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3/26 ニュースなスペイン語 Isla energética:エネルギーの孤島

昨日の続報である。

ペドロ・サンチェス首相(Pedro Sánchez)は、現在、ベルギーの首都ブリュッセルで開催中のEUサミットに参加している。

スペインは、ポルトガルなどと共闘しながら、エネルギー危機(crisis energética)への対応策を巡り、主にドイツ(Alemania)やオランダ(Países Bajos)と協議を続けてきた。

サンチェスはイベリア半島を「エネルギーの孤島」と表現し、その「特殊性(particularidad)」を強調した。つまり、イベリア半島は孤島なので、他のEU諸国と歩調を合わせるのではなく、独自のエネルギー対策を取ることを認めてほしい、と主張してきたのである。

エネルギーの孤島とは、ヨーロッパ大陸の中心とエネルギーのやり取り(interconexión)が少なく、イベリア半島内でエネルギーの供給と消費が完結している状態を指す用語である。

実際、イベリア半島は他のヨーロッパ諸国とのエネルギーのやり取りは極めて少なく(mínima)、 半島全体の3パーセントを下回る(por debajo del 3 %)。その代わりに、再生可能エネルギーの割合が高い(alta proporción de renovables)。

スペインはエネルギー価格に上限(imponer tope)を設定するという、政府による介入を、どうにか、EUサミット内で、認めさせた格好だ(ドイツやオランダはこうした介入には反対だった)。

ところで、3月20日と21日の記事で紹介した「歴史的な転換(giro histórico)」がスペインの首を締め付ける事態を引き起こすかもしれない。

詳細は過去の記事に譲るが、ひと言で云うと、スペインがモロッコに肩入れしたことで、アルジェリアは気分を害された。

実はアルジェリアはスペインの天然ガスの、最大の輸入国。昨年は、国内で使用するガスの45%近い量をアルジェリアから輸入している。もし、アルジェリアが、今回の歴史的な転換を理由に、輸出量を制限するなどと言い出したら……。

今のところ、アルジェリアは大人の対応をしていて、目立ったイジワルはしていない(もっとも、アルジェリアにとっても、スペインは最大のお得意さんなので、そう簡単に輸出制限には踏み切れないという懐事情がある)。

歴史的な転換と評される外交方針の変更だが、専門家や関係者たちは、「重大な間違い(error grave)」とか「関係断裂(ruptura)」とも見ている。

エネルギー危機とアルジェリア――。エネルギーの孤島であるスペインにとって、今後、頭痛のタネになるだろう。

写真はサミット終了後、記者からの質問に答えるサンチェス。今回、スペイン独自のエネルギー対策を取ることをEUで認めさせたことに「サンチェスの成功(Éxito de Sánchez)」との見出しを付けた記事もあった。

出典
〈本文〉
https://www.rtve.es/noticias/20220325/cumbre-europea-energia/2323141.shtml

〈写真〉
https://www.elplural.com/economia/espana-portugal-consiguen-en-bruselas-ser-reconocidas-como-isla-energetica_286765102_amp