12/1 ニュースなスペイン語 Entre 400 y 500:400〜500人くらい
11月22日の続報。
続報と言っても、まぁ、日本がドイツには勝ち、コスタリカに負けたことはもう分かってるので、それ以外のこと。
先の記事の最後の数行で、CNNが「カタールではワールドカップのためのスタジアム建設で何人が死亡したか(Cuántos muertos dejó la construcción de los estadios para el Mundial en Qatar)」というタイトルの記事を報じていると触れた。
イギリスのガーディアン紙によると、2010年にカタールがワールドカップ開催地として決定した時から、スタジアム建築に携わった労働者の内、およそ、6500人が死亡したという。
一方、カタールのワールドカップ開催委員会(comité)委員長ナセル・アル・カテル(Nasser al Khater)は昨年末、スタジアム建築で死亡した作業員はわずか3名だったと発表。
これに対して、ワールドカップの運営最高責任者(máximo responsable de la organización)ハサン・アル・サワディ(Hassan Al Thawadi)が、ワールドカップ準備期間に死亡した移民の労働者(obreros migrantes)は、タイトルに挙げた、「400〜500人くらい」とイギリスのテレビ番組のインタビューで認めた(reconoce)という。
一方、カタール政府の報道官(portavoz)は、ワールドカップ関連の建設事故で死亡した作業員は40人とこれまでの主張を繰り返し、アル・サワディの発言を微調整(matizar)した。
カタール政府の見解によると、アル・サワディの言う「400〜500人くらい」は、正確には、「415人」。「国家統計に基づくもので、2014年から2020年にかけて、国内で死亡した全移民労働者の数で、すべての国籍・あらゆる工事の最中に死亡した数を含む(a las estadísticas nacionales que cubren el período 2014-2020 para todas las muertes relacionadas con el trabajo (414) en todo el país, abarcando todos los sectores y nacionalidades)」とのこと。
アル・サワディは番組の中で「工事に関連した死者は3名、それ以外の死者は37名(3 muertes relacionadas con el trabajo y 37 muertes no relacionadas con el trabajo)」としていることから、総合的に見ると、アル・カテル、アル・サワディ、カタール政府の言っていることは、矛盾はなさそうだ。
ただ、各々がフォーカスする箇所が違うので、違った数字が出てきてしまうのだろう。
今回の記事を見る限り、
◇ 2014年から2020年の間にカタール国内で死亡した全移民の数は417人。
◇ その内、ワールドカップが開催されなければ死亡することが無かった移民労働者が40名。
◇ そして、その40名の内、スタジアム建築中に亡くなったのが3名、それ以の事故で亡くなったのが37名。
と考えれば、とりあえずは、すっきりする。
この死者数が事実なのか、それとも、周到に口裏を合わせた結果なのかーー。まだ、続報があるかもしれないので、現段階では保留にしておこう。
写真はインタビューに答えるアル・サワディ。カタール政府が当初から主張するように40人と答えておけば良かったのに、なぜ、多めに「400~500人」などと言ったのか。
「Mundial de la vergüenza(恥に満ちたワールドカップ)」という表現がネットには氾濫している。カタールに人権侵害などの疑いの目を向ける人々が多いためだろう。
そんな人たちへの対策としては、まぁ、小出しにしてゆくより、最初に大げさに転んでおいた方が、良いかもしれない。