つみき

2020年8月1日 19:42

娘のために積み木を買った。
６ヶ月の娘の前で、夫が積み木で遊ぶ。
この積み木を一体どうするものなのか、娘は何の前情報も持っていない。キラキラとした目で、積み木と、積み木で遊ぶ夫を見ていた。

なんの前情報もなく、おもちゃで遊ぶ楽しみとはいかほどのものだろうか。どうやって遊ぶのか、どういうものなのか、なんにも知らない楽しさは大人になると、なかなか出会えない。

どうか、娘が勝手に積み木を遊びますように、と願う。
自分が一番おもしろいやり方を、どんな時にも見つけられますように。

それにしたって積み木はなんとも魅力的なおもちゃだ。
シンプルで、遊びの幅が広くて、触り心地がすべすべっとしていて、カラフルでかわいい。

娘は、大量の積み木の山にズリバイでトライして、目についたものから手にとろうとするが、目移りしてなかなか１つを選べない。

やっとつかんだ１つを、後生大事に抱えながら、時々触り、時々眺め、時々口にいれてみたりしていた。

それも、たぶん「つみき」だよ、だいじょぶ、だいじょぶ。
わたしはついつい、四角と三角で「家できたよ」なんて言ってしまう母だが、娘よ、君はなにか新しい驚きをこの平凡で幸せな日常に届けてくれるのだろう。

積み木に期待し、積み木を知らない娘に期待し、積み木を知らない娘が積み木をどう遊ぶかをどう観察するのだろうか、と自分にも期待する。

三重に期待し、裏切り、裏切られ、また期待していく。

それもまた、積んでは倒す、つみき、に似ている。

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