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10/3 ニュースなスペイン語 Gracias a una vaca:牛のお陰で

臓器移植大国のスペインでまた、偉業が達成した(という書き出しは、他の記事でも使ってるので、陳腐で、手垢が付いてるんだけど、他の言い方が見つからないんだなぁ)。

これまでも、心臓と肝臓の同時移植(昨年11/17の記事を参照)だとか、臓器や血管が小さくて移植が不可能と考えられていた幼児から幼児への移植(同9/1)など、数々のチャレンジをスペインは成功させてきた。

そして、この度、事故で心臓が「文字通り壊れた(literalmente roto)」男性の心臓に牛の心膜(pericardio)を移植し、男性の命を救った。

心膜とは、心臓を本来の正しい位置に保ったり、胸部の感染症から心臓を守ったりする膜(membrana)のこと。

73歳のこの男性は自身が運転する車が他の車と正面衝突(chocó frontalmente)した拍子に、ハンドル(volante)が胸を強く圧迫(impacto)したことが原因で、心臓に5センチほどの亀裂(fisura)が入ったという。

本来ならば、心膜のおかげで、心臓は守られるはずなのだが、なんと、この男性、14歳の時に心膜を病気で除去してしまっていたという。

実は、この心膜という臓器は、無くても心臓の機能にほぼ影響はないらしく、生きていく上でどうしてもなくてはならないというわけでもないらしい。

しかし、心臓に穴が開いたとなれば、一大事。

マラガ大学病院で、男性は48日間にもおよぶ、生死をかけた(a vida o muerte)大手術(complicada operación)を受け、一命を取り留めた。

通常ならば、事故で亡くなっていたところ。我々がいつも使う医学書などには載っていないケース(Lo normal es que hubiera fallecido en el accidente. Es un caso que nosotros no hemos visto en la literatura científica que consultamos normalmente)。

執刀チームの医師のひとりはこう語る。

一方の男性は

先生方は私にまるで芸術作品のような手術をしてくれました。私にプレゼントしてくれた時間に生涯感謝しなければなりません。手術の翌日から私は第二の人生を歩き始めたのです。私はスタッフの皆さんに何とお礼をしたら良いのかわかりません(Han hecho conmigo una verdadera obra de arte. Les tengo que agradecer toda la vida el tiempo que me han regalado. Comencé a vivir una segunda vida el día que me operaron. No tengo con qué pagarles)

と喜び語った。

芸術作品のような手術といえば、小生は、手塚治虫の『ブラック・ジャック』を思いだす。

確か、馬の脳を人間に移植するエピソードがあったなぁ。

ここまでの異色な手術ではないにしても、牛の心臓が男性の心臓の一部となって動いている(latir)今回のケースは、マンガの大技が現実になる幕開けを意味しているのか……。

写真は移植手術のイメージ。今年の1月には、何と、ブタの心臓をヒトに移植する手術が行われた。ただし、こちらはアメリカ合衆国のお話。

出典https://www.rtve.es/noticias/20220930/francisco-corazon-parche-vaca/2404416.shtml