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No.2 なにか残したい

「爪痕を残す」という言葉を最近よく聞く。最近といっても、ここ数年くらい。「特にすごいわけではないけど突飛なことをして注目してもらう」みたいな意味合いで使われている気がする。(Googleで調べてみると、元々があまり良くない意味で使われる言葉でした。そういえば昔は「災害の爪痕」・・・というような使い方をよく見聞きした気がします。)
もっといろいろ検索してみると、最近は「自分の存在を刻む」といった良いほうの意味合いで使われることが多いそう。最近になってから良い意味合いで使われているのか、言葉の使い方は変遷する。
 年を重ねてくると、なにか残したい、、という気持ちになる人が多いと聞いたことがある。
残したいものはさまざまと思うけど、ある人は「わたし本当の恋をしていない。。」と悩み、またある人は「なんか親の顔色ばっか見て今まで生きてきた気がする。。」とそっと心を痛めたり。人によって違うけど、みんな心にひっかかった棘があるのではないか。・・・と、ここまで書いてきて、残したいというより、「やっていないこと」への後悔なんだなと思った。
 後悔というのは、自分の人生に足跡を残していない・・・という空虚さみたいなものなのかな、と思う。私の中にもその空虚さは巣食っていて、「海外で暮らしてみたかった。」とか「アメリカのドラマみたいな生活してみたかった。。」とか、「自分の好きなところに好きなインテリアをしつらえて暮らしてみたかった。」とか、小さな穴がたくさん空いている。ちょうど、トムとジェリーに出てくるチーズに空いた穴のように。
 その穴を埋めたいがために、いろんなことをしているのだろう。私がこの文章を書いているのも、穴を埋めようとしているのだと思う。でも、ぴったり合うパズルのピースはなかなか見つからない。もし見つかった何かがぴったり合う「はずだった」ピースだとしても、古くなったり角が欠けたりしていて、もう今は合わない。

チーズの穴を抱えたまま、毎日を過ごしている。

チーズの穴と書いていて、歯医者さんのモニター画面にずっとトムとジェリーが流れていたことをふと思い出した。なぜトムとジェリー・・・?

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