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自分の「好き」に正直に向き合う。中川ケイジさんと考える仕事観。

みなさんこんにちは。ジブン研究編集部の関野です。

「仕事」に対してどのようなイメージを持っていますか?
また、働いているみなさん、自分の仕事は好きですか?

私は、これまでに二度、転職経験があります。
前職で働いていた期間、人生で初めてこころの病気を抱えました。そして、3ヶ月の休職を経て退職という決断をしました。
当時はその場から離れることに精一杯でした。しかし今振り返れば、それは自分の「好き」とは違った仕事だったことに大きな原因があるように感じています。


今回は、中川ケイジさんにお話を伺いました。
彼は、サラリーマン時代うつ病を患い、会社を休んでいた時期があったそうです。その期間にふんどしに出会い救われたことをきっかけに、「自分をいたわる時間」を提供するふんどしのブランド「sharefun®(しゃれふん)」を作ることになったといいます。

今では、うつ病にかかったことも含めてすべてが経験として捉え、自分の「好き」を仕事にしている中川さん。
お話の中から見えてきたのは、「仕事」と「好き」が結びついた時、どんな回復をしていくのか。

あなたの「好き」はなんですか?
第14回 Original Life Talk、テーマは「仕事観〜自分の「好き」に正直に向き合う」です。どうぞ最後までお付き合いください。

以下
中川さん:中
関野:関

初めての挫折、そして美容師になる。

関:今日はよろしくお願いします。中川さんとお話しできるのを楽しみにしていました。事前にいただいた人生グラフをみると、初めて大きく落ち込んでいるのは就活の頃ですね。

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中:大学時代はなんとなくのほほんと過ごしていました。特にやりたいこともなかった上に、ちょうど氷河期真っ只中という年でした。そんな僕が就職先なんて決まるわけもなく。「誰からも必要とされていないのではないか。」という感覚を初めて味わいました。

関:そんな中川さんが、なぜ美容師になったのですか?

中:一対一のコミュニケーションが自分に合うと思ったのと、自分も髪に対するコンプレックスがあったからが大きい理由ですね。
僕は、学生時代、周りに「中川は将来、絶対禿げる!」と言われていて。(笑)自分にとってコンプレックスでしたが、美容師になれば同じような悩みを抱えている人に対して、自分だからこそできることがあるのでは、と思うようになりました。

美容の専門学校に行っていたわけではないので、資格もなく普通に受けても受かるわけがないのは目に見えていました。そこで、どうしたら自分を採用してもらえるのかを逆算して行動に移しました。目標は「3年で神戸でナンバーワンの美容師になる」ということ。
そのためには、「この美容院で修行を積んだ方が良いのでは」というところから逆算して面接を受ける美容院を絞っていきました。
街頭アンケートを取ったり、実際にサロンに行って自分で感じたことをレポートにして持参してみたり。

やりたいことを見つかった時、勝手に行動が伴ってくるのだなと思いました。
なかなか同じようなことをやっている人はいないので。(笑)僕を落とすなら、経営者の判断が間違っていると思おう、と考えていました。


関:やりたいことを実現するための行動力がすごいですね。そして、私は、自分が経験したことのない世界に飛び込むのも怖いと感じてしまいます。

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中:誰もが最初は素人だったはず。せっかくやるなら一番にになりたい。そう思いながら修行してました。そして実際に、そういう気持ちで日々美容師としてお客様と向き合ううちに、誰かに喜ばれる充実感も感じていきました。
特に意識しているのは、根底にある願いに目を向けることです。
例えば、「前髪を1センチ切ってください」と言われてそのまま切っても意味がない。「なぜ1センチという単位で切る必要があるのか?」という根底の部分が大事ですよね。
何か悩みやコンプレックス、しんどさを抱えている人は美容室にくるハードルがそもそも高いんです。
綺麗、可愛い、イケイケなお客さんより、自信がない人や、コンプレックスを抱えている人が、僕の元にきてくれる。そして、根底の悩みを理解しながら髪型を変えることで活き活きしていきました。そんな姿をみて、あらためて美容師という職業が自分にフィットしていると感じていました。


関:「髪を切る」という一つの手段を通して、「悩みを少しでも軽くして元気になってもらう」という中川さんだからこそできる役割を担っていたんですね。


転職

関:美容師としての仕事が自分にフィットしていると感じ、活躍されていた中、30歳で転職されていますがどんな理由からですか?

中:兄が東京で会社をやっていて、そこに誘われて転職をしました。迷いもありましたが、美容師の仕事はずっと続けられるものではないと思っていましたし、会社で経営の勉強をして、美容院を経営する仕事をしたほうが元気になるひとが増えるのでは?と考えるようになりました。

美容師である程度うまくいっていた部分もあったので、営業の仕事にも少し自信がありました。しかし実際は、全く何も成果を生み出せなかった。時間も生活も全部捧げて営業に費やすけど、それでも成果が出ない。本当に誰の役にも立たないと感じたし、誰からも「ありがとう」と言われなくなりました。

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関:それは辛いですね。何が辛い原因だったのでしょう?

中:振り返ると、「やりたい」から始めたことではなかったのと、クライアントに興味が持てなかったことが一番しんどいと感じていた部分であると思います。
好きじゃないことでも成果を出せる人もいると思います。ですが、僕はそういう人にはなれないのかな、と。
きつかったですが、なんとか兄の役に立ちたい、この会社を出てしまったら自分にはもう何も残っていない、そんな風に自分を会社に縛り付けてしまっていました。今考えると「会社に依存」してたんですね。

そんな中、だんだんと体調の悪い日が増えていきました。
会社に行くのがつらく、朝から頭痛や吐き気と戦いながらなんとか会社に行く日々。

今であれば、精神的な要因もすぐに考えられたかもしれませんが
当時は、まさか自分が、と思っていたので市販の薬でなんとか耐えていました。


ふんどしとの出会い、うつ病の発症

関:今のお仕事となっているふんどしとは、その後どのように出会ったんですか?

