#5 公共施設の維持管理って大丈夫?
NPO法人自治経営FMアライアンスの桜井です。
宮城県仙台市の職員で、建築技師をしています。
民間企業から転職して市役所に入庁し、最初の部署で公共施設のファシリティマネジメントに関連性の高い営繕部門(公共施設の設計・積算・監理を行う部署)にいました。その際に、公共施設の作られ方や維持管理の実態を目の当たりにし、色々と感じることがありFMアラインスで活動させてもらっています。
なので、どちらかというと読んでいただいているみなさんに近い目線から公共施設のファシリティマネジメントに関する疑問や違和感などについて、突っ込んで書いていこうと思います。
0 第1回目の夜会が開催されました!
本題に入る前に、毎月第3日曜日の夜9時から、みんなでお酒を飲みながら公共施設の闇(と光)について語り合う会員制のオンラインサロンが始まりました。その名も「公共FMアングラBar」。その初回が先週日曜日に祝、開店。
全国各地から公共FMに闇を感じている10名を超えるメンバーが参加していただきました。
今回の夜会のテーマは「庁舎の建て替えに物申す(ホントに大丈夫?その庁舎)」ということで、全国各地で建て替えラッシュにある庁舎について、ホントにそんな機能必要なの?などなど、闇を語り合いました。今後も、テーマを決めて、ゆるく、ディープに語り合う予定で、アライアンスメンバーによる普段は話せないぶっちゃけトークが聞けますので、ぜひお酒を片手に遊びに来てください!
参加方法は以下の通りです。
①Facebookグループ「公共FMアングラBar 〜公共施設の闇に光を灯す〜」に参加
②NPO法人自治経営のアライアンス会員になる
③noteのメンバーシップに参加
次回は5月19日(日)!「指定管理の闇」をテーマに開店予定です!
1 公共施設のヤバい現状
さて、本題です。次の写真を見てみなさんどう感じますか?
これらは公共施設でよく見かける現状です。手が行き届いていないし、落下したり引っかかったりしたら怪我につながる危険性もあります。ほったらかし感が満載ですよね。こんな公共施設使いたくないと思うし、もっと言うと景観的にまちの価値を下げているとも言えます。自分の家だったら、すぐに交換や修繕をしませんか?なぜこんなことが起きてしまうのか、考えてみます。
2 維持管理って何するの?
そもそも、公共施設の維持管理ってどんなことをするのでしょうか?車で言えば、洗車をしたり、エンジンオイルやタイヤを交換したりなど日常の管理から、業者にお願いして車検を受けるのも、傷つけちゃって修理にだすのも管理のひとつです。
公共施設もちょっと身近じゃないだけで一緒です。日々の清掃から電球の交換、網戸が壊れたら交換するし、草むしりもするし、法律で定められた様々な点検を実施するとか、経年劣化が進んだから改修工事を行うなども管理のひとつです。
維持管理の目的も一緒です。日常的に利用するのに支障がないように、または、本来その車や建物が持っている機能を遺憾無く発揮してもらうためにですよね。つまり、そのものが持つ本来の機能や価値をできるだけ下げないようにするために維持管理をする必要があると言えます。
3 なぜこんなことになるのか
この他にもいろいろな要因はあると思いますが、主に下記のような公共施設という特殊性や自治体の状況・仕組みがそうさせていると考えられます。
①数が膨大であること。
車はせいぜい多くても2〜3台ですよね(もっと所有している方もいるかもですが)。それに比べて公共施設は自治体の規模にも寄りますが、数十〜数百施設はあるでしょう。ちなみに仙台市では小さな集会所なども入れると約700施設とかあります。
②管理する人と利用者が異なること。
車は管理する人も使う人も一緒ですが、公共施設は管理するのは自治体で、利用するのは市民の場合が多いです(庁舎などは例外)。自分が使うものでないから、不具合が起きた時に真っ先に不利益を被るのは顔の浮かばない誰かであり、どこか他人事になってしまうということもあるような気がします。
③そもそもお金が足りない
人口減少の昨今の状況で、自治体の財政が潤っているというのは稀な状況です。つくる時は補助金や基金などを工面し建てたものの、その3〜4倍はかかる維持管理費を想定せず、単純に全ての施設に本来必要なだけの潤沢な予算が配分されていないからです。
④管理が他人任せ
先ほど管理をするのは自治体と言いましたが、実際に管理をしているのは自治体職員ではなく「指定管理者」(3セクや民間事業者)の場合が多いです(この辺りは次回の夜会でのテーマで詳しく突っ込みます!)。直営で職員が管理しているのは稀でしょうし、例えそうだとしても定期的な人事異動がある自治体という組織では自分ごととして施設管理をしている方がどれだけいるかは疑問です。
⑤施設に愛情がない
ちょっと根本的な話になりますが、自分が欲しくて自分のお金で買った(つくった)大事なものであれば普通大事にしますよね。欲しかったのかもわからない、かつ、税金で作った、かつ、業務としてただ施設管理の担当になった(直営)もしくはお金あげるから管理をしてくれと言われた(指定管理)、などという状況で愛情を持てという方がなかなか難しい気もします。
民間施設でも当てはまる部分はあると思いますが、以上のようなところが、悲しいかわいそうな公共施設の状況に繋がっているのではないかと思うのです。
4 適正に管理されるには
①〜⑤のうち、変えられるものはどれかというと、①と③(④と⑤は心持ち次第では変えられるかもw)でしょう。まさにそこをどうしていくかが公共FMの核心であると思うのです。つまり、今あるものをいかに適切に管理することで効率よく活用し、公共施設と言えど稼ぐ部分を作りながら、無駄な施設を減らしていくかということがちょー大事になってくるというわけです。この辺りの詳しい公共FMの考え方や事例などについては、次にご案内するFMオンライン講座のセット販売をみていただけるとさらにオススメです!
以上、私が入庁したての時に感じた維持管理の実態を少し深下げてみました。
以降、ご案内です!
■ FMオンライン講座のセット販売中!
毎年1月に実施しており、30分程度の講義とその後1時間ほど参加者とメンバーとの間で、いろんな課題を深掘りしたやりとりをしています。3年連続で実施していて、公共FMの基本から応用編に加え、今年は特に公共施設の脱炭素化に向けた、庁内組織マネジメントや公共施設等総合管理計画の行き詰まりなどについても掘り下げています。
この講義部分(@30分✖️5本)を15,000円でセット販売中です!
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繰り返しのご案内になりますが、5月15日に公共施設の脱炭素化・オンラインセミナーを開催します。
講師には、長野県庁舎ZEB化にアドバイザーとして関わり、ドイツや日本で最先端の省エネ建築に取り組まれている金田真聡さんをお迎えします。
脱炭素に向けて具体的に何をどうしていけばいいのか、どんなスキルを身につけて行く必要があるのかなど、次のアクションにつながるディスカッションをできればと思っております!
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