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オタク力とゲーミフィケーション

 こんにちは。ゲーミフィケーション賢者Lv98のきっしーです。

私自身が、ゲームクリエイターから大学教員に移った後、ゲームやそれに近い業界を目指す多くの若者たちと係わってきたので、オタクならではが持っている力には大変興味があります。人付き合いは苦手だけど、技を極め新しいものを生み出した、昔の職人と似ているのではないかと思っています。

ここで言うオタクは、一つのことに熱中して新しいものを作り出す力を持ちたいと思っている、しかしまだまだ発展途上な若者たち。

現代の偏差値やコミュニケーション力で若者を評価する社会では、要領よく物事をこなせる若者が好評価を得て、オタクや職人タイプは生きづらいです。偏差値やコミュニケーション力とは別軸で、ちょっと変わっているけど一つのことを突き詰める力や、コミュ力が低くて人とうまく関われない代わりに、自分の作品で自己表現するようなタイプを評価する教育システムがあればいいなと思っていました。

しかし、最近オタクを肯定する研究発表や書籍を出会い共感しましたので、ご紹介します。

オタク型成長曲線

 日本教育工学会2020年秋季全国大会にて、千葉大学教育学部教授 藤川大祐先生が「『オタク力』に着目した授業デザインの可能性」という発表を行いました。

藤川(2020)では,「学校で特段求められているもの以外で,自分が好きだと思える何らかのことがらについて,独自の仕方で発揮できる能力」としての「オタク力」を伸ばし,その後に学力を伸ばすという「オタク型成成長の可視化曲線」をモデルとして学習者の成長を促すことが有効でありうると主張している.

オタク型成長曲線

(上の図は発表ポスターより引用)

オタク型成長曲線とは、ステキ過ぎます!!!

発表の詳細はコチラに↓↓
http://dfujikawa.cocolog-nifty.com/jugyo/2020/09/post-1ee2c0.html

 オタク志向の子供・若者には、まず好きなことを最優先でやらせて、それが周りに認められて自己肯定感を、周りを助けて自己効力感を感じる。それがポジティブループを回す。その後学力も上がってくる。それを支援するのに、ゲームとの親和性も高い彼らには、ゲーミフィケーションが有効であると考えます。

私自身も、大学まではそれほど能動的な子ではありませんでした。なり行きで入ったゲーム会社で最初に作ったゲームを、他の人に面白いと言われて嬉しく、もっともっと面白いゲームを作ろうと頑張った記憶があります。ここでやる気スイッチが入った。


最近読んで気に入った2冊の本にも同じような考え方が書かれていました。

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変態オタク系が育つ教育


 書籍『還暦からの底力』では、著者の立命館アジア太平洋大学学長 出口治明先生が、

全国の大学を偏差値系7割と変態オタク系3割にする。うちの大学では学生らに好きなことを徹底的にやらせる、変態オタク系が育つ教育を行う と述べています。

人間にしかできない仕事は「おもしろい」とか「新しい」

 書籍『歴史とは靴である』では著者の国際日本文化研究センター准教授 磯田道史先生 が、

これからのAI社会で、人間にしかできない仕事は「おもしろい」とか「新しい」という感覚にならざるをえない。これからは発想結合の時代 と述べています。磯田先生自体が、歴史オタクが高じて学者になってしまった方なので共感できます。

オタク力の高い若者・子供たちが、のびのびのオタク力を伸ばせる学校。皆さん、もっともっとあれば良いと思いませんか。
(おわり)


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#ゲーム要素 #モチベーションアップ
#日本ゲーミフィケーション協会 #オタク力 #変態オタク系が育つ教育 #発想結合

執筆:岸本 好弘(日本ゲーミフィケーション協会 代表賢者Lv98)
https://jgamifa.jp/


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