12/13 ニュースなスペイン語 Reforma de Código Penal(2):刑法改正(2)
11日の記事の積み残しをやろうと思っていたが、「横領(malversación)」についての新しい記事が出たので、まずは、その紹介から。
11日のRTVEの記事に
スペイン社会労働党は、営利目的でない場合、刑罰の上限を4年に引き下げる、新しいタイプの横領の制定を見据えている(El PSOE prevé un nuevo tipo de malversación que rebaja la pena a cuatro años si no hay lucro)
とある。やはり、この「営利目的でない場合」というのが、よく分らない。
先の記事では、小生の不理解から、やや、滅裂のことを書いてしまったが、今回の記事を読むと、少し分かった(気がする)。
まず、スペイン王立アカデミー(Real Academia Española)の辞書での定義を確認しておくと
①(公職に就く者が)公の財を自分のものにしたり、その職とは関係のない利用に充てる(こと)(Apropiarse o destinar los caudales públicos a un uso ajeno a su función)
とある。
これが「malversar」という動詞の意味で、その名詞形が「malversación」ということになる。
現行の刑法の懲罰体系(horquilla actual)では、①のような行為には2年から6年の懲役刑が科せられる。
そして、今回、①から
② 個人ないし第三者の利益につながらない(no exista el lucro personal o de terceros)
タイプの新しい着服を独立させるという案が浮上している。
この発想は、11日の記事でも書いたが、カタルーニャ共和主義左翼(Esquerra Republicana de Catalunya;ERC)に端を発しており、政府はこれを正式な改正案とする。
ちなみに、②には6ヵ月から4年(3年という表記もあるが・・・)という、①よりは軽い(rebajar)懲役刑が科せられることになる。
ということは、①には、おのずと、
③(公職に就く者が)公の財を自分のものにしたり、その職とは関係のない利用に充て、個人ないし第三者の利益につなげる(こと)
という、新しい定義が加わることを含意する。
ちなみに、日本の法律用語では、グーグル先生のオハナシのほんの2~3行しか目を通していないが、③を「背任」というらしい。
で、②のような、新たに導入されるタイプの着服が、日本の法界でいうところの「横領」である。
小生の浅〜い理解では、横領は公益を自分のものにすることに主たる目的があり、背任はその専有によって自分だけでなく、第三者も何らの利益を得ること、のようだ。
まぁ、こう考えると、冒頭の「営利目的でない場合」というのも、腑に落ちる。
一応、これが現地点での理解。順次、補足・修正しよう。
それはさておき……。
首相のペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)は11日、バルセロナで行われた社会労働党の集会に参加し、今回の刑法改正は「危険をはらむ(arriesgadas)」が、しかし、「カタルーニャを対立とくだらない政治闘争から救い出すには(rescatar a Cataluña de la confrotación y la crispación)」、他の道(otro camino)はなかったと述べた。
そして、2017年10月1日に、カタルーニャ州で違法に実施された、州の独立を問う住民投票を念頭に、「今、我々が着手した改革は、カタルーニャとスペインが、2017年の、あの悲しい日々を二度と繰り返さないためのものだ(Lo hacemos para garantizar que Cataluña y España nunca más vuelvan a vivir aquellos días tristes de 2017)」と強調した。
そして、5年前より、カタルーニャは「よくなった(mejor)」とした上で、しかし、まだ、対立中毒の連中がいる(aquellos adictos a la confrontación, que aún los hay)と、カタルーニャ独立派たちをけん制した。
11日の記事でも触れたが、政府が今、押し進めている「横領」規定の改革によって、違法な住民投票を実施し、起訴されたカタルーニャの要人たちが減刑される公算が強い。
否、真の目的は、やはり、カタルーニャの政治犯たちを政府が赦すことで、カタルーニャと和解することにあるのだろう。
カタルーニャとの和解は大いに結構だが、法律の改正を政争の具に使うのは道理に合わない気がする。
写真はバルセロナ市で行われた党大会で演説するサンチェス。