handy invention


2022.9.1



電車の中から崖を眺めていた。土砂崩れ防止のためのコンクリートの工事が行われている。強度を高めるためか、縦と横に一定の間隔で線上に盛り上がっている。小さい頃からそのコンクリートと同じやり方で施工されている崖を、不思議に思いながら眺めていた。自然物に人工的な何かがはんだ付けのようにくっついている。砂場で作られた山の横側に紙粘土を伸ばして貼り付けたみたいな。凹凸のある見た目がワッフル生地に似ていて、小さい頃にワッフルの存在を知った時はこの土砂崩れ防止のコンクリートの見た目を思い浮かべながら食べた。ワッフルよりもコンクリートのことを知るほうが先だった。粘土で四角の立体を綺麗に作るのは難しい。小学校の時に粘土で遊ぶのは好きだったから、すぐ形が崩れてしまうことをよく知っていた。だから、なぜあんなに形が綺麗に整ったまま固まっているのか謎に思っていた。今日、その謎が解けた。あらかじめ鉄筋で骨組みを作っておいて、それの中にコンクリートを流し込んで固めているのだ。雨の中の工事現場に人はいなかったが、遠くから見れば針金のように見える、山肌に張り巡らされた鉄筋を見ると想像できた。思えばコンクリートは粘土のように掴んだり練ったりする物ではない。突然こうやって種明かしを食らっても、あの不思議な造形はわたしにとって変わらず魅力的だ。


そんなことを電車の中で小さい扇風機のようなファンの風にあたりながら考えていた。



数日前に手に入れて初めて使うファンから浴びる風は、新しい感覚だった。


数日前に買った、手に持って顔などに風を当てるための小さいファン。秋がもうすぐそこまで来ているから半額になっていたところを、思い切って購入した。数年間、悩みながら買わなかった。機器に頼ることを選ぶと何か負けた気がすると思っていた。ずっと何かしらで扇ぐことでやり過ごしていたが、その戦いは、ある日突如、和解に至った。機器の見た目が可愛らしかった。それが決定打だった。風の強さが三段階に変えることができて、一番強風の設定にして電車の中で使うと、冷房の空気がより冷たく感じた。確か友達はこの文明を四,五年前から使用しているが。和解してよかった。


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海辺の大きな鳥は、浜近くのアパートのベランダに我が物顔で止まっていた。

背が小さいわたしの半分近くは体長があるかもしれない。あれが自分の部屋から見てベランダに止まっていたら、かなりびっくりする。



時々見かける、斜めがけのスマホのチェーンが可愛い。荷物が極端に少ないワンピースとかミニスカートを履いた女の子が、身に付けているイメージ。可愛いけど、鞄に入れたらいいと思う。でもやっぱり、飼い猫の首輪みたいで、可愛い。





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