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公務員自衛隊、安泰なのは定年までの話。そのあとに待ち構える将来は・・・?

公務員と聞くと、とても安定していて無難な仕事と思う人が多いと思います。実際は、そんなことはないというお話しをします。
自衛官は特別職国家公務員であり、毎月18日に給料がもらえます。
そして、年功序列でクビもなく、何もしなくても居続けられることは確かです。
やっぱり安定かというと、そうではありません。
何もしなくてもOKなのはあくまで自衛隊の中にいる間の話で、誰にでも定年退職は訪れます。
そして、自衛官はこの定年退職年齢が50代と比較的早く訪れるため、一般の方よりも退職後の人生が長いことが特徴になります。
かつて社会保障が成立していた頃は、退職金も年金も潤沢にもらえたので何も心配はいりませんでした。
しかし、現在は少子高齢化と日本の経済縮小により、老後が長いことはリスクでしかなくなっています。
この退職後の人生をどのように生き抜くかが、公務員、とりわけ自衛官の課題になっています。

では、再就職先は本当にないかというとそんなことはありません。
勤務場所・勤務時間・報酬を選ばなければ仕事はあります。

「勤務場所」
自衛官の間、全国転勤で家族とは離れ離れの生活を数年、十数年続けた上に退職し、やっと家族と過ごせると思っていても、自宅の近辺に戻れず出稼ぎを続けなければならないということは多々あります。
募集時に全国から自衛隊に入ってきている一方で、退職後の採用があるのは都内や首都圏が大半です。
自宅を地元に構えてしまった人は単身赴任生活を継続せざるを得ません。

「勤務時間」
市場価値が低い自衛官は、定年退職後に年収が著しく下がります。
そして、職務能力や経験がないのでなかなかこの状況を打開することは難しいでしょう。
低い時給で十分に稼ぎたいと思われている定年退職者の中で、よく聞くのは夜勤を多めに入れたり、複数の仕事を掛け持ちしたりしているということです。
大学生のように寝る間を惜しんで働き続ける人が一定数いるということは事実です。

「報酬」
カテゴリーで分類すると、(前職職業:その他)、(業態:その他)、(資格:大型免許)、(職務経験:その他)、54歳
というのが自衛隊の現実です。
即戦力になり得ない50代半ばの人を量産しています。
当然、この経歴でできる仕事となると単純労働が多く、なかなか給料は厳しいです。
私が直接聞いて衝撃的だったのは、2佐(中佐クラス)の方が再就職先を自衛隊の援護課(再就職先を紹介する部署)にお願いしたら、霊柩車のドライバーになってしまったという話です。

毎日毎日ご遺体を運ぶ仕事ですぐに滅入ってしまい、給料も低かったことから1年もたたずに辞めて、自力で再就職先を探したということでした。

自衛隊が何でも面倒見てくれると思ったら大間違いです。

以前うちの会社にもい自衛隊援護課の人が「退職自衛官を引き取ってくれないか?」と訪問してきたことがありました。

それをやっている人も定年まであと5年くらいでしたので、近い将来自分も同じように苦労するんだろうなーと話していました。


自衛隊は安定していないというお話しをしました。
若い隊員は、定年退職者がどんな退職後を過ごすか知っています。
そして、そうなりたくないと思い、早めに見切りをつけて辞めていく人が後を絶ちません。

そして、近年の安全保障環境は急速に変化していますし、集団安全保障が機能しなくなってきています。

自衛隊はなくてはならない組織でありながら、存続の危機にあります。

これからも元自衛官として、国防の実情を発信していきたいと思います。

では!

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