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11/19 ニュースなスペイン語 Ponerse de perfil:そっぽを向く

昨日と一昨日の記事でも書いたが、「性的自由を保証する基本法(Ley Orgánica de garantía de la libertad sexual(以下、「基本法」と略記する))」を巡ってあちらこちらで大論争、大混乱が生じている。

今回は国会内のこの基本法に対する態度を要約しておこう。

① この基本法の制定に関わってきた、平等大臣(Ministra de Igualdad)のイレネ・モンテロ(Irene Montero)は、本法の改正は必要ないと考えている。むしろ、基本法を適用して、これまで出た判決に対して、減刑(rebaja de condenas)を頻発している裁判所の側に問題があると主張。裁判所は男性優位的(machismo)と断じる。
② ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相は、本法に対する最高裁(Tribunal Supremo)の判断(jurisprudencia)が1ヶ月以内に出ることを受け、まずはこの判断を待とうという立場。
③ 財務大臣(Ministra de Hacienda)のマリア・ヘスス・モンテロ(María Jesús Montero)は、反対に、裁判所がいくつかの減刑を発表した時点で、いち早く、同法の慎重な検討(estudiar con detenimiento)を表明した。
④ 第2副首相(segunda vicepresidenta)であり、労働大臣(Ministra de Trabajo)のヨランダ・ディアス(Yolanda Díaz)は、この基本法の使命(vocación)は被害者救済(la protección de las víctimas)にあり、社会に警戒感を生じさせないことが重要(no generar alarma social)で、「慎重さ(prudencia)」を求めた。
⑤ 野党である国民党(PP)とボックス党(Vox)はモンテロをはじめとする、子どもじみた大臣(ministras infantiles(正確には「女性の大臣ら」となっている))の辞任を要求。

⑤は野党の反応だから、まぁ、厳しいのは当然として…。

一方、②〜④は与党、つまり、①のモンテロの身内の反応の割には、誰一人モンテロへの明確な支持を表明していないのが、実は、ミソ。トカゲの尻尾切りの準備に入ったのか知らん。

モンテロの所属するポデモス党(Podemos)からは、こうした身内の冷たさを「説明のつかない沈黙(silencios inexplicables)」とか「(モンテロ)狩(cacería)」などの表現で、不満が漏れ出ている。

そんな中、ポデモス党の前党首で、今は政治の表舞台からは姿を消したパブロ・イグレシアス(Pablo Iglesias)も、具体的な名前は出さないもの、政府内に流れる「そっぽを向く」雰囲気に対する苦言を次のようにツイートした(一部):

自分たちの仲間が潰されかけているとき、そっぽを向くのは不幸で、卑怯なだけでなく、政治的にみれば、愚かなことである(Que ponerse de perfil cuando machacan a una compañera no solo es miserable y cobarde, sino políticamente estúpido)。

いよいよ、政府与党内にも、暗雲が立ち込めて来た。

写真はイグレシアス。現役時代は長髪(=「まげ(coletas)」)だった。ちなみに、イグレシアスは渦中のモンテロの夫。






マドリード地裁(Tribunal Provincional de Madrid)は、今年8月に施行された通称「ハイはハイだけ(ley del 'solo sí es sí')」法を適用し、2件の減刑を執行したと発表した。