8/10 ニュースなスペイン語 Verano negro:暗黒の夏
ここ最近のメディアで、「暗黒の夏」という表現がふたつの違った文脈で使われている。
ひとつは「溺死(ahogamiento)」による被害者が多いというニュース。今年に入ってからすでに222名が溺れて亡くなっている。
7月は全体で40名、24時間以内で8名が亡くなった日もあったという。
溺れて亡くなるパタンはいくつかあって、
◯危険な行為をする(adopción de conductas de riesgo)
◯子供からうっかり目を離す(los momentos de relajación en la vigilancia de menores)、
◯監視員のいない場所で泳ぐ(bañarse en zonas sin vigilancia)
◯水辺や水中でアルコールやドラッグを摂取する(el consumo de alcohol y otras drogas cerca o dentro del agua)
◯てんかんなど持病を患っている(las condiciones médicas como la epilepsia)
◯旅行者などが地元の海や川の特性を知らない(los turistas no familiarizados con las particularidades de las aguas locales)
など、納得(同情)できるものから、そうでないものまで、様々だ。
そして、もうひとつが「男性からの暴力(violencia machista)」で亡くなった女性が7月には8名に達し、史上最悪の月となったという話題の中で出てくる「暗黒の夏」。
今年に入って(en lo que llevamos de 2023)すでに35名の女性が今のパートナー(pareja)か元パートナー(expareja)に殺害されたという。
記録を取り始めた2003年から累計で見てみると、7月が119名の犠牲者が出ていて、他の月と比べて突出していることから、専門家たちの間では、休暇の時期は男性に殺害される女性が多い(en los periodos vacacionales aumentan los asesinatos machistas)との傾向(tendencia)が指摘されていたが、今年もその予測を裏付ける格好となりそう。
これは、休暇中は男女が共に時間を過ごすこと(convivencia)が多くなり、パートナーとの間にある弾薬庫が爆発する機会(oportunidades de que estalle el polvorín)も増えるためという。
なお、6月、7月、8月の夏の休暇の3ヶ月で14名が亡くなっている(8月は24時間以内に3名が殺害された時もあった)。
スペインのこのような痛ましい事件の報道の特徴のひとつが、上述したように2003年からの累計を示す点。
もうひとつが、女性が殺害され、男性パートナーが逮捕されるか、もしくは自殺を図るかによって、身寄りの失くなった子供たち(huérfano)にも言及する点。
夏期休暇の間、新たに10名を超える子供たちが孤児となってしまった。5ヶ月の幼児もいるという。
また、警察への事前の通報(denuncia)についても言及があり、この休暇中の殺害事件では、わずか1件だったらしい。
関係の好転を期待していたのか、もしくは子供たちと僅かな希望の光を見ていたのか――。どちらも叶わぬまま命を落とした女性たちには同情しかない。
ご冥福をお祈りします。アーメン。
写真は暴力根絶のイメージ画像。