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5/17 ニュースなスペイン語 21 de mayo:5月21日

昨日の続報である。

現在、アラブ首長国連邦のアブダビで隠遁生活を送っている元国王フアン・カルロス1世(Juan Carlos I)の帰国の日程が明らかになった。

5月21日から数日間である。

21日と22日の両日、ガリシア州のサンシェンショ市(Sanxenxo)をまず訪れる。同地にいる元国王の知り合いに会う(encuentro de amistad)らしい。マスコミによる大規模な(gran convocatoria)報道(medios informativos)や、フアン・カルロス1世が同地を訪問することへの賛否両論(a favor y en contra)、様々な動き(movilizaciones)があるとの予測がある。

続いて、23日の月曜日、マドリードの王宮(Palacio de Zarzuela)で国王フェリペ6世との会談を持つ。

ただし、この会談は、「プライベートな訪問(visita privada)」なので、多く見積もって(como mucho)、写真1枚(una foto)、もしかしたら、そうした写真すらもないかもしれない(ni siquiera esa foto)というから、かなりの報道規制が敷かれる見込み。ガリシア州の場合と正反対だ。

また、永年に渡って、別居状態にあるソフィア王妃(Reina Sofía)との面談については、「国王のお望みは王妃とお会いになること(deseo del rey Juan Carlos es verse con su esposa)」とも報じられている。

そして、実は、フアン・カルロス1世が、スペイン滞在中、どこに泊まるかが、「唯一の、かつ、解決しがたい問題(único problema insalvable)」だという。

王宮に泊まれば良いと思うのだが、

王宮はプライベートな居住スペースではなく、国家の長の執務室であるため、元国王が1日たりともそこで一夜を明かす環境は整っていない(no es una residencia privada sino la sede de la Jefatura del Estado y no se dan las circunstancias para que el anterior jefe del Estado pernocte allí ni siquiera un día)

というのだから、なかなか、難しい。

ひとつ不可解なのが、月曜日夕方に行われた会見で、外務大臣(Ministro de Exterior)のホセ・マヌエル・アルバレス(José Manuel Albares)が、国王の帰国日程について、「承知していない(no me consta)」と述べた点だ。「なにかの間違いではないか(Tal vez esté equivocado)」とも述べた。

まぁ、たいした役者だ。だれも外務大臣のセリフなど信じないが、このようにしておかないと、今回の帰国が政治問題に発展してしまうのだろう。あくまでも、王室が勝手に決めたこと、政府は日程調整などには関与してない――。こういうシナリオか。

数日前に検察が元国王のスキャンダルに関する全捜査の打ち切りを発表したタイミングだ。全てが周到にお膳立てされた帰国だったわけだが、政府は知らぬ存ぜぬを突き通すつもりだろう。

今回の、国王の帰国日程やら、本文中に引用したのは、実は、ある新聞記者(periodista)によるもの。名をフェルナンド・オネガ(Fernando Ónega)という。オネガは永年、政府付の新聞記者だった人物だ。日本で言うと、橋本五郎とか田原総一朗みたいな人。

その、まぁ、一介の私人たるオネガが、国王の帰国をスクープした、という形にしておけば、誰も傷つかない、というわけか……。

写真は本文とは無関係。フアン・カルロス1世もかなりの高齢だ。息子であるフェリペ6世と早く、写真のように、人目をはばかることなく、談笑できる日が来ると良い。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220516/rey-emerito-volvera-espana-21-mayo/2348845.shtml