代表の公式Youtubeチャンネルがおすすめです。短めなハイライトながらも、その魅力を余すところなくつかむことができます。

一例として予選でリヒテンシュタインをボコった時の試合を挙げていますが、きっとあなたもハイスピードで緻密なサッカーに目を奪われるでしょう。相手の5バックのスキをかいくぐり、圧倒的なダメージを与えていく姿はまさに眼福ものです。

FUSSBALL.JP

ドイツのサッカーの情報を知りたいと言えば、間違いなくここにたどり着きます。知らない者はいないタブロイド紙「kicker」など、新鮮で生の情報がたんまり。現地記者の声を大切にした翻訳は、非常に丁寧で切れ味抜群です。ぜひとも片手にワールドカップを楽しんでほしいなぁと思っています。

おわりに

今回のワールドカップ、私も非常に楽しみにしています。推しているチームがゴールデンの地上波にやってきたとき、それはなによりも格別の喜びです。

11/23には日本代表との試合があります。Abemaなら無料生中継配信があるので、ぜひぜひ。

栄光をつかんだ時、みなさんこう叫んでくださいね。

ドイツ代表を、全力ですこれ。

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