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8/8 ニュースなスペイン語 Ola de calor marina:海洋熱波

海洋熱波――。あまり耳馴染みのないことばだが、いま、世界中で起こっている現象だ。一言で言えば、海水温度が通常よりも高くなることを指す。

スープの中にいるみたいだったよ。煮込み状態。10〜15メートル潜ってもね。水がすごく熱いんだよ。(Era una sopa, estaba como un caldo, hasta los 10-15 metros, el agua estaba calentísima)。

ダイバーたち(submarinistas)や海水浴客たち(bañistas)は一様に口を揃えて言う。

スペインでは、主に、東部(este;levante)海岸と南東部(sureste)海岸で海水温の上昇が顕著だ。

地中海(Mediterráneo)は全体で2〜5度ほど上昇し、最大で30度に達する地点もあるという。

もはや、ちょっと、熱めの風呂……。

言うまでもなく、海水温が上昇することで、様々な影響が出る。

まず、生態系(ecosistema)への影響だ。中でも、ポシドニア(posidonia)と呼ばれる海草郡や珊瑚礁(coral)は最も被害を被りやすい(vulnerable)。

ポシドニアは海のオアシスとも呼ばれ、水中の二酸化炭素量を吸収するのに大きな役割を果たすが、その調整役がダメージを受けることで、海の酸化(≒二酸化炭素化((acidificación))が進む。

海全体が酸欠になるのだから、生物多様性(biodiversidad)にも影響が出るだろうし、絶滅する種もあるのではないか(Habrá especies que desaparecerán)との懸念も広がるのも当然だ。

また、海水温が上昇し、海面の温度が上がることで、海水が蒸発し、大きなエネルギーを持つ雲(nube energética)を形成(formación)する。そして、この雲が「滝のような雨(lluvia torrencial)」をもたらす。

そして、7月18日の記事でも紹介したが、海面の温度が上昇することで、湿気(humedad)が増し、その一方で、涼しい海風(brisa)が減るので、蒸し暑く不快(bochorno)になり、熱帯夜(noche tropical)や灼熱夜(noche tórrida)が続く。

ひと度、陸に目を向ければ、熱中症(golpe de calor)で7月は2176人が亡くなった。これは昨年度比で約4倍、最近5年間で最悪の7月となった。

また、スペインでは、干ばつ(sequía)はもはや例外的な珍しいこと(excepción)ではなく、ふつうのこと(norma)となったという。ダム(embalse)の貯水率は37.9%で、ここ10年で最低レベルとなっている。

コロナ、サル痘、熱波、干ばつに加え、海洋熱波……。一難も去っていないのに、二難、三難と続く。

コロナが連日2万人を超え、洪水続きの日本も似たり寄ったりだが、スペインの皆さんには、お見舞い申し上げたい。

写真の中央のくろっぽいのがイベリア半島。東側と南側の海が真っ赤。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220807/olas-calor-marinas-amenazan-biodiversidad-habra-especies-desapareceran/2394866.shtml