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1/16 ニュースなスペイン語 Vacuna española:スペイン産のワクチン

アンダルシア州のグラナダ県には、現在、モデルナ社のワクチンを製造している薬品メーカー、ロビ社(Rovi)がある。スペインは、従って、ワクチンづくりのノウハウの素地が備わった国なのである。だから、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相も、スペインは「世界レベルでワクチンを製造している国の内のひとつ(uno de los principales productores de la vacuna a nivel mundial)」と息巻く。

スペインがそんな製造国(productor)から、いよいよ、悲願の独自のワクチン(propia vacuna)を開発する国になろうとしている。昨年4月13日と8月1日の記事でも紹介したが、開発が進められてきたスペイン産ワクチンの実現がいよいよ見えてきたのである。

今年の上半期には準備ができるだろう(podría estar lista en el primer semestre de 2022)との見通しを、サンチェス首相が明らかにした。

この度、ワクチン競争の中で、一歩抜きんでたのがカタルーニャ州のジローナ(Girona)に研究所を構えるイプラ社(Hipra)のワクチンだ。ガリシア州で開発が進められてきたワクチンが、これまで、国産第一号として最有力視されてきたが、今回は、一歩出遅れた。

イプラ社は6億回分(600 millones de dosis)を供給可能とし、すでにファイザー社のワクチンを打った人に対するブースター接種(refuerzo)にも利用できるという。

そして、イプラ社のワクチンはオミクロン株(variante ómicron)に対しても結果は良好(muy buenos resultados)で、十分な抗体(muy buena resistencia)を生成するとしている。

スペイン医薬品局(Agencia Española del Medicamento)は、この度、およそ3000人が参加し、15の病院で実施されるフェーズ3の臨床試験(tercera fase de ensayo)に対して、ゴーサインを出す(dar luz verde)。これが無事終われば、いよいよ、承認に向けての手続きが完了することになる。

ちなみに、スペインは有数のワクチン寄付国(donación)である。5000万回分のワクチンをラテンアメリカ諸国(Latinoamérica)や発展途上国(países en vías de desarrollo)に寄付しており、これはアメリカ合衆国、ドイツ、フランスに次いで、堂々の世界4位。

サンチェス首相はお得意のツイッターで次のように述べている:

我々は使命を尽くしている。今、我々は世界規模の衛生問題の前に立たされている。全員がウィルスから逃れられなければ、本当の意味で予防できるわけではない(Cumplimos nuestros compromisos. Estamos ante un problema de salud global y mientras no estemos todas y todos a salvo del virus, no estaremos de verdad protegidos)。

高い志だ。スペインは有事の時、団結(solidaridad)を大切にする。大切にするだけでなく、有言実行で、何よりも行動が早い。世界規模の感染拡大には、はやり、実行力を伴う、具体的な「団結」が必要だ。きっと、スペインは自国で開発したワクチンも、途上国になどに寄付する心意気があるはずだ。スペインのような国がもっと増えれば、コロナとの戦いも変わってくるだろうに・・・。

写真はイプラ社が開発するワクチンを手にポーズを決めるサンチェス首相(中央)と厚生大臣(Ministra de Sanidad)のカロリナ・ダリアス(Carolina Darias)(右)。