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9/15 ニュースなスペイン語 Fracaso escolar:学業不振

「Fracaso escolar」は直訳すれば、「学校での挫折」という意味。まぁ、直訳でも、全然通じるけど、ちょっと、イメージが付きにくいので、「学業不振」としておいた。

この場合の学業不振は、成績が悪いことだけでなく、さらに、その先の「学校を辞めること(abandono escolar)」も含意する。

スペインは、実は、EU圏内でルーマニアに続き、義務教育の断念率(tasa de abandono)、つまり、退学率が高い。

もう少し詳しく見てみると、低所得者層(de renta baja)の家庭の男子生徒(alumno;chico)の退学率が高い。女子生徒と比べると、約42%の開きがある。

専門家によると、男子生徒と女子生徒のこうした開きは、他の先進国で一般的(común)だが、これほどまで突出した差は出ないらしい。

2021年度の統計によると、18〜24歳のスペイン人男性のうち、13.3%が中等教育(educación secundaria)を終えておらず、その後、如何なる教育も受けていないという。さらに、16.7%が初等教育(educación prematura)の段階で、学校から離脱している。なかなか、衝撃的な数字だ。

義務教育からの離脱の主たる要因は、男子生徒が女子生徒より、モチベーションが低く(menor motivación)、宿題に当てる時間が少ない(menos horas a los deberes)ため。

まぁ、当たり前過ぎる理由だ。

しかし、こうした男女間の差は学年が上がるほど、縮まるという。特に国語(lengua)と英語(inglés)で、男子の追い上げが顕著だという。

もうひとつショッキングな数字がある。社会経済的(socioeconómico)に低い階層の子供たちは、高い子供たちと比べ、学年に換算すると、就学度(rendimiento académico)が2年程の遅れているという。

低所得者層の子供たちは、つまり、就学度が低く、そのため、退学率が高くなる。そして、その子供が大人になり、家庭を構え、また、子供を持つ。そして、その子供も、また……。

負のスパイラル。ここから、抜け出すことは、なかなか、難しいということ。

専門家たちはこうした現状を見据え、退学率を引き下げるための施策(medidas)を提案している。

① 個人チューター(tutorías individualizadas)の充実
② 学校と親のさらなる連携(mayor grado de apoyo parental con la colaboración de las escuelas)
③ 学習指導要領の改善(disponibilidad de una mejor orientación académica)
④ 学校での満足度を高める(aumentar la satisfacción con la escuela)
⑤ 成績評価の欠点の見直し(toma de consciencia en los sesgos de evaluación docente)

こうした措置を取れば、計算上、30%ほどの退学率を減らすことができるらしい。

そして、もうひとつ、興味深い施策が、

⑥ 男性教師を増やすこと

という。2017年度のデータによれば、スペインの小学校の教師の約80%が女性だが、男性教師が少ないことが、男子学生の就学度に悪い影響を与える(Una menor proporción de profesores de sexo masculino tiene efectos negativos en el rendimiento escolar de los chicos)らしい。本当かしらん……。

ムムム、①〜⑥はいずれもゴモットモな施策だけど、言うは易し……。

そもそも論として……。スペインの教育基本法(通称「セラア法(Ley Celaá)」)が、義務教育における留年(suspenso)を認めている(2021/6/16の段階)。

留年すれば、当然、学校にも行きたくなくなるだろうし、勉強も分からなくなって、退学へまっしぐらだ。

退学率を下げたいなら、まずは、セラア法を改正することから始めた方が良いんじゃないかしらん。

写真はイメージ画像。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220914/fracaso-escolar-chicos-renta-baja/2402047.shtml