こんにちは、自由主義研究所の藤丸です😊
前回の記事(国家安全保障から考える「産業保護規制」前編)の続きです。
後編は、具体的な検討事項と政策提言があるので、参考になって面白いと思います。
前編は以下です ↓ (こちらを先にお読みください)。
「Buy American(バイ・アメリカン)法」が米国の国家安全保障に与える影響を評価する
7,米国国防調達の改善に向けた検討事項(1~7)
バイ・アメリカン法は、前回述べたような多くの欠点がある。
しかし、このことは、
バイ・アメリカン法の全面的廃止を正当化するものではない。
また、国産志向に全くメリットがないわけでもない。
実際、独立戦争中、大陸軍は火薬や衣服などの輸入品を入手する必要があったため、不利な立場に立たされた。
したがって、政策立案者の課題は以下である。
「ありふれた保護主義への乱用を防止しつつ、
紛争時に重要物資へのアクセスを確保する措置を設けること」
これを効果的に行うために、以下の要素を検討する必要がある。
8,政策提言(1~5)
9,中国問題をどのように考えるか?
米国と中国との冷戦が叫ばれる中、
保護主義の恩恵を受けるさまざまな産業が、
「バイ・アメリカン規制を自由化することは、中国の思うつぼだ」
とますます声高に主張するようになってきた。
しかし、中国が国防強化を進める中、
米国は「国防費を最大限に活用すること」が何よりも重要である。
冷戦型の影響力争いでは、
バイ・アメリカン法やその他の現地調達要件は、
米国と同盟国との間で、争点や分裂の原因となり、
相互協力の可能性を下げるだけだ。
バイ・アメリカン法等の保護主義的な法律が緩和されたとしても、
「米国が、中国に依存することを意味するのではない」
ということは強調したい。
「中国のサプライヤー」と「外国のサプライヤー」は同じではない。
両者を区別する必要がある。
この規則を緩和することは、中国へ利益を与えることではない。
米軍にとって必要な「コスト削減」を実現し、
その結果、海軍力の増強など他の軍事的優先事項のための資金を確保し、
同盟国との絆をさらに強固にすることができるのだ。
10,結論
本稿は、海外調達の障壁をすべて撤廃し、必要な製品や設備を最もコストの低い供給者から調達することを求めているわけではない。
必要な時に確実に入手できるよう、特定の重要物資の国内生産に価値があることは明らかである。
しかし、
国防費を最大限に有効活用するためには、国防費を賢く使うことが必要だ。外国産は入手しにくい、という前提で考えるべきでもない。
米国の政策はバランスを取る必要がある。
残念ながら、多くの政策が保護主義に傾き、
国家安全保障にはほとんど役に立たない一方で、
特別な利害関係者に利益をもたらしている事例は数多くある。
実際バイデン政権は、誤ったの経済的根拠に基づいて、
このような法律をさらに強化することを表明している。
国防総省や安全保障関連機関に適用されるこのような保護主義は、
国家安全保障を損ない、競争と経済を弱め、
貴重な防衛費を浪費することになる。
米国の政策は、同盟国との協力関係を拡大できるような、
より柔軟性のあるアプローチを採用する必要がある。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
ウクライナ戦争や台湾危機を考えるまでもなく、
国家安全保障は日本にとっても最重要な課題の一つです。
防衛予算も大幅に増額されますが、
予算(税金)は効率的・効果的に使うことが重要です。
この論文は、日本の安全保障を考える上でも参考になる点が多い思います。
この論文はケイトー研究所のHPに載っています。↓ です。
全文の訳のPDFはこちらです。