見出し画像

6/14 ニュースなスペイン語 19J:6月19日

私は選挙(elecciones)とか選挙特番とかが好きではない。

選挙が始まると、仕事そっちのけで、いろいろなサイトを見てしまい、あっという間に時間が過ぎてしまうので嫌いだ。

時喰いムシみたいで嫌いだ。

面白過ぎてキライなのだ…。

だから、ずっと無視してきたけど、ダメだ、禁断のアンダルシア州選挙、通称「アンダルシア19J」に手を出してしまった……。嗚呼。

今回の選挙は、6月(junio)19日に投開票が行われるので、「19J」と呼ばれている。他の選挙も大体、選挙が行われる都市の名前と投開票の日にちを合わせて、呼び名になる。

さて、アンダルシア州は、議会が制定されてから約40年間、スペイン社会労働党(PSOE)の牙城だった。

この旧勢力を打ち破ったのが、現知事のファン・マヌエル・モレーノ(Juan Manuel Moreno)だった(写真)。

モレーノは国民党(PP)だ。

従って、左派のスペイン社会労働党がかつての城を奪還するか、右派の国民党が今の城を死守するか――。

この構図だけでも、なかなか、見ごたえがあるのだが、実は、状況はもう少し複雑だ。

まず、現在の議会の議席数(escaño)の構成(composición actual)を確認しておこう。

これは2018年に行われた選挙の結果だが、55議席がいわゆる絶対過半数(mayoría absoluta)で、各政党は安定した政権運営を行うために、まず、どのようにしてこの絶対過半数を得るかを熟慮する。

これまで、国民党1党だけでは26議席だったので、到底、絶対過半数には達しない。そのため、市民党(Ciudadanos)と連立(coalición)を組んだが、それでも、与党(Gobierno)としては47議席。なかなか、難しい政権運営を余儀なくされてきた。

対する野党(oposición)は55議席あったので、抑止力・抵抗勢力として、かなり、力があった。中でもスペイン社会労働党は33議席を持ち、存在感がある。社会労働党の地盤がしっかりしていたことの表れだろう。

ところが・・・、だ。この社会労働党が強かったアンダルシア州に異変が起きている。最新の世論調査(encuesta;sondeo)を元にした予測を見てみよう:

日本ではこういう図はあまり使わないが、2018年の政党支持者が今回の選挙でどの政党に移ったことを示すもので、スペインの選挙では定番の図だ。

実際にはフラッシュ(flash)による動画なので、パーセンテージがもっとわかりやすいのだが、アナログ的にことばで説明すると・・・(下に紹介する出典URLから該当ページに飛べば、もっといろいろな情報がある)。

注目すべき点はいくつかある:

① スペイン社会労働党の支持者の内、約11.3%の人が、国民党支持に回るとの予想。
② 今まで、国民党と連立を組んでいた市民党の支持者の内、約55.4%がごっそりと国民党支持に回るとの予想。
③ 投票しないと言っていた人たち(abstención(一番下の灰色の帯))の約26.2%が国民党支持に回るとの予想。

①~③はあくまでも、社会調査センター(CIS)の推定値に過ぎないが、まぁ、同センターは選挙などの動向調査には実績があるので、ある程度の信憑性はあるとみてよい。

まず、国民党の圧勝(claro vencedor(=明らかな勝者))は揺るがないだろう。まだ、議席数は分からないものの、得票率では、約35.2%~38.4%が見込まれている。

一方のスペイン社会労働党は23.8%~26.6%の得票率と予想されている。つまり、社会労働党の牙城は崩れ去ることになりそうだ。

そして、市民党は3.3%~4.5%の得票率にとどまることから、惨敗どころか、政治的には、もはや、死んだも同然。恐らく、議席はみこめないのではないかとの予測まで出ている。

そして、不気味なダークホースがボックス党(Vox)だ。得票率から言えば、13.6%〜15.8%なので、国民党、スペイン社会労働党に次いで、3番手に付けている。

ここで、国民党が、極右政党であるボックス党と共闘(pacto)し、連立(coalición)を組むのか。

国民党はボックス党と組めば、得票率で、スペイン社会労働党を大きく突き放すことができる。モレーノは現時点でボックス党との共闘を否定していない(no descarta)のが何とも薄気味悪い。

カスティージャ・イ・レオン州でも先ごろの選挙で、ボックス党が州政府に潜り込むのに成功した。

今回も同じような事態になるのか否か。

写真はアンダルシア州知事への再選を狙う、フアン・マヌエル・モレーノ。ちなみに、モレーノは公式名に、自身の名前の短縮形「フアンマ(Juanma)」を採用している。短縮形は愛称としても使うことから、何となく、愛嬌がある。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220613/encuesta-cis-flash-elecciones-andalucia/2383698.shtml