6/13 ニュースなスペイン語 Ley de amnistía:恩赦法
5月30日に国会(正確には下院(Congreso de Diputados))で可決・成立した恩赦法が11日、官報(BOE)に公布され、いよいよ、発効した(entra en vigor)。
国家検察局(Fiscalía General del Estado)は13日、恩赦法が施行されることで、現在係争中の82件の法的事案(procedimiento penal)で、486名の被告訴人(486 personas encausadas)が影響を受ける(podría afectar)との試算を公表した(calcula)。
この場合の「影響を受ける」というのは、2017年10月1日の違法な住民投票(referéndum ilegal)を行った案件で起訴されている人物らが無罪放免になる可能性を暗に記したもの。
ただ、1日の小欄でも紹介したように、この法律は自動的かつ一律的に適用される訳でなく(su aplicación no será automática)、起訴されている人物ひとりひとりの状況を精査した上で、恩赦されるかどうかが決まる。
そのため、政府(Gobierno)と法務大臣(ministro de Justicia)フェリス・ボラーニョス(Félix Bolaños)の試算(estimación)では、恩赦を受けるのは372名と出ている。
政府と法務省としては、世論の処罰感情を考慮に入れ、法律を厳格に適用したいところだから、検察の予想よりも恩赦の数は、当然だが、下回る。
一方、7年前のゴタゴタで中心的な役割を果たし、恩赦法の成立(elaboración)のために、政府と様々な駆け引き(pactó)を繰り広げてきた、いわば責任政党(partido clave)のひとつでもあるジュンツ(Junts)は、恩赦されるのはおよそ1400名だと試算している。
検察や政府の試算の約3~4倍というのは、いかにも、喧伝効果を狙ってる感があるが、独立派のリーダーで、7年前の違法な住民選挙あった頃のカタルーニャ州知事だったカルラス・プッチダモン(Carles Puigdemont)をはじめ、ひとりでも多くの同志を救いたいという心情だろう。
そのプッチダモンは現在、身柄拘束(arresto)から逃れるためにスペイン国外にいるが、恩赦法が施行された現在でも、まだ、最高裁はプッチダモンに対する拘束命令(la orden de arresto;〜 detención)は取り下げていない(mantiene)。
だから、独立派らは、恩赦法の即時適用(aplicación inmediata)を求めている。
こんな具合に恩赦法は成立・施行されたものの、誰を、どのタイミングで無罪放免にするかなどの問題が山積。
しかも、2日の小欄でも紹介したが、上院(Senado)で過半数を占め、最後の最後まで、同法の成立を阻止してきた国民党(PP)は、同法が可決された現在、今度は、その違憲性(inconstitucionalidad)を訴え、憲法裁判所(Tribunal Constitucional)に提訴するというアクションに打って出た。
スペイン社会労働党(PSOE)所属で、カスティージャ・ラ・マンチャ州知事エミリアノ・ガルシア・パヘ(Emiliano García-Page)も、この訴訟に相乗りする心づもりのようだから、政府としては、身内からも批判が出ている状況に頭を抱えるしかない。
写真は独立派のリーダープッチダモン(左)とスペイン社会労働党の総裁であり、首相でもあるペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)。
プッチダモンは恩赦法が成立した時に「スペインはやっと間違いをひとつ正すことができた(España corrige un error)」と語った。
よく、まぁ、いけしゃあしゃあと・・・