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4/2 ニュースなスペイン語 Trata de seres humanos:人身取引

スペイン国家警察(Policía Nacional)は1日、ウクライナ人の男(varón;individuo)をマドリード市内のバスターミナルで逮捕した(han detenido)。

この男はウクライナ出身の2人の少女を連れており、2人をマラガまで連れてゆき、売春をさせる目的(para prostituirlas)で売り渡そうとしていた。

男の罪状は、未成年略取(sustracción de menores)と人身取引。少女たちはいずれも親の意図に反した形(contra la voluntad de los progenitores)で男に連れて来られていた。

男は逮捕時、相当な錯乱状態(alterado)で、警察官ひとりに暴力(agredir)を振るったという。

兼ねてから、ウクライナの混乱に乗じて、人身売買の闇組織やマフィアが暗躍しているとの情報はあったものの、その実態は不明だった。

少女たちはウクライナ南部の都市ヘルソン(Jerson)出身で、15歳と16歳。逮捕時には2人は姉妹であり、男は2人の叔父と話していたが、後の取り調べの中で、それぞれの苗字が違う(no compartir apellidos)とか血縁関係(parentesco)を証明する書類(documento)を携帯していなかったことなどが分かった。

少女たちの発言にも、例えば、住んでいた家の色が食い違うなどの矛盾(contradicción)が生じていた。

男の持っていた荷物からは、今の季節にそぐわない衣服(el tipo de ropa no era acorde a la época del año )や化粧品(cosméticos)の他、宝石(joyas)、現金(dinero en efectivo)、幻覚物質(sustancias estupefacientes(日本で言うところの「合法ドラッグ」の類))などが見つかった。

ところで、今回の逮捕に大きく貢献したのが、NGO団体(ONG)の代表の男性からの通報だった。この男性はポーランドからバスに乗った際に、男と2人の少女たちの行動に不審(sospechas)を持ったという。通報を受けたスペインの警察が連携し、男の逮捕にこぎつけた。

スペインはこの1か月で、ウクライナからの避難民(refugiados)を約1万1000人、受け入れた。しかし、これはあくまでも公式に把握している人数であって、ゴタゴタに紛れて色んな輩が紛れ込んでいるかもしれない。今回は、たまたま、人身売買を未然に防いだが、多分、氷山の一角かもしれない。

慈善親切の皮を被った悪をどう暴くか。スペイン(と避難民を受け入れることになった他の国々、そして、とりわけ、日本)が立ち向かわなければならない問題だ。

出典
〈本文〉
https://www.rtve.es/noticias/20220401/detenido-hombre-madrid-menores-ucrania-prostitucion-trata/2326543.shtml