10/4 ニュースなスペイン語 Delito de odio:ヘイト・クライム
ヘイトクライム(hate crime)は嫌悪・憎悪に基づく特定のカテゴリーに属す人々に対する犯罪のこと。これらの悪は、多くの場合、偏見や誤解から生まれる。
21年度、ヘイト・クライムと認定された犯罪は1802件発生した。
19年度のヘイト・クライムが1706件だったので、約5.6%増加したことになる。
ちなみに、2020年度はコロナ禍によって様々な傾向が他の年と明らか(evidente)に異なるため、こういう比較調査の対象にならないことがある。
さて、2021年度のヘイト・クライムの内訳を見てみよう。
21年度に発生したヘイト・クライムの中で最多なのは、人種差別(racismo)・外国人嫌い(xenofobia)によるもので、全体の35.5%を占める。19年度と比べると約24%増加した。
また、性的指向(orientación sexual)とか性自認(identidad de género)をめぐるヘイト・クライムは、19年度は278件であったのに対して、21年度は466件に膨れ上がった。増加率は67.6%で、決して看過できない値。
一方、主義・主張(ideología)によるヘイト・クライムは19年度は596件あったが、21年度は326件だったので、45.3%も減った計算になる。
男性(63.8%);年齢層は26歳から40歳(32.9%);スペイン国籍(65.5%)ーー。これがヘイト・クライムの被害者(víctima)のプロフィールだ。
そして、加害者・容疑者・逮捕者の大部分(81.2%)が男性ということも分かった。
ヘイトが、実際、どのような形で現れるかというと、軽傷(lesiones)を負わせる(21.2%)、脅し(amenazas)をかける(21.14%)、重傷(daños)を負わせる(6.8%)などが目立つ。
つまり、性的指向などに偏見に満ちた男性が、性自認などを理由に、26〜40歳の若いスペイン人男性に対して、軽傷を負わせるーー。昨今のニュースを見聞きすると、こんな場面を想像することが難しくないのが困ったところだ。
性自認とか外国人であるという、比較的、表に出やすい項目に対するヘイト・クライムが増え、イデオロギーなどの、見えにくくて、分かりにくい項目に対する犯罪が減っているのは、ヘイト・クライムが単純化・短絡化していることの現れかもしれない。
そして、今、スペインの各地で右傾化がささやかれている。これまで、中道的だった政党の存在感が薄れ、右派思想を掲げる政党が支持を集め、次第に発言力を増している。
ヘイト・クライム、特に外国人嫌いと性的少数者への危害が増加していることと、一部の地域で右派政党への傾倒が顕著になっていることは、リンクしているのか、それとも、単なる偶然か。
後者と思いたいが、恐らく前者かもしれない……。
写真はヘイト・クライムの啓発イメージ。
出典
https://www.rtve.es/noticias/20221003/delitos-odio-orientacion-sexual-identidad-genero-disparan-68/2404708.shtml