wrapped in fog

2022.8.30


霧のような雨が続いて、傘をさしても雨粒が風に揺られて傘の中に入ってきた。どうやら今日は雨の日になるというわけでもなさそうだから、軽く持ち運びのしやすい晴雨兼用の日傘をさしていた。空は雲にすっかり覆われて、雨に濡れた道路と雲に挟まれた空間の中を歩いて移動していた。わたしからは宇宙が見えないように、宇宙からはわたしが見えない。地球が隠している。地球のたくさんの水分によって埋もれている。そう考えると、地球はたしかに水の惑星であると思った。


そんな天気の中、朝ご飯を食べる時はレディオヘッドを聴いていた。今まで聴こうと思ったことがあまりなかったのに、何となく聴きたくなった。独特の世界観に構えるようにせずとも聴けるようになったのは、PJハーヴェイがニューヨークの土地に影響を受けて制作した、トム・ヨークも参加しているアルバムを少し前によく聴いていたからかもしれなかった。そういえば、今日聴いていたKid Aとは発売年が同じ2000年だ。似たような色があるから、馴染みやすかったのかもしれない。PJハーヴェイを聴いていたのは、彼女のエレキギターの音色に惚れてハマっていたからだ。多分、彼女の持っているギターの内の、朱色のエレキギター。それだけでなく、彼女の歌声を聴いていると、わたしの心にある鬱蒼とした気持ちを彼女の力強い声で晴らしてくれるような感じがして、すっきりする。対してレディオヘッドを聴いている時は、トム・ヨークの声がわたしの鬱々とした気持ちを、晴らすでもなく忘れさせるでもなく、まるで素材のようにして気分を華やかに色付けてくれる感じがする。どちらも良いなと思った。




帰宅すると、愛情表現が甘噛みであるうちの犬の歯が、ちょうど腕の火傷の跡に刺さって、痛かった。





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