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四川をゆく1 【蜀の都・成都】

2022年12月29日〜2023年1月3日にわたる四川省の旅行記です。

【旅行スケジュール】
12月29日 広州 → 成都
      武侯祠•錦里古街•杜甫草堂•金沙遺跡博物館•黄忠公園
12月30日 成都パンダ研究基地 → 広漢三星堆博物館(広漢市) 
12月31日 成都 → 蘇墳山•蘇軾公園•三蘇祠(眉山市) → 楽山大仏(楽山市)→青城山
 1月 1日   青城山•都江堰(都江堰市) → 成都
 1月 2日   成都 → 剣門関(剣閣県) → 成都
 1月 3日   四川博物院 → 広州

旅仲間:おじさんA (日本人、男)、おじさんB(中国人、男)

なにかの参考になるかは分かりませんが、見聞きし、体験した範囲で、ぼちぼちと旅行記を残したいと思います。

1.蜀の都・成都 (1日目)


 正直、「四川はもう行ったしな…」と、思っていました。

 最初に四川を訪れたのは2005年。もう10年以上のお付き合いです。当時は、チベットに入境するための手続きを成都で行い、手続き期間を利用して九寨溝と黄龍をまわりました。その後も、仕事で成都には何度か滞在しました。

 なので、今回、旅仲間おじさんAが「楽山の大仏が見たい!」と言い出した時、すぐに前向きの回答ができませんでした。今回は年末年始を利用した旅行。日本の休暇に合わせて休みを取ります。5泊6日。旅仲間おじさんBがレンタカーで車を出してくれると言っています。途中で年を越すメモリアル旅行。「…でも、そんなに行くところあったっけ?」という印象を持ってしまったのです。

 しかし、結果的に、それは完全に自分の間違いでした。四川省…、掘れば掘るほど、自分の興味を刺激する見所が沢山湧いてきます。6日間の日程に予定をギッシリ埋め込み、途中のいくつかのポイントを泣く泣く削りました。最終的にはかなりの強行日程。さぁ、四川旅行のスタートです。

広州から成都へ

 成都は四川省の省都です。北京と同様、中心地から同心円状に広がる街づくりを行っているのが印象的です。成都といえば、辛い料理、パンダ、そして三国志の蜀でしょう。加えて、最近は、街の中心地や観光エリアの商業開発が進んでおり、おしゃれな賑わいスポットが誕生しています。

 さて、この「三国志の蜀」という響き、三国志好きにはたまらないフレーズですよね。

 よくご存知ない…という方のために、ごくごく簡単に解説すると、所謂三国志の物語は、正史「三国志」をベースに、明代に羅貫中により編集された時代小説です。小説だから、善玉の主人公がおります。それが、漢王朝の末裔・劉備。漢の初代皇帝・劉邦につらなる劉一族(自称)で、後漢末期の戦乱で没落した皇室の復興を目指しているわけです。その大義に、関羽、張飛、趙雲、黄忠、馬超といった名だたる武将たち、そして天才軍師・諸葛孔明が加わり、悪玉・曹操に対抗していく、という感じの物語です。

 この時、諸葛孔明が打ち出した「天下三分の計」とは、劉備が巴蜀(今の四川省・重慶エリア)を手に入れ、当時の最強国たる魏の曹操、そして唯一それに対抗できそうな呉の孫権と三すくみ状態を作り上げるというものでした。最弱だった劉備によるこの荒唐無稽な戦略が、仲間たちの計略や奮闘でどんどん現実に変わっていく…。それが三国志という物語の醍醐味であり、その物語は劉備が入蜀することで絶頂を迎えます。

「おぉー!いよいよ、三国志の時代が来たぞー!」

そう…、成都は、そんな蜀の都なのですよ。

三国聖地の石碑

 そんな三国志の聖地・成都で、最も有名な三国志スポットと言えば「武侯祠」です。「武侯」というのは諸葛孔明のこと。つまり、ここは諸葛孔明を祀った場所になります。しかし、ここでは、さらに諸葛孔明の君主だった劉備の陵墓も建立されており、君臣が共に祀られるという非常に珍しい霊廟になっています。

 現在の遺構は清代のものであり、清代から残されている三国志ゆかりの武将たちの塑像も残されています。また、それぞれの像や観光スポットでは、日本語の解説も書かれています。ズラリと並んだ武将たちの像に囲まれていると、もう気分は一気に三国志!1800年前、日本がまだ卑弥呼…とか言っていた時代に活躍していた人たちの熱いロマンの物語に胸が熱くなってしまうのです。

 なお、ここは、中国でも有名な映えスポットでもあります。もし行かれることがあれば、コスプレなど楽しんでみるのもいいかもしれませんね。

武侯祠の入口
武侯祠の全体図
劉備の像
諸葛孔明の像
関羽の像
張飛の像
人気の映えスポット

 この武侯祠は、古くからある人気の観光スポットということもあって、周辺に「錦里古街」という門前町が広がっています。お土産店や飲食店も並んでいて、四川省の川劇などの伝統芸能ショーも行われています。ゆっくり時間をとって、のんびり歩くと楽しいですね。

錦里古街
錦里古街

 さて、余談ですが、今回は「地球の歩き方」を片手に、成都に残るその他の三国志関連スポットを探してみました。

その1:黄忠公園

 劉備配下の武将の中でも人気の高い黄忠なのですが、成都市内に黄忠の名前がついた公園があります。なんでも、この付近の土地に黄忠が葬られたことから、黄忠の名前をつけているそうです。
 しかし、行ってみたものの、正真正銘100%普通の公園。公園の名称と立札のイラスト以外に「黄忠」を感じることはできませんでした。「兵どもが夢の跡」ですね…。

黄忠公園
黄忠公園
黄忠公園

その2:劉備の像

 なんでも、関羽の墓参りをする際に劉備が顔や手を洗い清めた場所が、洗面橋という地名で残っているようで、そこにある広場に劉備像が置かれていました。普通に小さな公園の一角で、周りを子供達が走り回っています。たくさんの人が触ったのか色が褪せています。

劉備像

その3:万里橋

 呉との同盟を結ぶために派遣した費禕を諸葛孔明が送り出した場所と言われています。諸葛孔明はこの場所で送別の宴を催したようです。その時、「万里之行、始于此橋」という言葉を残したことから万里橋と言われています。
…といっても、今は南門大橋というただの橋でした。

万里橋
万里橋


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