中:体調が悪い中でもなんとか会社に行っていた頃、ある会社との打ち合わせがありました。その会社の社長がいきなり、「中川君、実は俺、ふんどし締めてるんだよ」と言い出して、履いていたジーパンをバッとおろしたんです。それが、僕とふんどしとの出会いでした。
その方は、ふんどしの魅力をたっぷり語ってくれました。健康にいいことや、気持ちにまで効果があることまで。すっかり興味を持った僕は、早速ふんどしを買って試してみることに。
これが、よかったんですよ。驚くほどに。
感じたことのない開放感、快適さ。本能的にその魅力を感じ取っていました。


関:しんどい中でのふんどしとの出会いだったのですね。どんな力をもらったと感じていますか?


中:実はふんどしに出会って少し経った頃、僕はうつ病と診断を受けました。
うつ病と診断を受けるまで、時間が少しかかりました。それは、先ほども言ったように知識がなかったことや自分が精神的な病気になるわけないと思っていたから。今より情報も少なく、「鬱なんて弱い人がなるもの」と決め付けてしまっていました。

診断を受けた時は、これで会社辞めなきゃいけないという絶望感と、これで一旦リセットできるかも…という開放感と2つの感覚がありました。なので、落ち込みはしましたが心は軽くなったので、プラスマイナスゼロという感じでした。


ふんどしを紹介してくれた社長と話をしていた時、久しぶりに心の底からゲラゲラと笑えたんです。ふんどしの価値を実感し、心から感動したことで、ステテコがおしゃれになって価値を変えたように、ふんどしだって見せ方を変えれば価値が広まるのではと思いました。下着をふんどしに変えただけで元気が出てきたというストーリーがある。今はイメージが悪くても、すごくポテンシャルがあると自分自身で発見することができました。それを感じ取ることができたのがラッキーでしたね。


ストーリーを添えるという、ものづくりの原点

関:ストーリーを添えることがこだわりなんですね。何か原点はあるんでしょうか?

中:印象的なエピソードがあって。毎年正月になると、親戚が集まって母親の手作りの福引をやるんです。その福引の景品はただのサランラップだったりするんですが、、母親はそれら一つ一つにちょっとしたメモでプチストーリーを添えて渡すということをやっていました。母がそれを読み上げると皆が爆笑して。ただ、モノを渡すのではなく、ストーリーを添えることで価値が高まった。具体的に言うとコミュニケーションが生まれたんですよね。その経験が今の自分のモノの価値の高め方につながっているように感じます。

関:素敵なお母さまですね。モノひとつでもストーリーが添えられているだけで愛着が湧いたり、思い出が増えます。中川さんのものづくりの原点が見えたような気がしました。


「好き」に正直に。


関:最後に、このインタビュー記事を読んでいる皆さんに伝えたいことはあれば、お願いします。

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中:僕はふんどしを通して、「自分をいたわる時間」をみなさんに届けたいと思っています。大したことはできませんが、自分自身の経験から、今しんどい思いをしている人に寄り添うことができるのではないかなと。なので、極端な話、きっかけとなるものは「ふんどし」じゃなくてもいいとすら思っています。。
それは、美容師だった頃から根本は変わっていません。もしかしたら、母が福引の景品にストーリーを添えていた頃から、変わっていないのかもしれません。

僕にとって救われたものが、たまたま、ふんどしだったというだけで、みなさんにとっても人生をガラッと変えるかもしれないものやことが、実はすでにもう身近にあるのかも!と思うんですよね。
本当は転がっている心が動かされる「タネ」を見つけるには、あまり忙しくしすぎて自分を追い込まずに、1日10分だけでも自分のためにリラックスできる時間を作れたらいいなと思います。

しんどかったあの頃は、会社に行って長時間デスクにいることが仕事、だと思っていました。もうちょっと自分の気持ちのままに行動できていたらよかったのかもしれないです。あの頃の自分に声をかけるとしたら、「あまり仕事しすぎずに、楽しいと感じることをやってみたら?」と言ってあげたいです。

そのような経験から、僕は、「正直」であることを大切にしています。
自分にも、相手にも気持ちよく関われるために。

だから、今しんどくてもゆっくりいきましょう。休んでいる時間にも絶対に価値があります。
そして、正直でありましょう。いつか浮上したときに変わるきっかけが巡ってきたり周りの人が必ず助けてくれます。

ここまで読んでくれた皆さんの心が軽くなってくれていることを願っています。

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最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。

中川さんについてもっと知りたい、自分の「好き」をもっと深く考えたい、そんな風に思った方は是非イベントにご参加ください!

イベント詳細は、以下のイベントページから、申し込みは以下のグーグルフォームからお願いいたします!

みなさまにお会いできることを楽しみにしております。

▼イベントページ▼

Original Life Talk vol.14-仕事観-自分の「好き」に正直に向き合う
- 理解は、あなたとわたしを想うこと-

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▼申し込みフォーム▼
https://forms.gle/FkPC9sHT1GJjCULs7

▼中川さんのnoteはこちら▼
https://note.com/k_nakagawa/n/n565ed057c4ea

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