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5/19 ニュースなスペイン語 Llegada masiva:大量到達

スペインは今、前例無き、新たな移民危機を経験している(España vive una nueva crisis migratoria sin precedentes)ー。ある新聞の見出しだ。

今週の月曜日から、セウタ市(Ceuta)に大量のモロッコ人(marroquí)が押し寄せた。いや、今もなお、人の波は止むことはなさそうだ。

セウタ市はアフリカ大陸の北岸にある都市で、メリージャ市(Melilla)と並んでスペインの自治都市(ciudad autónoma)である。自治都市とはスペイン国内の自治州(comunidad autónoma)に準ずる都市で、いわば、スペインの飛び地領である。

そのセウタ市に隣国モロッコ(Marruecos)から大量の人々が押し寄せた。その数、約8000人。もちろん、不法(ilegal)に、だ。その内、約1500人が未成年だという。陸路から徒歩でセウタを目指す者もいる。また、国境警備隊の目をかいくぐり、泳いで(a nado)同市に入る者もいる。

セウタ市にモロッコ人たちが押し寄せるのは、今年に入ってから、これが2回目。1回目は4月25日と26日の両日で、この時はおよそ40人の未成年を含む、約149名が保護された。今回は1回目とは桁外れのモロッコ人たちがセウタ市を目指す。今回の大量流入で特徴的なのは、男性のほかに、女性や未成年が多いことだ。

モロッコには何もない。私はもう勉強してない。スペインに行こうと思ってた。それで、私の叔父さんが家に来た。「スペインに行こう。今しかない」と私に言った(No tenemos nada en Marruecos. Yo ya no estudiaba, tenía en la mente viajar a Europa. Vino a casa mi tío y me dijo ¡Vamos a España es el momento)ー。21歳の青年はこう言った。そして、「私たちは泳いできた。そんなにたくさんじゃない、でも危険。私は1時間かかった(Hemos venido nadando aunque no es mucho, pero es peligroso. Yo tardé una hora)」

別の男性は「私は働きたいし、家族を助けたい。私も友達もみんな働きたい(Quiero trabajar y ayudar a mi familia. Todos mis amigos queremos trabajar)」とも語った。

スペインのカナリア諸島州には小さな、そして粗末なボート(cayuco)に乗った、アフリカの南サハラ地域からの移民が後を絶たない。そして、今度はセウタのモロッコ人の移民にも目を向けなければならない。日本ではこれだけの違法移民が流入することはないので、いろいろな意味でショッキングな出来事だ。

写真はDiario de Navarra(5.18)より。スペイン領セウタ市の海岸に続々と泳いでやってくるモロッコの人々。