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自治体施策の功罪

初note。自身の経験から自治体施策について、述べてみようと思う。九州人のため、また過去色んな地域に住んでいたため意味が伝わりにくい方言が入るかもしれませんが、ご愛嬌。

あくまでも個人的な思いなのでどう解釈するかは読み手の方にお任せであるが、今現役で西日本を中心に自治体PR、移住やふるさと納税、企業誘致、テレワーカー誘致などのシティプロモーション提案をしながら、現場レベルで各自治体の施策を見ている自分の価値観として記述したい。私自身は、15年のキャリアでうまくいったこと、ダメだったこと包み隠さず書いていこうと思う。

▶それ本気ですか?結構多い自治体職員、首長の勘違い

「うちの市にもね、移住者を東京から呼び込んで出生率上げたいんだよ。自然減、社会減含めてこのままじゃ消滅しちゃうし。」

当時の総務大臣増田寛也氏のレポートで提言されたことをもとに、全国の自治体で生産年齢人口層、いわゆる「子育て世代」を呼び込みたいお困りごとを毎日聞く。簡単に言えば、F1層(20~35歳の女性が半減する可能性がある自治体が消滅可能性都市)が欲しいのである。域内の女性が少なくなれば、婚姻率、出生率も当然下がり高齢化も進む。税収も減り、過疎化の一途を進む。だから、「首都圏を中心とした」子育て世代の移住者を招き地域の活性化も含めて、多くの移住者を呼び込みたい。その思いはわかる。子育て世代が来れば、子供も産んでくれるかもしれない、家も建てるし、雇用もある、また地域でプレイヤーとして活躍してくれるかもしれない。さらに住民税も入るし何より子供が増えることが、「おらが町」の賑わいになるだろう。

正解。そのとおり。

自治体首長は、総合計画などと呼ばれるものを策定する。企業で言えば、いわゆるKPIだったり企業方針、IR情報とでもいうべきか。自治体の運営方針をスローガン的に議会でも、広報でも一般公開する。首長の所信表明などでも語られるが、首長のこういった方針をもとに自治体職員は動いていく。よく言えば自治体の目指すべきロードマップ、悪く言えば職員から首長への忖度計画。

▶うちの自治体で欲しい移住者属性は子育て世代!    合言葉は、「子育てに優しいまち!」 「ほどよく都会。ほどよく田舎。」

え?だから何ですか?

口をそろえるように、何かにとりつかれたように自治体職員が言う。あのー。それって隣の市も、あそこも、ここも同じこと言ってますがー。が私の答え。今まで北海道の音威子府から下れば、600自治体位の施策は聞いてますけど、2/3は同じこと言ってます。そりゃ、シニアの移住もいいだろう。現役を首都圏で頑張って、老後を田舎で過ごしたいというのは田舎者の僕だってそうだ。ゴミゴミした都会より、田舎で農作業の少しでもしながら余生を田舎でって考えるのは自然。でも自治体側からすれば来てほしくない移住者の人もいる。都会から逃げるように移住を目指す、衝動型移住の訳あり世帯や住民税非課税の世帯の方とかは、自治体からすれば敬遠される移住者。シニア移住者はいらないと惜しげもなく言い切っちゃう自治体担当もすごいけどね、本音だろう。そんな中、前述のスローガン的な事を依頼される。

▶「灯台下暗し」な施策

自分の自治体に移住する人、ふるさと納税寄付をしてくれる人、観光に来てくれる人の気持ちを考えてみよう。首都圏在住の子育て世代が何を基準にソレを選んだのか?答えは、「知名度・認知度」のみ。「なんでうちはいいとこなのに移住者が来ないんだ」「うちも同じ〇〇牛なのに、全然ふるさと納税寄付が集まらない」「いい観光地あるんだよ。知られざる滝とかさぁー」なんて言われても、そもそも名前すら知らんしー。が都会人のアンサー。もっと言えば、自治体の「名前」すら人生で聞いたことないなんてとこは多数。「○○まち?ちょう?」「これって、何県?」なんて自治体は多数。そりゃ1741も自治体はありますから当然。それなのに、わが自治体はすでに認知度があると思ってる首長や職員が多数いることが笑えてしまう。「あのー。僕もアポはいるまで、ここの自治体名知りませんでした…」なんて日々思うし、東京のうちの社員で自治体名知ってた人ゼロなんていくらでもある。が、棚に上げたように知名度があることが前提で「首都圏子育て世代移住者を今年度100人呼び込みたい!オンラインセミナー三回実施、各回100名参加が条件。予算は400万円、お試し居住施設なし、2泊以上で体験ツアーを30組で実施!交通費宿泊費自腹で!」なんて公募型プロポーザルは日々出てくるし、日々依頼される。

結論…無理!

こんな公募に群がる癒着ギリギリのオールドメディア業者の餌食となって、体裁を整えるだけのやった感演出バリバリ報告書が年度末に提出され、本年度予算消化~♪。けっこう共通してる報告書ワードは、「一定程度の興味者は得られ、結果につながるには継続的な施策が重要と結論づける」なんて記述(笑)。これで随意契約で来年もやるつもりかよっ!って毎回苦笑。絵に描いたように数年後「結果でなくて…」といって同じ公募が出てくる。なんでこんなバカな施策ばっかり地方自治体はやるんだと毎回思う。僕が域内の住民なら、情報開示請求をし議員に報告するし、住民監査請求だってする。だって私らの税金ですよ?それにこういった施策は、国からの交付金(地方創生推進交付金など)で複数年交付で施策が実施されており、その自治体に住んでなくても、国税であるため「私たちの国民の税金」でやってるんです。さらに自治体職員の、悪しき習慣が原因でもある。建前の癒着を防ぐといった目的もあるが、プロフェッショナル職員を育てるより、ゼネラリストを育成する目的の人事異動という自治体習慣で、担当が数年で変わり、そして前例踏襲の慣例(簿冊の儀式)の名のもとに対して労力がかからない、楽して業務を委託出来たらラッキーな「名ばかり施策」が横行する。本当にこの結果が出ないことがベストな施策なのか…。



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