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10/22 ニュースなスペイン語Cámara de seguridad:防犯カメラ

防犯カメラの映像を根拠に従業員を解雇することは合法である(El Tribunal Constitucional ha avalado el despido de un trabajador basado en una grabación de imágenes procedentes de una cámara de seguridad en el centro de trabajo)――。

この度、憲法裁判所(Tribunal Constitucional)が下した判断である。

裁判の対象となった事件(suceso)が起きたのは2019年6月。バスク州での事だった。

ある会社のマネージャーは、従業員のひとりが会社の管理下にある袋から別の袋に商品を移しているのではないか、そして、それは、恐らく、第三者に転売目的でやっているのではないか、との疑念を抱いた(El gerente de la compañía sospechó que el empleado guardaba productos de su empresa en una bolsa de otra de la competencia, supuestamente para venderlos a terceras personas)。

そのため、翌日、防犯カメラの映像を確認したところ、自らの疑念が確証に変わったため、契約解除の手続きに入った(por lo que al día siguiente revisó las grabaciones y, confirmando sus sospechas, procedió a la rescisión del contrato)。

ここまで素直に読めば、従業員は会社の資産たる商品を盗んでいるのだから、まぁ、解雇されても仕方がないかなぁと思うのだが、当の従業員の主張は違うらしい。

曰く、防犯カメラの映像は隠し撮りされたものではないものの、解雇の根拠に使用するとは前もって知らされていなかった(Estaban a la vista pero de las que nunca se informó de que fueran utilizadas para tales fines)。

ここから従業員と会社のドロ沼の裁判闘争が始まる。

まず、従業員は当該解雇を不服として、社会局(juzgado de lo Social)に提訴するものの、社会局はこの訴えを破棄、会社側の解雇を認めた(falló a favor de la empresa)。

今度はこの従業員、高等裁判所(Tribunal Supremo)に控訴。すると、「防犯カメラの映像を労働者の管理の名目で使用するには、事前の明確な、口頭による簡潔な説明が必要である(la utilización de imágenes para el ejercicio de las funciones de control de los trabajadores exige una información previa, expresa, clara y concisa)」ことを根拠に、一転、会社側の解雇を無効とする。

すると、今度は会社側が判決を不服として、最高裁判所(Tribunal Superior)に上告手続(recurso de casación)を進めたが、最高裁はこれを棄却。

そこで、会社側は憲法裁判所に最終判断を求めた。

賛成(a favor)6票、反対(en contra)5票で、冒頭のような判断にかろうじて落ち着いた。

憲法裁判所の中でも意見がかなり分かれた。

憲法裁判所内の保守派勢力(conservador)は会社側に有利な見解を示した一方で、新進派勢力(progresista)は「事前の通告なし(sin previo aviso)」に防犯カメラの映像を使うことは、労働者の人権が「後退(paso atrás)」したと非難する。

わずか1票の差となると、今後、いろいろな反響を呼ぶかもしれない。

ちなみに、日本では、防犯カメラの映像を根拠とした従業員の解雇は、まぁ、ケース・バイ・ケースみたいだが、不当解雇の可能性も捨てきれないらしい。

写真は防犯カメラのイメージ。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20221021/despido-trabajador-grabado/2406626.shtml