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6/3 ニュースなスペイン語 Contrato fix-discontinuo:定期日雇い契約

実は、このスペイン語、何と訳せば良いのか分からない。

この契約は、もともとは、スキーインストラクター(profesor de esquí)やライフセーバー(socorrista)のように、冬や夏などの一定期間(temporada)だけ、雇用契約を結ぶ人たちのためにある。

こういう業種のための契約形態の名称を小生は知らないので、タイトルのような日本語を付けておいた。

企業は、すなわち、永続的に、しかし、断続的に(de forma permanente, pero intermitente en el tiempo)労働力を確保できる。従業員が働きに来ていない間は、当然、給料は払わなくて済むので、人件費が浮く。

一方、「fijo(固定した、定期的な)」とあるように、雇用される側も、契約違反などの非が無ければ、次の年度も雇用を結んでもらえる。しかも、働いた期間が合算され(acumular la antigüedad)、退職金(finiquita)も出る。さらに、働いていない時(período de inactividad)は、失業手当(prestación por desempleo)ももらえるし、アルバイトもできる。しかも、専門知識を得るため訓練(formación profesional)を受ける権利を持ち、優先順位が高い集団(colectivo prioritario)と位置付けられている。

このあたりが、一般的な季節労働の日雇い契約(temporal)とは異なる。

こんな具合に、雇用側にも、被雇用側にも、なかなかの融通の利きそうな契約形態だか、これを、季節労働だけでなく、他の職種にも広げてゆこう、というのが、スペイン政府の進める労働改革(reforma laboral)のひとつである。

実は、政府側にも、都合の良いことがある。それは、労働省(Trabajo)の大臣、ジョランダ・ディアス(Yolanda Díaz)が、この定期日雇い契約の労働者は失業者には数えなくてよいだろう(no contablizarían como parados)との見解を示したからである。もしこうなるなら、対外的にも、政府は失業対策をしっかりやっているというアピールにもなるし、何と言っても、数字に現れる。しかし、この点に関しては、野党である国民党(PP)の党首、アルベルト・ヌニェス・フェイホー(Alberto Núnez Feijóo)が、「統計データの改ざんだ(maquillar la estadística)」と批判。まだ、理解も合意も得られていない状態だ。

使い勝手の良い制度は、いろいろな抜け道がある。恐らく、この制度をめぐっては、まだ、問題は出尽くしてない。

最低賃金は?雇止めの恐れは?

これから、何かと不都合なことが出てきそうだ。

写真は除雪車(camión quitanieve)。この特殊車両の運転手(chófer)も定期日雇い組。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220602/claves-contrato-fijo-discontinuo/2357924.shtml